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指導をお願いされました

特にトラブルも起きることなく町にたどり着いた僕らは、真っ先に井戸へと向かった。運よく誰も使っていなかったので、僕らは満足するまで喉を潤した。今度外に出るときには、雑貨屋で絶対水筒を買っておこう。水は大事だ。使う場面が多いし、無いと困る。そんなことを考えていたら、水を浴びるように(というか実際浴びていた)飲んでいたラッセルがこちらへ向き直った。


「クロウ。ありがとう。俺、死ぬ、思った。本当に。」

「そうだぞ!ホントに死んじゃうかと思ったんだからな!心配かけんなよ!」

ラッセルから片言ながらも、しっかりと感謝の意思が伝わってくる。頬を膨らませて怒るルルがなんだか微笑ましい。孤児院の評判は控えめに言っても最悪だけど、孤児同士の仲は結構良さそうで少し安心した。


そのまま別れるのもなんなので、2人に付いて、ヒールリーフをギルドに納品しに行くことにした。通い慣れたギルドへの道だけど、納品しにいくとなると新鮮な気持ちだ。


「アタシらは籠を渡して、お金は明日になったら貰う感じだぞ。」

「えっ、そうなの?」

「この時間は大人の冒険者が多いからなー。怪我しないように直ぐに退散するんだ。」

「あー・・・確かに荒っぽい人多いもんね。納得だよ。」

ルルたちのような見習いや、ランクの低い冒険者では受けられないが、基本的に冒険者の仕事は討伐がメインだ。特に多いの町周辺の魔物討伐。特に目撃例の多いゴブリンやウルフ、ジャイアントアントなどが常設討伐対象となっている。討伐は危険度も高く、魔物の素材も買い取り対象のため、冒険者の大半が討伐が専門だ。


「一度ラッセルが絡まれたことがあって、それからそういうのが無いようにってギルドのねーちゃんに言われたんだ。」

「ルル、ゴメン。」

「あやまんなよ、オマエの所為じゃないって。」

まぁ魔物もいたりいなかったりで、受付でもかなりの暴言を吐くひとはいるとミミリーさんも言ってたし、ただ虫の居所が悪かっただけなんだろう。その被害を受けたラッセルにとっては堪ったもんじゃないけどさ。


そんなことを話ながらギルドにはいると、まばらに大人の冒険者はいるものの、まだ受付には余裕がありそうだった。ちょうどミミリーさんが空いていたのでそちらへ向かった。


「あら、クロウ君じゃない。ちびっこ冒険者ちゃんたちもお疲れ様。籠はあずかっておくわね。報酬は次に来た時ってことでいいわよね?」

「それでいいよ。サンキューねーちゃん。今日はちょっと少ないんだけどごめんな。」

ルルがそういうと、ミミリーさんは僕をちらりと見た。説明しろってことかな。


「ちょっとありまして・・・。ざっくりいうと体調を崩していたので使う必要性がありました。効能の高いものを使用したのと、ついでに僕の方で少し選別しておきました。・・・良かったですよね?」


僕の答えに満足したのか、ミミリーさんはうんうんと頷く。

「やっぱりクロウ君は優秀ね~。指導もおねがいしてもいいかしら?」

「そのつもりなので大丈夫です。」

僕がにっこり笑うとミミリーさんもにっこりと笑い返してくれる。納品物の質が向上すればギルドの評価もあがる。孤児たちは貰えるお金が増える。ギルド側にもルルたちにも良い結果になるので、ミミリーさん的には大満足の答えだったようだ。


ルルたちはもちろんだけど、今度他の孤児にも教えてやると約束している。その代わりまた外に一緒に連れて行ってもらう約束をした。


僕自身は依頼を受けることはできないけど、手伝うことは禁止されていない。今月は仕事も終えているので、さっそく明日から、僕の日課に町の外へ出ることが加わった。


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