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灰髪のアーシャ ~炎の力に目覚めた少女は、英雄に導かれ灰の荒野を往く~  作者: 星太
第6章 遠き夢に火は落ちて

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第48話 【おまけEP】ミートソースオムレツ

◆――

 時は現代。アーシャ達が帝都で奮闘している頃、孤児院で帰りを待つママとゴンスの一場面です。

――◆


「おはよ~、ママ」

「おはよう。さすがゴンス、狙ったように良いタイミングね」


 あくびしながらゴンスが食堂に入ると、ちょうどミーナが食卓に朝食を並べていた。メイン皿に盛られた料理を見て、ゴンスの眠気が吹き飛ぶ。


「あっ、ママの十八番のミートソースオムレツ! これ大好きなんだよねー」

 

 がっちりした体に似合わぬ機敏な動きで、ゴンスはさっと席に着いてスプーンを持つ。好物を食べる時のゴンスは、まるで狩人のように俊敏だった。


「あーん、モグモグ……うん、最高!」

「ふふ、ありがとう。ゴンスの食べっぷりも最高よ、また作りたくなっちゃうもの」


 そう言いながら、ミーナは首にげた金のロケットをそっと握った。ゴンスの食べっぷりに、幼いウィルの姿を思い出しながら――。


◆――……


 ウィルは、いつも料理をかきこんで食べる子供だった。見た目も味も気にしない、何の料理を食べても関係ない――少なくとも、ミーナにはそう見えた。


 12歳の時、料理にハマっていたミーナは、ウィルに何か食べたいものがないか聞いてみた。するとウィルが「……じゃあ、ミートソースオムレツ」と言うので、初めてながら思うままに作ってみると、驚きの事が起こった。


 ウィルがしばらく黙って皿を見つめたかと思うと、一口ずつ味わって丁寧に食べたのだ。さらに食べ終わった後、わざわざミーナの前に立って、「……美味(うま)かった」と言った。


 ミーナはとても驚いた。初挑戦したオムレツは、自分ながら良い出来とは言えず、形もやや崩れていた。それでも美味いと言ってもらえたことが、嬉しくてたまらなかった。


 それからミーナはミートソースオムレツをたびたび作るようになり、得意料理となった。


 ところが、ウィルが「美味い」と言ったのは、最初の一度切りだった。何度作っても、丁寧に食べはするが、もう美味いとは言ってくれなかった。


……――◆


「あー美味しかった、ご馳走さま!」

「お粗末さま」


 ピカピカに食べた食器を満面の笑みで下げるゴンスに、ミーナは優しく微笑んだ。


 東側の窓から、暖かな朝陽が射し込む。


(アーシャ、ダニー、ウィル……皆、無事に帰って来て)


 ミーナは朝陽射す帝都の方角に向かって、ひとり静かに十字を切った。



◆――

以上、おまけEPでした

        ――◆

 

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