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プロローグ
ファンデーションで作った白い肌、くるんとカールした長い睫毛、淡いピンク色の唇、薔薇色の頬。
完璧な仕上がりだ。ファッション誌やメイクに関するハウツー本を買い漁った甲斐があった。
皺ひとつないセーラー服のスカートを翻し、軽くポーズを取って見せる。鏡の中でサラサラ黒髪ストレートの女子高生が微笑みを浮かべながらこちらを見ていた。
「ククク……」
薔薇色の高校生活を夢想しながら鏡の前で噛み殺したような笑い声を上げる。
我ながらゾッとするほど高いクオリティの女子高生が完成した。
まさか俺が男だなんて誰も思わないだろう。