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始まり
数多の魔族が奇声や歓声をあげるなか、悠々と歩く一人の男がいた。
そう。
彼こそが三代目魔王にして初めて世界を統一した魔王であられる、デュ ビオス フォード グレイスである。
今はちょうど、この世界で最後に制圧をすることとなった人族の城を攻め落とした所だった。
彼は城を攻め落とした後、彼は自らの本城であるアヴァロン城へと帰還しようとしていたのだ。
グレイスは世界を統一したにも関わらず、ため息をついた。
「これでもう俺に逆らう奴はいなくなった。」
その声はどこか寂しげに聞こえた。
「退屈だ。」
俺は常に全ての敵を力で制圧してきた。
新たな敵に未知の場所、そういうことだけで俺は楽しんできた。
だがそれはもうない。
全て終わったのだ。
そう思ったその刹那、俺は魔術を感じた。
どこか遠いこの世界ではないどこかからの魔術を感じたのだ。
ニヤリ。
一瞬目を光らせ、口角をあげた次の瞬間。
もうそこに彼の姿はなかった。