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ご機嫌なバドルさん

「じゃぁお爺ちゃんがまってるので、クロウさんも一緒に行くです」

「そうだね。ミラルダさん、ごちそう様でした。皆さんも夕方からの業務頑張ってください」


 受付の皆さんに挨拶をして、ルムルと査定部へ。まだ挨拶でしか査定部には行っていないので、実際にまだどんな感じで仕事すればいいのか分かってないんだよね。今回はバドルさんも呼んでいるということなので、きっと先日の『種子っぽい何か』だろうな。査定部の扉をコンコンと叩くと「開いとるぞ」という声を確認して入ると、山のように大きな男バドルさんが迎えてくれた。


「待っとったぞ!坊主!例の『種子』じゃが、やはり『種子』じゃったぞ!」

「おぉっ!そうでしたか!それで何の種子かは・・・」

「さすがにそこまでは分からんかったのぅ・・・。植物に詳しい奴に見せたら、やはり植物の種であることは間違いないらしい。昨日から育成実験も始めてもらっておる。何かしらの成果が出たら、クロウにも教えてやるからな」


 僕が「種子ではないか」と言って直ぐに動こうとしていたことからも分かっていたが、すでに育てる方向で実験が始まっているようだ。土に植えて育つのか、水中で育つのか、まずはその2つから検証してみるらしい。内包している魔力は感じ取りづらかったけど、曲がりなりにもダンジョン産のアイテムなのだから、きっと厳重な管理で実験されているのだろう。


「いやー、坊主のおかげで費用は抑えられたわ、あれが何だったのかも分かったわでバンバンザイだ!ギルドから報酬みたいなのは出んのは心苦しいが、ワシから個人的にはコイツをやるぞ」


 そういってバドルさんが差し出したのは、鞘に納まった短剣。手に取るとずっしり重い。ナイフなんて包丁と同じような物だと思っていたけど、こうして実際に手に取ってみると、比べ物にならないほど重たい。


「坊主にはちと重いかもしれんが、鉄よりも硬くて重い『紅鉄(こうてつ)』を使っておる。しっかりと手入れをすれば長く使える良いものじゃ」

「紅鉄!?『魔力鉄』ですかっ!?高級品じゃないですか!」

「おっ!坊主はホントよく知っとるな。お前さんも冒険者になったならこのくらいは使えるようにならんとな。コイツは解体用だから戦闘には向かんが、品質は保障するぞ」


 鉄が何らかの魔力を含んで、重く、硬く、紅くなった物を『魔力鉄』通称『紅鉄』と呼ばれ、一流の冒険者であればこれを使った装備の1つや2つ持っているのは当たり前と言われている高品質の代名詞。そんなものを貰ってもいいんだろうか。「気にすんな持ってけ」と言うのでありがたく頂戴するのだけど・・・。


「これって普通はどうやって持ち歩くんですか?」

「あー・・・そうか、そこからだよな。ボーグからまだ何も聞いとらん感じか?」

「えぇ。スキルの検証しかしてないので、実際の冒険者の活動についてはまだ何も」


 僕がそういうと、バドルさんは「ふむ」と顎をさする。


「冒険者にとって、解体用ナイフは重要な装備だ。詳しくはボーグに聞くといいが、解体以外にも護身用にももちろん使える。だからこそ、肌身放さず持ち歩けるようにしている奴が多いな。腰ベルトに邪魔にならんようにするのが多いが、好きに装備するといい」

 聞けば、皮職人に依頼すれば、ベルトを色々とカスタマイズすることができるらしい。確かに鞄に入れていては必要な時に取り出しづらいし、剣帯のようにブラブラさせておくのは走るのには邪魔になりそうだ。ブーツにナイフを仕込む人もいるらしいし、結構色々な装備の仕方がありそうだ。


 討伐訓練はまだ先になるとは思うけど、攻撃を受け止められるほど体は成長していないので、動きやすさはかなり重要だ。戦うことよりも逃げることの方が重要だと僕は思ってる。なので、この情報は大変ありがたい。皮製品を扱うお店はいくつかあるけどバドルさんのおすすめという店があるということで紹介してもらった。


「さて、実験結果もしばらく出てこんじゃろうから、ワシらは真面目にお仕事じゃぞ」

「お仕事なのです!」


 ルムルが張り切ったように元気な声を上げた。仕事に前のめりになるこの姿勢は見習うべきところだな。


「ご指導よろしくお願いします」


 ペコリと頭を下げた僕だったけど、バドルさんは首を横に振った。え?どういうこと?


「坊主は指導する方じゃ。ルムルに薬草の見分け方や効能について教えてやってくれ」

「は?いや僕まだ何も教えてもらってないんですけど」

「ミミリーから聞いとるぞ。教え甲斐の無い生徒じゃとな。『全部知ってましたみたいな顔してくるのよ!』と愚痴をこぼしとると聞いておるぞ」


 えぇ・・・ミミリーさん、そんなこと愚痴ってたの・・・。確かに知ってることも多かったけど、それはそれで答え合わせみたいな感じで楽しかったし、いつも「ありがとう」って感謝の言葉は忘れてないはずなんだけど・・・うーん。今度ちゃんと伝えておこう。


「そういうわけじゃ。そろそろ孤児たち見習いが薬草を納品しに来るじゃろ。坊主の作った『リールリーフ査定表』もいいが、それが無くても見極められるようになってもらわんといかん。ワシはそのあたりは感覚にまかせておるもんで口で説明するのが駄目なんじゃ。坊主はそういうの得意そうじゃからまかせてみたくての。頼まれてくれんか?」

「・・・分かりました。ルムルはそれでいいかい?」

「はいです!よろしくお願いしますです!」


 ペコリと頭を下げるルムル。一応僕の方が後輩ではあるんだけど・・・まぁこういうこともあると思おう。バドルさんは血なまぐさい仕事をほとんど担当しているようで、魔物素材の状態を主に引き受けているようで、薬草類の採取系素材をルムルにやらせているみたいだ。本当はもう一人職員、ルムルのお父さんがいるらしいのだけど、現在王都まで出張中とのことだ。その間、ミミリーさんが受付と査定部を兼務しているらしい。


 そうこうしていると、査定部の扉が叩かれ「査定お願いします」の声とともに大量の薬草が運ばれてきた。ほとんどがヒールリーフっぽいけど、ちらっとアースフラワーも見えた。これを全部か・・・結構大変そうだ。


「ルムル。この前も軽く話したけど、ヒールリーフの見分け方をもう少し詳しく説明しながら仕事を進めようか。魔力を見られると確かに便利だけど、それ以外で見分ける手段は色以外にもある。しっかりやっていこう」


こうして僕は、先輩職員であるルムルへ色々教えながら、薬草の査定をしていくことになった。ルルたち孤児院の見習い冒険者が頑張ってくれているみたいで、ヒールリーフの数がやはり多くなっているみたいで、ルムルは最近とても大変だと教えてくれた。


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