12月6日③
なんとか目的地のコーラルヴィータチャペルのサロンに着いた時には、さらに雨脚は増してい
だ・・・大丈夫か、明日・・・。
なんて日だ!
旦那ちゃんは心の中で叫んだ。
そんな不安な気持ちも、担当の方が明るく対応していただいたおかげで心が和らぐ。
車のトランクから、式で必要な物(ウェルカムボード、お菓子など。手作りで費用削減)をサロンへ運ぶ。
旦那ちゃんたちはサロンの方からドリンクを頂き、ほっと一息をつく。
無事にここまで来れた安堵もあって、緊張の糸が解け、眠さ・・・いや疲れがどっと押し寄せた。
その後、ざっくりとした式の説明を受けて、一連の流れのDVDを観る。
次に二人が用意した式で必要な物の確認が済むと、嫁ちゃんはウェディングドレスの合わせに入る。
旦那ちゃんは、しばらく待機だ。
その間、ラインで、先乗りしている親や妹達に、沖縄到着の連絡をとった。
個室に一人でぼんやりと目を閉じ瞑想したり、手持ち無沙汰でスマホのソシャゲをしながら時間を潰す。
雨が屋根に打ちつける音が激しく聞こえる。
明日、晴れたらいいなという思いはあるが、翌日の天気予報は変わらず雨。
まぁ、だだ(ひどい)雨の降り方じゃなきゃいいなと思った。
嫁ちゃんのおめかし中に、旦那ちゃんは、そんなことを考えたりしていた。
しかし、雨はより激しさを増す一方だった。
うとうとしだして、スマホで時間を確認すると、一時間が経っていた。
すると、トントンと扉がノックされた。
スタッフさんに促され、嫁ちゃんがウェディングドレスに着替えてやって来た・・・馬子にも衣裳・・・って違うか。
「お綺麗ですねぇ」というスタッフさんの営業トークに、うれしそうな顔をしつつ、頷き、まんざらでもない嫁ちゃんがいた。
うん伊達にウン十年も生きてないよね~。
いっつあ、びゅてぃほー、れいでー。
旦那ちゃんはとりあえず、出来る限りのない語彙力と不器用な言葉で、彼女を褒めて見つめた。
すると、アタシ、この人と結婚して、お婿さんになるんだ。
てへっと思ったり、思わなかったりしてみた(どっちだ?)。
嫁ちゃんは、次に本番用のメイクへと移る。
式のオプションを奮発し、メイクさんが彼女に二日がかりで帯同してくれることになっている。
これで化けの皮は剥がれ・・・おっと、危ない。
そう、今より1.5倍は美しくなるだろう・・・1.5倍って・・・どうなんだい。
旦那ちゃんは、スマホのカメラを起動させ、もう一方でデジカメを操るという両刀づかいで嫁ちゃんをバシバシ撮った。
恥ずかしい?・・・とんでもない。
ああ、なんとでも言うがいいさ、熟年だけど、まだまだ二人アツアツなんだぜ。
とりあえず。
そんな訳で、初日の打ち合わせが終わったのは、夕方だった。
ちなみに旦那ちゃんは、シャツとスーツと靴を合わせたのみ。
・・・男ってそんなもんさ。
リハーサルは明日の式開始前と言われ、ちょっとびっくりしつつ、置物だった旦那ちゃんと心躍らせる嫁ちゃんは隣のホテルへ移動した。