新たな生活
ココと呼ばれた少女、ロウと呼ばれた少年はポカンとした表情を浮かべながらフェレスと名乗った女性を見つめる。
とその視線に気が付いたのか、
「あ、二人とも~大丈夫~?」
間延びした口調で二人に聞く。
「あ、ボクは大丈夫です。」とココが答え、
「私も。あのままだとやられていたと思うけど。」とロウが付けたす様に答えた。
「そっか~なら良かった~」とフェレスは続ける「立ち話もなんだし~、私の家においで~」
二人にこの世界で生きていく術は無い。
断る理由などどこにも無かった。
二人が言われるままに連れて行かれた家は、家というよりは中世ヨーロッパの城のような感じであった。ここに来るまでに、市街地と思える道、民家の集合地のような区画も通ってきたのでこの城がこの世界の平均以上、つまり裕福な家であることが分かる。
「「お帰りなさいませ。フェレス様。」」と犬耳なメイドと執事と思える二人が出迎えたところでもその事が想像できる。
「ん~ただいまぁ~。ミカにニコ。早速だけど、ミカはお茶の用意を。ニコは二人を部屋に。」とフェレスは指示する。
「かしこまりました」とミカと呼ばれたメイドはクルリと振り返り厨房と思しき方向に消えた
「では、こちらに。」とニコと呼ばれた執事はココとロウを部屋に案内する。
扉を開ける。
その部屋は、応接室のようで、大き目の部屋の中に一つのテーブル、四人がゆったり座れるほどのソファとそれに対面するようにおかれてる二つの一人がけ様のソファ。
ココとロウは促がされるままに、四人がけのソファに座る。二人より沿うようにソファの真ん中よりに。
と、そこにフェレスが入ってきた。会ったときとは違い、白のゆったりとしたワンピース姿だ。
その後ろから、ミカがカートを押しながら入ってきて扉をそっと閉める。
「ん~じゃぁ、何から聞こうかしら~」
どうやらフェレスは何でも知っているようだ。
「じゃぁ…」とココはフェレスに聞きたいこと全て聞いた。
そして自分たちが別世界から来た様であることも話した。
その他にも色々聞いた。
フェレスは、全ての質問について答えた。
まるで、最初から聞かれる質問が分かっていたように淀み無く、スラスラと。
唯一つ、
「なんで、僕たちなんですか?」という質問を除いて。
紅茶を啜り、フェレスは一言。「あなた達は、どこか住むあてある?」それは、あの3人組に対して発言した時と同じ口調。
「いや…さっきも話した通りなので…」
とココは答える。
「なら、ここで暮らしなさい。身の回りもロウはニコが、ココはミカが面倒見てくれるから」とフェレスはきっぱり言う。
ココと、ミカ。
ロウと、ニコ。
お互い目を合わせて、「「「「よろしくお願いします」」」」と同時に言う。
それをみて「良かった~。なら、二人をそれぞれ部屋に案内してあげて~」と元の口調になってフェレスは言った。
「そのあとで~買い物にいきましょ~」
ココはミカにつられて、ロウはニコにつられてそれぞれ応接室を後にする。
一人になったフェレスはつぶやいた。
「あの二人が世界を変えるか……ありえそうな話ね。」
彼女の独白は、誰にも聞こえない。
激しくお久しぶりです。
約6ヶ月ぶりの更新です。
浪人生です(オイ)
また、更新できる日までその時を楽しみにしつつ。