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5 空気読んでみた⭐

 ひとまず、自分がビックリするからミュートにする。


 着信履歴を見ると、自分の携帯番号からの着信という謎現象。


 そちらへ参りますって言った?

 どこに?

 ここに?


 ……誰が!?


「ヤ、ヤエスヒメ様……。いえ、ヤエスヒメ内親王殿下? い、今のは……」


 恐る恐る宰相が訊ねてくるけど敬称が……。“~子”みたいなニュアンスで、女性皇族の美称として八重洲“媛”と“称す”って言っちゃったからこうなるのかな?


「わたくしが突然転移したので警護か側使えの者が来るようです」


 って事だよね?

 いや、わかんないけど……!


 え? どういう事!?

 どうなってんの!?

 “ひいさま”って言ったよね!? わたしに!

 今さっき作った“八重洲媛”の設定に合わせて電話してきたってこと!?


 わたしのワンマンアドリブライブじゃなかったの!?


 はっ。

 これはもしかして異世界転移で身に付いたマイスキル!?

 架空の共演者を召喚できるとかそういう……。

 だから着信が自分の携帯番号だったのかな!?

 今すぐ自分のステータスを確認したいーーー。


「ワ、ワ国からの使者だとおっしゃる方が……」


 兵士が固めていた扉付近でやり取りする声が聞こえるけど、おじさんたちの壁でわたしからは見えない。けど、ほんとに誰か来たっぽい……?

 ええ……。誰よーー?

 電話が来たときも今も頑張ってお澄まししてるけど、内心絶賛混乱中だよ!


 さっきまでは隙をみてとっとと逃げる一択だったけど、ここに誰か来るならその人と打ち合わせしないと。

 その人がアドリブライブの相手の演者さんならお互いに空気の読み合いで会話を繋げていくんだけど……。その際だってお題があったり最終的な方向性が決まっていたりするから、難易度としては当然今この状況の方が高いよね。


 てことはこれって共演者が知らされていないアドリブライブ?

 本番始まってから舞台上で共演者が持ってる情報量や相手の設定、ストーリーの方向性……この場合はお互いの意思…目的をお客さんに疑問を抱かせない自然さで確認しなきゃいけないってこと?


 なんか燃えてきたーー!


 あ、いや、別室用意してもらってそこで普通にその人と話せばいいのか。




 そうしてやって来たのはーーー。


 ご丁寧にわたしがでっち上げた設定通りに和装の男……なのに、紋付きとは言わないけど袴すら穿いていない着流しで二本差し。長谷川平蔵!? めちゃくちゃ格好いい! いや、八重菊紋とか畏れ多すぎて有り得ないから紋無しで正解なんだけど!

 ていうかわたしのイメージは平安貴族……朝廷の人っぽい格好だったのにこの人めっちゃ江戸中期~後期の時代劇設定のお衣装……なんだけど、月代無いね?

 時代劇好きなわたしにとってはすんごい格好良い装いでなんか悔しい! わたしなんて突然召喚されたからセーラー服にコート姿だよ! いや、これはこれでこれもまた良いんだけど! 誰にも言ってないけど実は制服で高校決めちゃった組だからセーラーで良いんだけども!


 内心益々混乱を極めていくわたしに〈和国〉からのその使者はなんとウインクと共にテヘペロまでしてみせたのだった。




「空気読んでみた⭐」




 〈和国〉からの使者の正体は、なんとこの世界の神様でした。

空気を読んだって言っているけど、読んでいたのはわたしの思考でしょう!?

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