"友達"との初プールと決意
今回はプールへ遊びに行くお話です。
盆踊り大会が終わり、俺と羽崎さんは帰り道を歩いていた。
俺達を照らすのは数メートルに一つある街灯の明かりだけ。
ビューン
後から車が来る音がして俺はとっさに羽崎さんの手を取ってこっちに引き寄せる。
「!?」
「ハァハァ」
羽崎さんの息遣いが聞こえるくらい目の前に羽崎さんが居る。
「//×▽×// 咲花マスク恥ずかしい……」
「わ、悪い」
思わず見惚れていた俺は羽崎さんを抱き寄せたままにしていた。
再び俺達は歩き出す。
ただ手はまだ繋いだままだ。
「手、良いのかよ?」
「う、うん」
さっきの雰囲気のせいかお互いドギマギしている。
それからしばらくして羽崎さんの家へと付いた。
「じ、じゃ……また今度っ」
「ちょっと待て……」
「!?」
羽崎さんがビックリしたようにこちらを見る。
「よ、良かったらさ…連絡先交換しない?」
羽崎さんは笑顔の紙を掲げると言う。
「うん!」
俺はスマホを取り出すとトークアプリを起動するとお互いの画面を読み取ると連絡先が交換できる。
俺のスマホの画面には羽崎さんのアカウントが表示されている。
(女の子の連絡先を追加するなんて初めてなんだが……)
俺は緊張している手で追加ボタンを押す。
すると連絡先に羽崎さんの名前が表示される。
まぁ、他は母の連絡先とファーストフード店やらなんやらの公式アカウントばかりだが………。
「じゃあ、遅くなるしまた今度な」
「う、うん。ばいばい」
俺は羽崎さんに手を振ると家へと再び歩き出した。
「だはぁ」
あれから家に帰った俺はお風呂に入って、部屋に戻るとベッドに突っ伏した。
羽崎さんに連絡しようかと思ったが、恥ずかしさなどで一歩を踏み出せずに居た。
ピッコン♪
スマホからトークアプリの通知音が鳴る。
「!?」
俺はスマホを手に取るとスリープを解除する。
すると羽崎さんからだった。
「今日は楽しかったよ。ありがとう>
と言うメッセージと共におやすみの文字と寝ている可愛い犬のスタンプが送られてきていた。
<あぁ、こちらこそありがとな。」
俺がメッセージを送ると直ぐに既読になって返信が来る。
「あと…も、もし良かったら今度…プールとかも行けたら嬉しいな>
突然のお誘いに俺は目を疑った。
~1週間後~
8月に入ってすぐの今日、俺は近くのウォーターパークに来ていた。
「咲君、お待たせ……。」
俺は羽崎さんの方を向くとしばらく目が離せなかった。
Tシャツが多いからだろうか?白い半袖のワンピース姿の羽崎さんは何時にも増して可愛く見える。
「ど、どうかな?」
羽崎さんは少し恥ずかしそうに自分の服装を見る。
「に、似合ってるし…凄く可愛いぞ」
「あ、ありがとう…」
照れ笑いする羽崎さんも可愛しずっと見ていたいくらいだが、俺と羽崎さんは精算をして入場した。
~数分後~
俺は着替えている羽崎さんを待っていた。
すると更衣室から出てきた羽崎さんは周りをキョロキョロして俺を見つけるとこちらにやってきた。
「どうかな?」
羽崎さんは自分の水着を見ながら言う。
「か、可愛いと思うぞ」
俺は思わず目線を外しながら言う。
「よ、良かった。家族以外に水着姿見せるの…は、初めてだから……」
羽崎さんは嬉しそうに言う。
「まぁ、俺も家族以外とプールに来るなんて初めてなんだぞ」
言うまでもなく話しかけれない=誘えないからである。
「そうなんだ。なんか私達本当に似てるよね」
俺はなんだか嬉しいような気持ちになる。
羽崎さんと初めて会ったあの日のようなあの感じ。
同じ境遇の人が居るのってこんなに嬉しいんだな。
「入るか」
「うん」
俺達は軽く体を動かしてからプールへと入る。
まずは浅めななぎさプールと言う名前のプールからだ。
凄く子供でも楽に入れそうな感じだ。
そんな事を考えていると羽崎さんが軽くクロールしてこちらに来る。
「羽崎さんも泳げるんだ」
「うん。小学校の頃はスイミングスクール行ってたから……//」
羽崎さんは首からかけていた防水の小物入れからスマホを取り出すとにっこり顔のイラストを表示させる。
「それは新しい咲花ちゃんマスク?」
「うん。紙だと濡れるから…これならどうにかなるかなって」
「そう言う事か」
よく考えたなぁと俺は感心する。
「こ、この表情を出すアプリも私が作ったんだよ」
「す、凄い」
画面を見せてもらうと「嬉しい」とか「恥ずかしい」とかのボタンがあって感情や気持ちに合う物を押すだけというシンプルだけど実用性のあるアプリに仕上がっていた。
「表情別に整理したデータベースみたいなのから呼び出すだけなんだけどね……//」
羽崎さんは照れたように顔を赤くしながらも説明してくれる。
それにしても簡易的とはいえアプリを作っちゃうとは凄い…。
確かにデータベースについては情報処理学科なので授業であるが…羽崎さんは補講での簡単な授業で理解したと言うことだ。
そんな感じに驚きながらも俺と羽崎さんは流れるプールに行ったり、上からの水に打たれたりと色々遊んだ。
そうこうしていると日も暮れ始めていた。
俺と羽崎さんは帰りの電車に揺られていた。
「今日は楽しかったな」
「うん、楽しかった。ここまで楽しかったのは初めてかも」
「それは言いすぎじゃないか」
「だって今まで余りお出かけする事も…無かったから……」
「え…どう言う事?」
「昔からお母さんもお父さんも共働きで殆ど家に居なかったの。それで…家で一人きりだったから、でも一人で出来る事は限られてたから、小学校の頃は玩具で遊んだりしてたんだけど……小学校高学年の時に虐められてからは遊ぼうとも思えなくて…」
俺は他人事には思えなかった。
「そんな時に出会ったのがパソコンだったの」
(そう言う事だったのか)
何と無く羽崎さんの気持ちが凄く分かる気がした。
「俺もコミュニケーションが苦手で遊ぶ友達も居なくてお母さんが見守る中、ずっと家で一人で遊んでたよ。特に虐められてからは俺も話すのが嫌になって読書ばっかりしてて、その時に俺もパソコンと出会ったんだよ」
羽崎さんは少し意外そうな顔でこちらを見る。
「俺達、本当に似た者同人なのかもな」
俺は少し冗談めかして言う。
羽崎さんの顔はほんのり赤かった。
ぐぅ〜すぴー
俺は動けないで居た。
と言うのも俺の肩で羽崎さんが気持ち良さそうに寝ているのだ。
しかも次は降りる駅なので起こさないと行けない……行けないんだけど、寝顔も可愛くて起こすのを躊躇ってしまう。
すると外はもう駅のホームが見えていた。
俺は意を決して肩を揺する。
「羽崎さん、駅着いたよ」
「!?」
羽崎さんはハッと姿勢を直すとみるみるうちに顔が赤くなる。
「私、咲君の肩で…寝てた…?」
「うん」
ピンポンピンポン
ドアチャイムが鳴ってドアが開いて俺達は降りる。
羽崎さんは恥ずかしそうに俯いていた。
「ちょっとうち寄っていかない?」
俺は羽崎さんに提案する
「え、えな、なんで!?」
「見せたいものがあって」
「う、うん。良いけど……」
ガチャッ
ドアを開ける。
丁度母は買い物で居ないようだ。
俺は羽崎さんを部屋に案内する。
「うわー凄い……!▽?」
羽崎さんは部屋の端でコーナー化している俺の推し旅キャラのグッズ達に驚きの表情の紙を持っていた。
ちなみにグッズの内容はぬいぐるみやフィギュア、キーホルダーetc…
「俺はこの子、れなタンのお陰で少しずつ前向きになれたんだよ」
「そうなの?」
羽崎さんは興味津々にこちらを見ている。
「うん。虐められてしんどかった時にこのれなタンの出てるアニメを見て前向きになれたんだよ。」
「その中でもこのセリフのお陰かもしれないな。"しないでやらないは無しだから"って言うセリフなんだけど、このセリフがあったから今俺はパソコンを頑張っていて、それで羽崎さんに出会えたんだと思う」
「確かに。そうなのかな、ってこれ」
羽崎さんはぬいぐるみに付いている"ボード"を指さす
「そう。れなタンのこれを思い出して羽崎さんのそれを思い付いたんだよ」
「へぇそうなんだ」
羽崎さんは心底驚いている様子だった。
俺は玄関から少し出て羽崎さんを見送る。
周りはすっかり暗くなっている。
「さ、咲君!」
「何?」
羽崎さんは珍しく大きめの声を出す。
「わ、私…2学期からでも学校…行こうと思う!」
「は、羽崎さん……」
俺は驚きと嬉しさで声が出ない。
すると羽崎さんは続けた。
「だって"しないでやらないはなし"なんでしょ」
羽崎さんは笑っている表情の紙を掲げる。
「うん。そうだよ!」
俺は力いっぱい言った。
「じゃあまた"学校"で」
「うん!」
こうして羽崎さんが学校に来てくれる事になった。
私、羽崎咲花は咲君の家を出て歩いていた。
私が学校に行ってみようと思った理由はもう一つあった。
「だって君ともっと一緒に居たいから!」
私は笑顔の紙を持ってボソッと優しく呟いた。
でも咲君には口が裂けても言えない。
だって恥ずかしいもん。
次回に続く
最後までお読み頂きありがとうございます!
ついに咲君は花咲さんに学校に来てもらうことに成功しそうです!と言う訳で次回からは次の章に突入します!ここからは枯れかけの話したいと言う気持ちをどう咲かせるか!です。ちなみに作中に登場した"れな"タンは言うまでもなく作者の最推しキャラである天王寺"りな"ちゃんのパロディです。笑
でも実際推しに救われたのは事実です。推しが居なかったら、今こうして小説を書いていたかも分かりません。では次回もお楽しみに!




