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4 でっち上げ……の、はず

 なんだろう。

 なんで、こんなことになっているのに。


 この、成功に向かっていく道筋しか見えない高揚感。


 不安はもちろん感じている。正直怖い。

 だって、こんな異世界でたった独り、大人のおじさんたち相手に啖呵切ってる。

 王様だのなんだの、身分は関係無いって思いたいけど、このおじさんが命令すれば壁際に並んでいる兵士……もしかして騎士ってやつかな? あの人たちがわたしをどうにかするんでしょ?


 対してわたしはと言うと、もちろん武器なんか持っていない。

 殺陣のレッスンはかなり長いことみっちりやってるし、舞台でなら本番も経験しているけど、実際に当てた事がある訳じゃない。


 怖いよ……。

 怖い、のに。


 なんでわたし、こんなにがんがん行けちゃってるの?

 すごく好戦的になってる気がする。

 いや、舞台はわたしの戦場なんだから、今本番してるって考えたらこれは平常運転? …この状況で平常運転もある意味怖いけど。


 はっ。

 もしかして転移で不思議パワーが身に付いた!?

 でもさっき、心の中でステータスってこっそり唱えたけど何もおこってないな……。

 声に出さなきゃ駄目なのかもしれないけど、今はだめ。

 八重洲媛のイメージ崩れちゃう。


 あれかな。

 アドレナリン全開でハイになってるだけなのかな。


『よしきた! 私にまかせて!』


 なんて、幻聴まで聞こえるし。


「天の目、などと……。そんなものあるわけがない……!」


 ちょっとぽかーんってしていた王様が、我に返った途端にGPSを否定してきた。


 そんなおじさんたちにスマホの画面を見せてあげよう。

 制服のスカートのポケットから、美しく上品な所作を意識してスマホを差し出す。見えるかな?


 今日の稽古、行ったことのないスタジオだったからスクショしておいて良かった。

 この中央教会? あ、大教会だっけ(笑)。どれだけ大きな建物かは分からないけど、要は地図っぽい画面と中央にある建物の中のポインターが分かればいいのよ。どうせ文字は日本語で読めないんだから。


「こちらが天の目による情報です。中央の印がわたくし……」


 ブーーーーー、ブーーーーー

 チャカチャ♪ チャッチャチャラッ♪


 びくうっ!!


 がっつり見られてもいいけど、スマホに触られそうになったら何か大きな音出してびびらせてあげようと思って、スマホ画面を差し出しながら実は音量大ボタンをMAX押していたよ?


 でも今ここに電話がかかって来るなんて思わないじゃん!!


 ビックリしてスマホ落としちゃうところだった……。

 肩が揺れちゃったけど、おじさんたちはビックリしすぎて壁際に一斉に退避しちゃっからわたしがビックリしたの、気付かれてないよね? おじさんたちは音だけだけど、わたしはバイブにも驚かされたんだよっ!


 大好きなボカロ曲のインストが大音量で流れてる。


 ーーキミに力をあげる。前を向いて、進め、進め!


 異世界に鳴り響く着信音。

 取るか取らないかなんて迷ったりしない。ここは一択でしょう……!


 通話ボタンを押した。


「……はい」



『ひいさま! ご無事でいらっしゃいますか!?』



「はい! 無事です!」


 大音量スピーカーにこちらもついつい大きな声で応えてしまう。


『急ぎ、そちらへ参ります! 暫し御待ちを! 御免!!』



 ツーーーーーーー





 あれ?

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