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5.おにぃちゃんは私の事が世界で一番好きなんですか!?


「はぁ、やっとこの長い一日が終わるのか~」


鈴谷と兄妹になる事が決まったり謎に凝縮された一日が終わるのかと思うと安堵のため息も自然に出た。

やっとできた一人の時間。疲れた体と心が一気に癒されていくのを感じた。


「やっぱりお風呂っていいなぁ~!」


湯船につかると疲れなんて吹き飛んでしまうらしい。風呂の力は偉大なり。


「あのですね…おにぃちゃん……」


ドアの開く音もしなかったので近くに人は誰も居ないと思っていたので驚いてしまった。脱衣所に誰がいるのか分からなかったが『おにぃちゃん』という呼び方から冬雪だという事は予想できた。


「おぉ!どうしたんだ?俺今入浴中なんだけど…」


浴室ドアを開ければ全裸の兄がいるというこの状況を理解しているのかと思い俺は今何をしているのか伝える。冬雪は真面目だからきっとドアの向こうに全裸の兄がいるとかそんな深い事は考えずに入って来たんだよな、ごめんな…こんな変態な兄で。


「うん、知ってるよ…だから来たんだよ」


変態な兄を持つ妹は同じく変態なようですね!ヤバイだろ!どこの世界で入浴中の兄を狙って脱衣所に来る妹がいるんだよ!


「それでねおにぃちゃん……聞きたいことがあるんだぁ」


いつもの声じゃない、明らかに何かあったのだと分かる声音だった。そんな冬雪を俺は一度も見た事がなかった。何があったのだろうか…


「おにぃちゃんってさ……」


俺の事?俺が何かしたのか?もしかして俺と鈴谷が恋人関係みたいなことをしていたから怒っていたりするのか?いや、違うんだ!あれは鈴谷が強引に……


「眞尋さんの事好きになったりしてないよね?」


「はぁ?」


予想の斜め上を行くそんな訳の分からない質問に俺は思わず「はぁ?」と言ってしまった。いったいどこを見たらそんな疑いをする結論に至るのだろうか…と言いたいところだが俺には一つ心当たりがある。


「え、なんで?」


「なんでって、眞尋さんがおにぃちゃんに仲良く彼氏彼女みたいに『あ~~~ん』ってしてたから…」


俺の予想は当たっていた。きっと冬雪はあの眞尋の行動を見ていたのだろう。


「あぁ、あれか…でもあれは眞尋が強引に…」


「嘘つき!だっておにぃちゃん『あ~~~ん」してもらってた時顔を赤くしてまんざらでもない顔だったもん!」


「それは…まぁ…」


「ほら!そうなんじゃん!気付いてないだけでおにぃちゃんは眞尋さんの事が好きになっちゃったんだよぉ!おにぃちゃんのバカ!何で私を選んでくれないの!?」


冬雪が泣いているのがドア越しでも分かった。(何で私を選んでくれないの!?)という言葉には意味が分からなかったが泣かせてしまった原因が俺にある以上俺がここでのんきに入浴してるわけにもいかない。


「ちょっと、脱衣場に行きたいから廊下で待っていてくれないか?」


「え…「俺は鈴谷の事が好きじゃない」って否定しないの!?否定してよおにぃちゃん!ねぇ!お願いだから!」


否定したいが否定しても今の冬雪がまともに聞いてくれるとは思わなかった。だから服を着てからちゃんと否定しようと思ったんだけど…


「それについて伝えたいことがあるんだ、だから今の時間は誰も居ないだろうしリビングで待っていてくれないか?」


「うん、分かったよ」


そういってドアの閉まる音がした。俺はその音を聞いて浴室ドアを開けて服を着る。冬雪になんとしてもこの誤解を解かなければ…


「……おにぃちゃん」


リビングに行くと冬雪は悲しそうな声で涙を一生懸命出さないように堪えていた。


「冬雪…本当にごめん!」


「やっぱりおにぃちゃんは…」


今にも冬雪は泣きそうで…いや、もう数滴涙が落ちていた。


「冬雪はきっと鈴谷に『あ~~~ん』してもらっていたことに怒ってるんだよな、あれは本当にごめん、たぶん、というか絶対冬雪にされても同じ顔をしてたと思う…本当にごめん!」


「え…私が『あ~~~ん』しても同じ顔をするの?」


「あぁ、すると思う、だから本当にごめん、あと本当に付き合ってるわけじゃないんだ。」


「あわわわわわ!!!」


何故か冬雪は顔を赤くしていた。恥ずかしがっているのだろうか。俺には冬雪が慌てて誤解を解こうとしているように見えた


「こんなおにぃちゃん嫌だよな?ごめんな」


「ち、違うんです!これはその…誤解してたといいますか…そうです!誤解を解くためにもこの機会におにぃちゃんに伝えたい言葉があります!」


『こんなシスコンまがいな兄なんて大っ嫌い』と言われるのだろうか。冬雪がそういう性格じゃないのは知っているが俺の思考はいつのまにかネガティブになっていた。


「おにぃちゃん!好きです!大好きです!」


俺は聞き間違いだと思い下を向くのをやめて冬雪の顔を見る。冬雪は顔を赤くして恥ずかしがっていたが表情は可愛くて笑顔が少しずつ戻っていた。


「え…」


俺の言葉に反応して冬雪は自分がなんて言ったか反芻したのだろう。徐々に冬雪の顔は赤くなっていった。


「ち…違うからねぇ!?その…兄妹として好きって意味だからね!?」


「え…あ、あぁ、そうだよな!」


「その事を理解してもう一回聞いてくれませんか?」


「おにぃちゃん…大好きです!」


目は涙で濡れていて、頬は少し赤くて、でも笑顔で。決して恋愛的な意味ではないが俺はそんな冬雪が


「あぁ、俺も好きだよ、冬雪」


冬雪の暗い顔は次第に明るさをとり戻したので安心する。怒っていないようだし解決して本当に良かった…。


「あの、おにぃちゃん…勘違いして本当にごめんなさい!」


「気にしなくて大丈夫だよ」


「あの…おにぃちゃんは眞尋さんと私どちらが好きですか?」


「それはどういう意味なんだ?」


「そんなのいいから早く答えてください!」


急かす冬雪の待つ答えが俺の言う答えなのか分からないが俺は嘘をつかずに言う。


「それなら、冬雪の方が…その…好きだ」


「えへへ!おにぃちゃんは私の事が世界で一番好きなんですか!?」


どうやら冬雪の脳は機能しなくなったらしい。聞き間違いを言い訳に出来ないくらい言葉が書き換えられていた。好きというのは恋愛的な意味で答えたわけじゃないんだけど……


「もう!おにぃちゃんは困った人ですねぇ!私もおにぃちゃんが世界一好きですよぉ!」


否定しようと思ったがあの事があった後に見れた冬雪の顔を変えるは嫌だったので黙っておくことにした。この顔は人前では見せれる顔じゃないけど、このだらしない表情もまた俺はかわいいと思うから。


「えへへ!おにぃちゃんは私の事が世界で一番好きなんですね!えへへ!困っちゃいますよぉ!」


学校、会社でお疲れの皆様。お疲れ様です。

この作品で癒されてください(癒す効果があるとは一言も言ってない)

この作品の続きが気になったり面白いと思ったらポイント評価とブクマを宜しくお願いします!

あと、昨日投稿できなかったお詫びに今日出来たらまた投稿します!何時くらいに投稿するとか未定だし深夜投稿になるかもしれないけど…

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