朝の風景
ぼんやり眼でエレベーターに乗り込む。
リゾートホテルの楽しみは何と言っても食事である。
特に朝食はテンションがあがる。
なぜなら、ホテル名物のバイキングが待っているのだ。
しかも、朝食代は宿泊代に込まれている・・・つまりタダなのだ。
とは言っても、食後は式のリハーサルが行われる。
そして、本番は10時半なので、あまり腹に入れる訳にはいかない。
緊張感もあるし、食欲旺盛とはいかない・・・。
じゃ、控えめの食事を・・・とらなかった。
だって、美味しそうなのがたくさんあるんですもの。
生来の貧乏性と食いしん坊が発動し、本能が食べろと囁き、旦那ちゃんはお腹いっぱいになった。
時、同じくしてビュッフェには両家のオールキャストも勢揃い。
いいなぁ、皆、リラックスして食べている。
そういや、妹家族の娘(中1)、由里花が伝播して躍る最近流行りのハーレムシェイクをしたいと言っていたのを思い出し、彼女に聞いてみた。
「今日はみんなで踊ってくれるの?」
と、聞くと、
「・・・お父さんが恥ずかしいからやめてと言ったんでしない」
「・・・そっか、しないのか」
「うん」
そうか、残念だなと思う反面、すべったら申し訳ないと思っていたので安心した。
だが、由里花さんよ、お父さんのせいにするのはよくないぞ。
若い頃には、ままならない事もある。
たまの挫折も必要なのだよ。うん、うん。
走り回る幼子、港(みなと・・・妹の息子)と孝を温かい目で見つつ、旦那ちゃんと嫁ちゃんはおかわりをするべく、立ち上がった・・・この期に及んで、なんという食欲。
あんまり優雅に食べる二人に、嫁ちゃんの叔母さんが心配して「大丈夫、この後、式よ」と話しかけてきた。
彼女はのんきに「うん。このあといく」と余裕のセレブぶりを見せつけた。