舞台裏
扉の向こうは、眩く白い教会だ。
皆が集まってくれ、私達を待っている。
舞台裏には私達、お義父さん、嫁ちゃんの妹さん、心、港、健(旦那ちゃんの妹の子ども)の子どもたちの面々がいる。
そして、神父さん、スタッフの方が控えている。
妹さんが優しく嫁ちゃんのベールをさげる。
舞台裏の風景。
(さあ、楽しもう)
旦那ちゃんは、意外にも直前になると緊張もおさまり、そう思うようになっていた。
一生に一度の事、楽しまなきゃ損だよね。
「お義父さん、今日はよろしくお願いします」
お義父さんは、若干緊張した面持ちで頷いた。
嫁ちゃんは、うちの甥っ子、姪っ子に声かけながら、笑顔を見せている。
「ありがとう。今日はよろしく」
私は可愛い甥っ子、姪っ子に声をかける。
スタッフの皆さんが慌ただしく動いている。
「そろそろです」
その声で、旦那ちゃんは顔を引き締め扉の前に立つ。
後ろにはリング(指輪)ボーイの健、バイブル(聖書)ボーイの港、フラワーガールの心がいる。
そして遅まきながら、バージンロード(くすっ)を進む、父と娘。
教会からから、生の声楽「ユー・レイズ・ミー・アップ」が聞こえる。
扉が開き、光が差し込む。
目の前には祭壇と十字架、親族のみなさんから大きな拍手が起こる。




