200文字小説集 vol.2 雪と桜の花(200文字小説) 作者: 日下部良介 掲載日:2020/03/30 数年前、僕はここで出会った少女に恋をした。春にしては珍しく寒い日だった。満開の桜に雪が舞っていた。 彼女はいつもそこに居る。僕はそのことを知っていた。だから何度も彼女に会いにここへ来た。でもなかなか会えなかった。 数年ぶりにあの日と同じような寒気と低気圧が南下してきた。僕はいつものようにあの桜の木へ向かう。 「久しぶりですね。桜の花の精さん」 「はい。雪の精さん」 そして、彼女の笑顔に僕は一瞬で溶かされる。