1 モールにて
はあ!?なんで!!
「だって、百合ちゃん、計算苦手でしょ?」
「この程度の買い物、小学生だってできるわ!」
「だから、心配・・・」
「目うるませて、ヒトをみくだすんじゃなーいい!!」
なぜが、部活の買い出しに、『こいつ』がいる。
木佐西都について1
所属の陸部の買い出しじゃんけんに破れ、休日がつぶれた!!と落ち込む(なきっつらな)わたしに
どこから、聞きつけたのか、ハチが(←こいつ木佐)やってきた。県下最大のスポーツショップの
ある海沿いのモール、しかも
「デートって感じだよね♥」
観覧車を背景に・・・
まじびびる。
「ささっと買い物済ます」
「そして、ゆっくり楽しもうね」
「帰ろう」
早足でモールへ急ぐ。
流石に休日のモール。騒がしい。
「さて、もうしまいかな?」
買い物メモの内容は消化したはず。
「百合ちゃん。お茶しよ」
後ろからちょこちょこ顔を出すあいつは無視。
帰ろう。せっかくの休日だ。
「お!野辺山じゃね?」
「威!?なにやってんの?」
陸部の同期・・・
「おい!モールくるなら、買い出しやってよ!!」
「ごめ、でも負けたの、おめーじゃん。んん」
はっ!後ろには木佐がいるんだっけ・・・
「なんだよ、おめ^だって、デートにかこつけてんじゃん!!」
「いや、え」
いや、デートじゃないし・・・?
「野辺山さんと同じ陸部のヒトですか! よかった。代わってくださいよ!!」
ええ!?
「せっかくの休日にモールに来たら、捕まっちゃって。同じクラスで、野辺山さん計算苦手なもんだから。荷物持ちにもって、さっきまで、この荷物持たされてたんですよ。よかった。さっさと遊びにいきたいんで。お願いしますよ!」
何いっとるんだ自分!?
「ええ!? そりゃ災難だな。おいっ野辺山! お礼に茶でもおごってやれよ! 俺、これから約束あるんで、じゃ」
「え、ちょっと、威!」
足早に、人混みの中に消えていく。
「よかったね」
後ろから声に思わず振り向く。
「ちょっと、木佐。あんた何言って」
「ばれなくて済んだでしょ」
こいつ・・・
ま、いっか。もう終わったことだし、さっさと帰って・・・
「さ、お茶いこ。百合ちゃん」
「はあ、何言ってんの!?」
「荷物持ちのお礼♥ はい、デートの口実できたでしょ」
・・・・
酷い奴
こうして、貴重な休日は見事につぶれた。
「おしゃれだね〜」
「なんであんた、こんな店しってんのよ」
「企業秘密〜」