21.ねぇ、おにぃちゃん…なんで?
「さて!次は何を食べようかな!」
ショートケーキもいいけどチョコレートケーキも捨てがたい!う~ん、どっちを取ろうかな…?
そういう時は両方食べちゃえ!
私は今、ケーキ店に立ち寄っています。前から気になってたので電車を乗り継いでこの場所に来たのですが、ついついケーキ選びに夢中で今日の本題を忘れてしまうところでした。
急いで私は友達の待つ席に行きます。
「それで?今日も冬雪の……友達の恋バナ?」
誰も気づいていないとは思いますが、私の友達の恋バナではなく私の恋バナです。おにぃちゃんのことが好きだから彼氏彼女として付き合いたいなんて友達に言ったら笑われてしまいますし…
「うん、そうなんだ…最近ね、その子のお兄さんの義妹と幼馴染が積極的にアプローチするようになったんだって…どうしたらいいと思う?」
私は、友達である沙耶に相談します。もちろん義妹とは眞尋さん、幼馴染とは琴音さんのこと。琴音さんに関しては以前から、もしかして…とは思っていたけどまさかあんなに急に積極的に絡みに行くようになるなんて…!これはどうにかせねば!と、考えた結果最近はほぼ毎日友達の恋愛相談と嘘をついて色々と沙耶に相談をしています。
「それだったら、やっぱりその子も積極的になった方がいいんじゃないかな?例えば、手を繋ぐとか…あ~んするとか?」
沙耶の言う事を無意識に想像してしまいます。私が…おにぃちゃんに…
『おにぃちゃん、手…繋がない?』
『おにぃちゃん、ほら、口開けて?あ~~ん!』
むむむむ!無理です!そんな事したら恥ずかしさのあまり死んでしまいそうです。でも、おにぃちゃんにしてみたいな…
逆におにぃちゃんが私にするって言うのも…
『冬雪、手を繋がないか?』
『冬雪、俺が食べさせてやるよ』
えへっ!えへへへへっ!もう、妄想の世界のお話なのにニヤケが止まりません!沙耶にこの顔を見られていないでしょうか?少し心配です。
私の表情を見て何かを確信したかのように沙耶は妄想にふけっている私に話しかけてきます。
「ふ~ん、妄想なのにそんだけニヤケるってどんだけおにぃさんのことが好きなのよ冬雪…」
え?もしかして今、私がおにぃちゃんのことを好きって言いました?
「わわわわわ!私はおにぃちゃんの事好きじゃないから!む…むしろ、だ…大っ嫌いなんだから!」
「へぇ~、その割には随分妄想で楽しんでいたみたいだけど?」
「楽しんでないから!」
実は、楽しんでいました。なんて口が裂けても言えません。恥ずかしいですし…
「へぇ~そこまでして否定するんだね…」
沙耶は、『へぇ~』と言いながら私の顔を見てニヤリと笑ってきました。何か策でも思いついたかのように。
「でも正直、その子には申し訳ないけど、妹ちゃんはおにぃさんを狙うのは諦めた方がいいと思うなぁ」
何を言ってくるのかと思ったら急に変なことを言い始めました…その言葉に多少の苛立ちを感じた私は少し強い口調で言います。
「諦めた方が良いって何でそんな事言うんですか!」
「だって、妹にキュンとする兄って真面目な話いないと思うんだよねぇ…」
次の瞬間、私は自分の気持ちが制御できなくなりました。
「わ、私だって必死になっておにぃちゃんにアプローチしてるの!そりゃ…眞尋さんと琴音さんには負けちゃうかもしれないけど…私だって私なりに頑張ってるんだから!」
私が、怒っているのに沙耶はクスクス笑い始めました。そんな沙耶に私が、もう一度怒ろうとしたとき沙耶は口を開きました。
「ごめん…まさか、そんなに怒るとは思ってなくて…」
沙耶が少しだけ笑ってはいますが申し訳なさそうに謝ってきますしこれ以上怒るのはやめる事にします。
「もう…分かればいいんだよ…」
本当はもっと言いたいことがありましたが、それを心の中に留めて、ショートケーキを食べようとしたとき沙耶が持っていたフォークを置いて私に話しかけてきました。
「それにしても、冬雪って本当におにぃさんのことが好きなんだね!友達の話って冬雪の話なんでしょ?」
「な、なにを言ってるんですか!何を根拠にそんなこと言うんですか!」
私が慌てて否定すると沙耶は何故かスマートフォンを触り始めました。
そして、何かをタップして机の上に置きました…
『わ、私だって必死になっておにぃちゃんにアプローチしてるの!そりゃ…眞尋さんと琴音さんには負けちゃうかもしれないけど…私だって私なりに頑張ってるんだから!』
こ…これって…さっきの…
「これってどう捉えたって冬雪がおにぃさんのことを好きとしか思えないんだけど、それでも、冬雪は好きじゃないって言えるのかな!?」
確信をついたとばかりに沙耶はニヤっとしながら言ってきました。
そして私は、その沙耶の表情で罠にハマてしまっていたことに気付きました。
や…やられました。まさか、録音までしてるとは…ということはあの諦めた方が良い発言もワザだったということなのでしょうか…そんな事をするということは最初から友達の話が嘘だってことがバレてたって可能性も…?
それはひとまず置いといてどうしましょう、どうにかして否定しなければ…
「そ…そうです!口が滑っただけです!」
咄嗟に思い付いたので無理やりなのは分かっていますがこれで逃げ切るしか私に道はありません。
「へぇ~、冬雪は口が滑ったらおにぃちゃん好き!って言っちゃうような子だったんだね!」
沙耶のからかいに耐えきれず、私はひとまずトイレに向かい言い訳を考えることにしました。
「そんなこと言ってないよ!もぅ!トイレ行ってくる!」
「ごゆっくり~!」
私の反応に笑っている沙耶に言って私は席を立ち、トイレに向かいます。
「もう!沙耶ったら!」
私が沙耶になんて言い訳をしようか考えていた時、近くの席で愛しのおにぃちゃんらしき人物がいました!制服も私と同じ高校のやつですしあれは、もしかして本当におにぃちゃんなのでは!?
「ねぇ、おにぃちゃん!どうしてここ………」
私は目の前で起きていることに言葉を失います。
え?これはどういうこと?夢だよね?
『ねぇ、おにぃちゃん…何で、琴音さんとキスしてるの………?』
やっと、冬雪が…!
やっとですよ!みなさん!
え?そんなことよりほかに言うべきことがあるだろって?
分かりました…(茶番の始まりです)
えっと、明日も投稿するので昨日と一昨日投稿できなかったこと許してくれませんか?
え?許さないだって?
もう、しょうがないなぁ!ていう事で明日2話分できたら投稿します。できなくても明後日には有言実行します。なので、許してください!マジで…偏頭痛のせいで全くできなかったんです…
そして気になったり、冬雪!応援してるぞ!と思ってくれた方はブクマとポイント評価よろしくお願いします。
してくれた方にはもれなく明日、朝食がすべてバナナの味がする魔法をかけます。