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12.鈴谷….それはずるいだろ…


「よぉ、灯夜!そんな寝不足な顔して何かあったのか?」


はははっ…寝不足か…そうだな、たった三時間しか寝れてねぇよ!


「大正解だぞ、啓介!ということで、おやすみ…」


こいつの名前は加藤啓介。イケメンではあると思うがそこまでモテるわけじゃない。たまに女子に告白される上の下くらいのやつだ。まぁ、そんなこいつが俺にとって唯一の男友達なわけだけど…


「何があったのか俺にも教えてくれよ!」


「何にもねぇよ、そんじゃ、おやすみ」


そう言って俺は顔を伏せる。何があったか?そんなの言えるわけねぇだろ!


***


これは、昨日の夜…まぁ、三時間しか寝れなくなった原因の話だ。


「それじゃあ、おにぃちゃん!今日も一緒に寝ようか!」


おい、なぜ俺の布団に勝手に入ってる我が妹よ!布団を少しだけはいで手招きしてくるし…そしてなんで冬雪をそんな羨ましそうな目で見ているんだ鈴谷。


「いや、冬雪…流石に自分の部屋で寝てくれよ…ほら、自分の部屋があるんだしさ…」


「え?おにぃちゃん…嘘だよね?」


そんな正気なの?みたいな目で見られても正気ですけど、としか言いようがないんですけど…

おい、ちょっと待って!え、なんでそんな涙目になるの?俺変なこと言った?すると、鈴谷が急に笑顔になり始めた。鈴谷は一体何を考えているんだ?


「さぁさぁ、それじゃあ、私たち二人だけで一緒に寝ようか!」


「いや、鈴谷がここで寝るのは別に構わないけど、鈴谷がここで寝るなら俺はリビングのソファーで寝るぞ」


え?いや、何で鈴谷までそんな泣きそうな顔するんだよ。そんな俺の部屋寝心地よくないぞ?男子と同じ部屋とか普通嫌がるだろ…


「まぁ、ていうことだからさ…」


鈴谷は俺の部屋から冬雪を追い出そうとすると冬雪は必死に抵抗しようとしていた。


「それなら、眞尋さんも私の部屋で一緒に寝ましょう」


「お!それはナイス提案!」


確かにその手があったか!俺の部屋で寝たいって言ってたから鈴谷を俺の部屋で寝かせてたわけだけど…一回だけでいいよね?だって鈴谷は女子なわけで…


「大丈夫、私は灯夜くんの部屋で寝るから…」


「何も大丈夫じゃありませんよ!眞尋さんだけいい思いするのはずるいです!なので眞尋さんも私の部屋で一緒に寝ましょう」


何故そんな頑なに俺の部屋で寝たがるんだよ!もう、夜遅いんだから早く冬雪の部屋に移動して寝てくれよ~。あと、いい思いって俺の部屋で寝ることの何がいい思いなんだよ…。


「いや、やめて!私は灯夜くんと一緒に寝るの!」


冬雪が布団から出て鈴谷を引っ張ると鈴谷はわーわー言いながら必死に抵抗していた。

いや、我儘な子かよ!鈴谷、お前本当にクラスにいるときの俺に対する対応と全然違うな!どういう事なんだよ!


「鈴谷、それじゃあ冬雪の部屋に移動しようか…」


俺は早く寝たいので、鈴谷を冬雪と協力して引っ張り出そうとしたら鈴谷は更に必死に抵抗するし、もう本当にどうしたらいいんだよ!今日も一緒に寝るのか?いや、でもそれは流石に俺の理性が…


「ねぇ、灯夜くんは私の事嫌いなの?」


え?なんで急にそんな質問してきたんだ?まぁ、別に嫌いなわけじゃないんだけどさ…


「嫌いじゃないけどさぁ…」


突然だけど俺は女の子の涙目はずるいと思う。ある程度のお願いなら叶えたいと思ってしまう。それに上目遣いが加わればなおさらだ。だから頼む鈴谷…そんな瞳で俺を見ないでくれ。


「じゃあ、一緒に寝てもいいよね?」


「それとこれとは話が別だろ!」


嫌いじゃなかったら一緒に寝て言いわけないだろ!と言いたかったけど時計の針が3時半を指していたのであんまり大声では言えなかった。ていうか、もうこんな時間かよ!本当に早く寝ないと!明日また学校なのに。


「ねぇ、一緒に…寝よ…」


おい、本当にずるいぞ。駄々をこねて失敗したら上目遣いになるその高等テクニックを今ここで使われると、移動しろって言えなくなっちゃうだろ?しかも、その顔は控えめに言って可愛いし…ていうか、こいつ俺の事嫌いなんだよな?なんで嫌いな奴の布団に入って一緒に寝たいんだ?もしかして、兄妹になるからって俺のことを克服しようとしてくれているのか?でも、それならわざわざ一緒に寝たがる必要はないか…


「そんな甘えん坊みたいな言い方しても無駄だぞ?」


すると、鈴谷は諦めたのか急に立ち上がりドアを開けた。


「ふん!私と一緒に寝なかったこと後悔させるんだから!」


鈴谷は一緒に寝ないことを後悔させるらしい。どうやるのやら…ていうか、流石に変な事はしないよな?

そして、さすがにこの時間だし睡魔に負けたのか欠伸をして冬雪は俺の部屋から出ようとした。


「おにぃちゃん…おやすみなさい…」


俺は欠伸しながら適当に「うん、お休み」と言うと鈴谷は不貞腐れたように頬を膨らませて部屋を出ようとする。


「灯夜くん、おやすみ」


鈴谷が俺の部屋の扉をしっかり閉めたのを確認して俺は溜息をつく。


「はぁ、本当に…鈴谷は俺のことが嫌いなんだよな?なのにどうして…」


目を閉じて俺は考え事をする。

『嫌いとか言わないで!』

と、言われはしたがどうしてもまだ信じきれなかった。それだったらなんでいつも俺の事を睨んでたの?ってなるし…もう、訳分からん。


そう考えているうちに俺は眠りについていた。


ちなみにこの後、学校でも授業の大半寝ちゃってそのまま家に帰ってもずっと寝っちゃってたっていうのは後々先生や鈴谷や冬雪にめっちゃ怒られたから内緒ということで…


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