2.俺に新しく学園NO.1美少女の妹ができた日。 【後編】
一話の前書きに登場人物の名前を書いときますので読み方が分からなければ一話を読みに行っていただけると嬉しいです。
「ちょっと父さん、もしかしてこの人が詩子さんで隣にいるのがその娘さんだなんて言わないよね?」
俺は状況が呑み込めず半信半疑になりながら父さんにだけ聞こえるように聞いた。【秒殺姫】と兄妹になるって修羅場以外の何物でもないだろ…
「そうだが?やはりクラスメートと兄妹になるのは嫌か?」
流石に本音は言えないので嘘をつくしか俺に残った選択肢はない。
「いや、そういうわけではないんだけど…」
SOSを求めて俺は冬雪に視線を送る。しかしその視線に冬雪は気づかず何故か初対面の鈴谷を睨みながらボツボツと独り言を呟いていた。
「え、あの胸のサイズは…D?いやそれいじょうかも…少なくとも私より大きいじゃない!私のおにぃちゃんをそのチートアイテムで誘惑したら妹であり将来のお嫁さんである私が許さないんだから!」
今この鈴谷家と水瀬家のいるこの状況で冬雪に「なんて言ったんだ?」なんて空気の読めない事はできないので黙って無視しておく。そんな事より俺にはやりたい事があった…
「あのさ、ちょっと外で話さないか?」
鈴谷に聞きたいことがたくさんあるしその内容はとてもじゃないけど父さんと詩子さんに聞かれてはいけないので外で話そうという提案をしたわけなんだけど…そりゃ大嫌いな俺と二人きりで話したくはないよな。俺には鈴谷が嫌がっているように見えた。
「え、あ…うん」
「すみません、娘さんを少しだけお借りしますね」
そういって俺は鈴谷を玄関に連れてきた。靴を履いて外に行こうとしたときに何故か鈴谷が俺の服の袖をつかんできた。
「ねぇ…私は灯夜くんの部屋で話したいなぁ…」
俺はまさかの言葉に驚きが隠せなかった。さっきもそうだったけどいつから鈴谷は嫌いな俺の事を下の名前で呼び始めたんだ?いや、そうじゃなくて何で鈴谷は嫌いな相手の部屋で話したがるんだ?
「まぁ、別に話す場所はどこでもいいんだけどさぁ…」
この言葉に反応するように鈴谷は笑顔で「ありがとう!」と言ってきた。
流石にここで無視するのはよくないと思ったので適当に「おう」とだけ言っておいた。
何故、俺の部屋に入りたがってるんだ?と思いながらも一応鈴谷を二階にある俺の部屋に連れていく。
「ここが俺の部屋だよ」
***
「……ここがいつも灯夜くんが暮らしている部屋…スゥゥゥ」
私は山頂の空気を吸う、そんな思いで空気を吸います。いつも灯夜くんが暮らしている部屋……そう思うと私の自制心はあっという間に破壊されてしまいます。凄すぎです、灯夜くんの部屋の力。
私の辞書には自制心という言葉はすでになくなっており無意識にベッドに座ってしまいました。本当は寝てみたかったのですがさすがに寝るのは恥ずかしいので家族になるわけですし今度一人で部屋に入った時に堪能させてもらいますね!
「ついてきてもらった理由なんだけどさ、実は前から言いたかったんだけど……」
灯夜くんは真剣な目で私を見てきます。
あれ…これってもしかして…
「鈴谷ってさ…俺の事……」
告白だよねぇぇぇ!!これもう気持ちバレっちゃってるよねぇ!?恥ずかしさのあまり死んじゃいそうだよ私!、鼓動が激しくなって…心臓が早鐘を打っているのが私でもわかりました。うん、そうだよ!私はずっと前から灯夜くんの事が………
「大っ嫌いだよな?」
「え………?」
あれ?もしかしてここって夢なのかな?あれ、でもいつになっても目が覚めないなぁ。私は何とかして必死に涙を流すのをこらえます。
「嫌い?私が灯夜くんのことを?」
聞き間違いという可能性にすがる思いでもう一度聞くのだけれど…
「そうだよ」
「だからさ、本当に謝りたいんだ。俺と兄妹になんてなりたくないよな?本当に大事な時以外は話さないようにするからさ、許してほしいんだ。」
堪えていた涙は私の気持ちを理解しているかのように流れます。私は灯夜くんの事が大好きなのに。同棲してみたいってずっと思ってたのに…なんで…なんで…
「え…なんで泣いてるの?」
私の気持ちが何一つ伝わっていなかったと思うと…悲しくて…
「私は…灯夜くんの事が嫌いじゃないから…二度と話しかけないとかそんなこと言わないで…」
好きだって伝えたいけれど、今この状態で私に言う覚悟はさすがにない。だから代わりに嫌いじゃないという言葉を選んだ。
「でも、いつも俺の事睨んでくるじゃん」
睨んでないのに…みつめてるだけなのに。
「睨んでないよ!ただずっとみつめていただけだよ!」
今の私に言葉の取捨選択する余裕なんてあるはずもなく、本来誤魔化すべきところで本当のことを言ってしまいました。
「みつめていたってどういう…」
涙は自然と収まっていましたが涙目だけはどうにもなりません。
「そ…それは…その…」
頭をフル回転させてこの私自身の誤った発言に対する最適解を求めたのですが答えは一切見つかりません。
もう、やはりここは勇気を出して告白すべきなのでしょうか。
「そんなのどうだっていいじゃない!兎に角私は灯夜くんの事が嫌いじゃないから…寧ろ灯夜くんの事が…」
「俺の事が?」
いけないですね。今日は地雷を作り過ぎてしまっています。これ以上調子を乱してしまうといくら鈍感な灯夜くんでさえ私の気持ちに気付いてしまいますね。どうにかしないと…
「深掘りしないで!兎に角本当に灯夜くんの事は嫌いじゃないから!それだけは信じて!」
「いや、信じてと言われても」
嫌われていると思っていた人に突然「それだけは信じて!」と言われても灯夜くんのように信じてはくれないでしょう。それは分かっていますが…理解したくはありません。
「え…ちょっと…」
私は自分の顔を灯夜くんに近づけます。私の事を信じてくれていない以上私は勇気を振り絞って分からせてあげないといけません。
「ちゅっ!」
流石に唇にキスは出来ないのでほっぺにキスをします。灯夜くんは先ほどの私と同様に動揺が隠しきれていませんね。この勢いに任せるように私は自分の人差し指を灯夜くんの唇にくっつけます。
「次、変な誤解したらキス…するからね!」
私は勇気を振り絞って言ったのですがこの空気に耐えられないのと恥ずかしい気持ちがあったのでこの言葉を伝えてすぐに私は灯夜くんの部屋を後にしました。
「ちゅっ!」
私は灯夜くんの部屋を出て目の前の廊下で人差し指にキスをしてしまいます。
「誤解されちゃってたけど私の気持ちをいつかは伝えるんだから!」
私が灯夜くんと間接キスをしたのは誰にも言えない秘密ですね。
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