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7.私たち…しちゃったんだよね?


朝起きてすぐ、俺には試練が立ちはだかっていた。


「ねぇ、灯夜…くん…」


俺が起きると隣には嬉しそうに寝る鈴谷がいて…まぁそんなことより…


「なんでこいつ足を絡めてるの?」


そう、俺は鈴谷に足を絡められているせいで起き上がれないのだ。しかも顔が至近距離にあるし、俺を抱き枕と勘違いしているのだろうか…


「冬雪は…いないのか…」


この時間はいつも朝から仕事で父さんがいない代わりに朝食を作っている時間なので冬雪はベッドにいなかった。ってことは二人っきりかよ…この状況で。


「ねぇ、灯夜くん…キス…しよ…」


「はぁ!?」


キス?俺と?寝ぼけててもそんなこと誰も言わねぇぞ、いったいどんな悪夢を見てんだよ。まぁ、まだ聞き間違いという可能性も…


「ふふふっ!灯夜くんの初めてもらっちゃった!」


あ、これは俺ですわ。夢の中でキスしちゃったし……なんで俺とのキスの夢を見てそんなに嬉しそうでいられるの?普通の女子なら悪夢として封印するレベルだぞ?


「ねぇ、もう一回しよ!?」


え…こいつって本当に鈴谷なのか!?鈴谷がこんなこと言うはずないし…って、おい鈴谷!


「おい、ちょっと起きろ鈴谷」


だんだん鈴谷の顔が俺に近づいていく、その距離は徐々に近づいて行って…俺は肩をつかんで遠ざけようとするが朝起きてすぐということもあって俺の力は貧弱だった。


「おい、だから…ん……………」


何この唇の感触は…さっきより近くに鈴谷が…俺って今キスを…ってあれ?鈴谷の唇とは違う何かが俺の唇に触れてないか!?なんか割り開いてきたし…この正体って…舌じゃないよな?まさか足だけにとどまらす舌まで絡めようとするはずないよな?…そう考えていると鈴谷はキスを突然やめた。


「ねぇ、口を開けて?もう少しキスしよ?」


そう言って離れていた唇がまた触れた。てか、これ完全に舌じゃねぇか!何で言葉と行動がシンクロしてるの!?てか、こいつ絶対起きてるだろ!寝たふりだろ!でも、それならわざわざ寝たふりなんかしてキスしようとしてくるわけないか…でも…


こうして俺の初めてはまさかの形で奪われた。………じゃねぇよ!なんで俺キスしちゃってんの?こんなところ誰かに見られたら絶体絶命じゃん!…まぁ、ここは俺の部屋だし何事もなかったようにそっと離れれば…


「おにぃちゃん朝ごはんの………え?……」


どうやら、神様は俺の味方ではなかったらしい。なぜなら目の前にはドアを開けて放心状態の冬雪がいるから。その時にやっと俺に2度目のキスをやめた鈴谷。やめるんだったらもう少し早くやめてくれよ!


「ん……ぷはっ……あ…あのなぁ冬雪、これには深い事情があってだなぁ…」


『バタンッ』


そんな俺のどうしようもない言い訳を聞かずに冬雪は扉を閉める。途中冬雪の変な声が聞こえたがきっと俺の気のせいだろう。


「グスッ!私のおにぃちゃんの初めてがぁ~!なんでよぉ~~~!グスッ」


***


「灯夜くん、本当にごめんなさい」


仕事のため早く家を出た父さんと詩子さんのいない三人だけの朝食中に不機嫌な冬雪と俺の目の前で頬が少し赤い鈴谷は椅子に座り頭を下げてきた。俺自身別に好きな人もいないし事故なので初キスだけど怒るつもりもないのだが、鈴谷も忘れたいだろうしこの件はこれで忘れることにしよう。


「大丈夫だよ、気にしないで…」


当人がこう言っているしこれでこの件は終わったと思ったのだがどうやら終わらないらしい。この三人の中で負のオーラが出まくっているやつが一人いた。


「おにぃちゃん、気にしてください、おにぃちゃんの初めてが奪われたんですよ!?しかも私以外の人に………あ…いえ、今のは言葉の綾です…気にしないでください」


今のって言葉の綾なんだよな?まぁ、それはそういう風に処理しといておこう。追及すると怒られそうだし。


「あの、灯夜くん…その……」


「ん?どうしたんだ?」


さっきより赤くなった頬は正直可愛くて恥ずかしがっているのか少しだけ目線が斜め下なのもかわいらしかったりして、そんな鈴谷を見ていると俺まで顔が赤くなった。


「私たち…初めてキス…しちゃったんだよね?」


なんでお前が掘り返すんだよ!え、これって無実なのに被害者なのに俺が謝らないと終了しないやつ?その言葉を聞いた瞬間さっきより何倍もすごい負のオーラを発してかつ俺に対する目線が鋭くなった人がいるし…ともかく俺がとるべき行動は一つだよな!…


「いや、あれは事故であって決して……」


おい、なんで否定しようとした瞬間に悲しそうな顔をするんだよ鈴谷は!そして視線が怖すぎるよ我が妹!もう、収拾つかないって…どうすりゃいいんだよ…


『ピーンポーン』


この気まずい空気をかき消すかの様にインターホンの音がなる。よくやったぞ!俺はそう心の中で言いながら急いで朝食を食べきる。この空気から早く抜けだしたかったのだ。


「あれ、灯夜くん…どうしたんですか?」


「いや、それはだな…」


いつもあいつと一緒に毎朝登校していることがばれると今度は鈴谷に怒られそうなので俺は何とかして話を誤魔化そうとする…けど…


「ちょっと待っておにぃちゃん…私も今後は一緒に登校する!三人だけど…」


「わかったけど、今までは俺と登校なんて嫌がってたよな?」


何で冬雪は三人って所をやたら強調して言うの?


「避けた事なんてないし、それはもういいの!今後は私も入れて三人で登校するの!」


「え、その三人って私も含まれてますよね?」


その言葉を華麗にスルーして俺は二階にあるかばんをとって玄関に行き靴を履こうとするが…行く手を阻む強敵が俺の袖を引っ張るせいで玄関のドアが開けられない。


「灯夜くん!どうしたの?急いじゃって…しかも一緒に登校がどうとかって…」


「いや、それはだなぁ…」


俺が何とかして誤魔化す方法を考えるが答えがみつからなかった。そして俺が鈴谷から離れようとするとき後ろでドアの開く音がした…まさか…


「え、灯夜くん?これはどういうこと?鈴谷さんも一緒にいるし…」


「いや、これはだなぁ…」


「あなたは同じクラスの…」


そりゃ朝から女子が男子の家のドアを開けたら誰でも驚くよな。しかも、それがクラスメイトだと尚更。


「ねぇ!登校する相手が女の子なんて聞いてないんだけど!どういうことなの!?灯夜くん!」


明日は投稿できないです。明後日投稿出来たら23:00に投稿します。

そして一週間以上投稿しなかったことを謝ります。すみませんでした。

最後によろしければブクマとポイント評価よろしくお願いします。


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