EP2ACT3-イレギュラー-
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すると玖瑠琉はシュメンツを見る。
その瞳は次はお前だと伝えてるようだ。
そしてシュメンツは静かに瞼を開けた。
「どうやら私は此処からそう簡単に解放されそうに無いね。」
次にシュメンツは杖を再度持ち直し構える。
すると四人も戦闘体制に深く調整する。
暁は一応この言葉を添えた。
「一応述べる、此処で白旗を先に出せば痛めはしない。」
その瞳は狩人のようだ。
「そう・・・でも。」
するとシュメンツに言い掛けた瞬間だった。
玖瑠琉から奇襲を掛ける。
それは見えぬ攻撃だった。
だがそれを弾き見抜くシュメンツ。
「神通力か・・・君、第九真祖だね。」
暁、セラ、良太は思った。
その一つの攻撃で直ぐに理解する事に。
だが玖瑠琉は違った。
「嫌な奴だな。
お前エルフだろう。」
すると誰かが拍手をする。
五人は周りを見渡す。
どうやら五人共、感知をしていなかったようだ。
するとシュメンツの聴き覚えのある声がした。
「やっぱ此処に転校して良かったよ。」
「君は・・・。」
シュメンツは瞼を見開く。
驚くも無理は無いさっき殺したのだから。
転校全の瞳にシュメンツが写る。
四人も唖然としていた。
暁も「何だ・・・この・・霊力。」
霊力とはそのモノの存在の型のようなモノだ。
もっと簡単に言えば「絵」のような全てだ。
あと三人もそうだがシュメンツも酷く唖然とする。
「何て霊力なんだ。」
だが転校生は何処か嫌そうだ。
「人をじろじろ見るなよ。
俺も人間だ、気持ち悪い。」
転校生は彼等四人を見る。
「取り敢えず自己紹介するか。」
「俺の中は島長 凪。
てかやっぱ君はエルフなんだね!!。
それに吸血鬼や退魔の人までいる。
改めて思うよ此処に転校して良かったよ。」
そして此処にいる全員は思う。
どうして知ってるんだと...。
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四人の視線にシュメンツは更に面倒を感じた。
・・・やば奴等はめんどい。
真祖二人なんて一気に老けそう。
もうアレ使おうかな・・・。
どうやらシュメンツには切り札があるようだ。
しかしそんな時だった。
あの吸血鬼兄弟二人の魔力感知が遠くなる。
「逃げたか・・・だが。」
シュメンツは玖瑠琉の方を見る。
玖瑠琉は支配的な笑みを覗かせた。
どうやらもう既にあの二人は彼の掌のようだ。
「申し訳ないがお蟲まえ達には未だ此処に居てもらう。」
すると上空から魔法陣が現れあの二人が其処から堕とされた。
二人はズサンに落とされる。
「どういう事だ・・・。」
どうやら彼等の思考が現在を追えてないようだ。
そんな二人を見る玖瑠琉は真顔になる。
二人は玖瑠琉を見た。
リダーヒーは懇願する。
「頼む!此奴だけは!!活かし。」
そう言い掛けた瞬間だった。
彼は目障りになったのだろう。
気分的に彼等を抹消したのだった。
シュメンツは静かに瞼を閉じた。
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面倒くさいのが増えたな。
シュメンツは直ぐに分析を開始すふ。
四人の内の二人は真祖じゃないか。
あの魔力の質はたぶんそうだな。
それにしても隠す気はサラサラに無いみたいだ。
そしてもう二人はその真祖二人の監視者だろう。
大抵の真祖には監視者が付くものだ。
大昔に真祖という存在が現れた。
聖戦・・・その世界の王を決めるモノ。
いや神を決めるというのも正しい。
原初の真祖には苦労したよ。
そしてシュメンツはまた溜息をつく。
・・・帰りたい。
今日は何でこうもバラエティなんだ。
ヒトでは無く食べ物だったら良かったのに。
いやしいと言えば魔導書が良かったなぁ。
そしてギヒはリダーヒーに耳打ちをする。
「リダーヒー。」
「どうした?。」
「タイミングを見て逃げるぞ。」
ギヒはこう思う。
此処では俺らが不利だ。
お互い残れるか分からないが...リダーヒーだけど。
それはリダーヒーも同じ事を考えていた。
そんな事はお互い知らない。
「・・・おう。」
そしてセラは隣にいる良太に耳うちする。
「あの二人は大した吸血鬼では無さそうだ。
先程の業の感覚でも思ったが余りにも安い。
ケオスベロスの真を知らない連中だ。
でも対峙してる奴は違う。
気をつけろ。」
すると玖瑠琉は割り込む。
「そうだな奴には気をつけろよ。
おい暁、良太、俺達の護衛を頼む。」
すると溜息をつく暁。
「ギリギリまで寝てた奴が言うな。
それに分かってるよ奴は見れば分かる。」
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リダーヒーは更に息を乱しながらもギヒに声をかける。
「この馬鹿やろう落ち着け。」
そんな姿を見たギヒは彼の頭を軽く突く。
「それはお前だよこの馬鹿弟が。」
そんな二人を見て思うシュメンツ。
・・・楽しそうだな。
「何か楽しそうだね君達。」
その言葉で二人の間に水を投げる。
二組の間には緩やか風が通る。
「・・・お前は何者だ。」
次はリダーヒーが問う。
シュメンツは溜息をついた。
「またその質問か。
シュメンツはその問いに応えるか一瞬迷うが。
「そうだね・・・君達よりは長老と応えよう。」
そして嫌な笑みを咲かせる。
ギヒは鼻で笑った。
「そうかい。」
すると別の方向から背筋が凍る魔力を感じるギヒとリダーヒー。
「何だ!!。」
シュメンツは冷たく其方を睨んだ。
「よかった未だやってたぜ皆んな。」
声を出したのは矢瀬良太だった。
どうやらあの四人がいた。
そしてシュメンツは内心こう思った。