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第三話 -1ー

...ここは、どこだ?

俺、瀬戸川律は目を覚ます。

身体を起こしてあたりを見回す。

まず目に入ったのは花瓶。そして、襖、畳と、ここが和室であることを理解する。

「ああ、家か...」

呟いたその声は、おおよそ男子高校生から発されるものではない、高い声。ん?待て待て今の俺の声じゃないぞと振り向くとそこには鏡があった。

そこに映るは鮮やかなオレンジ色の長髪と、橙色の左目と空色の右目を持った外見年齢12歳ほどの少女だった。

「な...なんだこれ...どういうことだ...」

俺が喋るのと連動して、鏡の中の少女も動く。

ということは間違いない、この少女は俺だ。

「っ...兄さん!?起きたの!?」

がららっっと襖が開き、部屋に入ってきたのは蒼空。

「大丈夫!?頭とか痛くない!?」

「蒼空ぁ!なんで俺、ロリになってんの!?」

蒼空の肩を引っ掴んでゆっさゆっさと揺らす。

「あうあうあう、兄さん落ち着いて」

「これが落ち着いてられるかぁ!」




その後、蒼空が事の経緯を説明してくれた。

俺が女児になったのは、桜井の『反転』という能力が主な原因だそうだ。

俺が攻撃を受けた後、桜井は『反転』を使った。

攻撃という現象を反転させた訳だから、当然あの熊に攻撃は当たる。

しかし、その時に反転したのは攻撃だけではなかった。

生死と性別。

俺は1回死んで、その後反転によって「死んでいる」という状態から「生きている」という状態に書き換えられた。

そして、同時に俺の体が男であるという状態も反転して、女になったらしい。

その後過時の「巻き戻す」能力によって身体機能の回復が行われた。

そしてその後、蒼空の血を混ぜる能力によって今の身体になったと。

「俺...一度死んだのか?」

「うん。皆の攻撃一斉にうけたみたいなものだからね。熱、光、音、空間、質量。こんなに能力をまとめて受けて、死なないわけないでしょ?」

それはそうだ。だが、俺には聞かないといけないことがある。

少し言い淀んで、でもしっかり言葉にする。

「俺、これからこの体生きてかないといけないの?」

「そうなるね」

蒼空はあっさりと肯定の言葉を口にする。

そして、少し躊躇うように続けた。

「落ち着いて聞いてね。あの後、兄さんは...死んだことになったの」

その言葉を聞いた時、俺は意外にもほとんど何も感じなかった。

「ごめんね...」

蒼空が申し訳なさそうに謝る。

「そっか...俺、死んじゃったか」

「うん...。でもね、兄さん。私以外にも、慧ちゃん、珠璃ちゃん、舞ちゃん、達くん、迅くん、寧華ちゃんも知ってるの。だからね、心配しなくても大丈夫だよ!」

蒼空が取り繕うように言った。

「俺は大丈夫だよ。心配かけてごめん」

これ以上蒼空に暗い顔をして欲しくなかったから、話題を変える。

「そういえばさ、俺女の子の身体について何も知らないんだ。それで生活出来るかな?」

俺の疑問に、

「そこは私に任せて、大丈夫」

妙に自信満々に言い切る蒼空。

そうだ、と蒼空は言葉を繋ぐ。

「新しい名前、決めないといけないね」

と言う。

「名前って...?」

「新しい戸籍のために、ね。手続きはパパとママがしてくれるって」

「そっか...ありがとね」

呟くように言うとなんでだろう、涙が溢れてきた。

「兄さん...」

蒼空が何か言おうとしたが、思いとどまったようで、静かに、でも力強く俺を抱きしめ、頭を撫でてくれた。


「ただいまー...蒼空、とそっちは...律?」

しばらくして母さんが帰ってきた。長期の海外出張の最中だったが今回の件でわざわざ帰国してくれたらしい。

「お母さん、おかえり」

「おかえり、母さん」

母さんは驚いたようだったが、事前に聞いていたらしく、多少は落ち着いているように見えた。

「律。かわいくなったわね!!!」

宣言撤回。落ち着いてはいなかったわ。抱きつかれてなされるままにしていると、

「お母さん、名前とか決めなきゃ」

と、蒼空が言った。

「それもそうね、戸籍とかもあるし」

名前...か。

「わたしは瑠璃とかいいと思うけど」

と、蒼空。

「ま、私達だけで決めるのもなんだし、パパが帰ってくるのを待ちましょうか」

そういった。


しばらくして父さんが帰ってきてから、

四人で家族会議。

「とりあえず、『り』は入れたいの。『律』の『り』。」

という蒼空の言葉と、二文字にしたいという意見が母さんから出たが、一向に決まらない。

自分の名前、自分の名前...あ!

「百合、とかどう?」

思いついた。うん、我ながらいい名前だと思う。

「いいんじゃない?でも、字は変えよっか」

蒼空はそういって、こう書いた


由莉、と。

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