登校初日その3
「由梨。一緒に部活行くよ」
お姉ちゃんに言われて、席を立つ。周りの視線はまだ感じるけど、もう帰りのHRも終わった後。1時間目よりかは少なくなった。
ロッカーまで行って、この身体ではとても大きく感じる自分のカバンを手に取る。
「行こっか。....ふあ...ぁ...」
「由梨、大丈夫?しんどかったら言ってね?」
「うん......ちょっと眠いだけだよ」
「ほんと?無理はしないようにね」
「わかった」
心配そうにこっちを見つめるお姉ちゃん。大丈夫だって言ってるのに...。
「由梨、蒼空。また明日ね」
にこり、と微笑みながら、亜夏巴が言った。
「うん、また明日」
「亜夏巴、またね」
2人で続けて言う。それから、2人で部室へと歩き出す。
「ねえ、由梨、さ。」
「...なに?」
「最初、挨拶の時。緊張してた?」
「うん!当たり前じゃん!...でも」
「...?」
「緊張、と言うよりかは...怖かった」
「由梨...」
「この身体になって。分からないことだらけで。周りは自分より全然大きくて。あっ....ごめんね、こんな辛気臭い話しちゃって」
話が暗い方に行ったので、仕切り直す。
「でもさ、お姉ちゃんとか、迅兄さんとか、亜夏巴とかさ。他の皆も。皆良くしてくれて、嬉しかったよ?...ありがとう、お姉ちゃん」
「どういたしまして。って言っても私何もして無いけど」
少し、照れた様に笑み、
「ほら、着いたよ」
と、話題を変える。
「久しぶりだなぁ...ここ」
久しぶり。もう一度言って、戸を開く。
「よーっす、昼ぶり!」
「あー!由梨ちゃん、現国のここ、教えてよ!」
「お前らちょっとは練習しろよ!」
「珠璃、うるさい」
「お前もお前だよ迅!」
騒がしいメンバーに迎えられた。
「おかえりー、由梨」
舞の何気ない、ほんわかした声で、私の涙腺は崩壊してしまった。
「落ち着いた?全く、なんでここまで感受性豊かになるかなぁ」
「だって、だってぇ」
「子供かよ...ったく」
結局、練習が出来なかったこと、泣いている由梨を見た慧が鼻血を出して倒れたことを、この珠璃が捕捉しておく。




