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第七話  ドラゴン退治

気分転換にひっさびさの投稿です。もうこれ一年くらい書いてなかったんじゃないかな。改めて昔の文章を読み返してみて、あまりの酷さに愕然としました。

 さて、当初の目的であった登録は済んだ訳だが、この後どうするかな。このまま今日は登録だけにして帰ってもいいんだが、せっかくだし何か依頼を受けておくか。


 「レイ、受けてみたい依頼とかあるか?」

 「んー、ドラゴンたおしてみたい」


 ……レイって、ドラゴンから生まれたんだよな?いいの?思いっきり産みの親と同族だよ?


 《いえ、産みの親はフェイト様、という認識になっていますね。そもそもレイは別種族になっていますし、ドラゴンに対しての思い入れは特にないかと》


 あ、そうなんだ。ならまあ安心だな。


 受付嬢の方に向き直って、口を開く。


 「じゃあ、ドラゴン系の討伐依頼の一覧を頼む」

 「はい、どうぞ」


 さっきまでの憎々しい態度とは打って変わって、普通の笑顔で書類を渡された。心変わりでもしたのか?まあ、さすがに貴族と敵対するのはマズイって判断したってとこだろうが。


 アリスとレイにも一緒に見せる。




『採取依頼ランクG:ドラゴンフルーツの納品』




 果物屋で買えよぉぉぉぉ!!っていうか、ドラゴンと全く関係ないじゃねえか!名前だけだよ!




『討伐依頼ランクF:リザードマンの討伐』

『討伐依頼ランクF:ドラゴニック盗賊団討伐の荷物持ち』




 だから、ドラゴン関係ないじゃねえか!!ふざけてんじゃねえぞ。喧嘩売ってんのかオイ!


 《ハァ……。フェイト様、ドラゴンの討伐は最低でもランクC以上であることが推奨されます。ランクG如きが受けられる依頼の中にある訳がないでしょう。本当にどうしようもない馬鹿ですね》


 ……あ。確かに。

 ヤバい、完全に盲点だった。確かにこれはどうしようもない馬鹿だな。悔しいが、否定できない。


 っていうか、受付嬢(アイツ)分かってて渡したんだよな!?


 そう思って、受付嬢を見てみると。


 「 (プークスクス。) (超馬鹿じゃんw) (こんな程度で) (貴い一族とかwww)


 コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス。


 ぐぅぅ、完全に盲点だった。どうするか?このままこいつに馬鹿にされたままじゃ絶対に嫌だ。アリスやレイも見てるんだぞ?娘に格好悪い姿は見せたくない。


 考えろ。この状況を打破する方法を。


 ……。

 …………。

 ………………。

 ……………………。

 …………………………。


 そうだ、『ドラゴンフルーツの採取依頼』。


 「受付嬢、ランクGとランクFの採取依頼の一覧表を見せてくれ」

 「採取依頼……ですか?はい、どうぞ」


 俺の言葉に一瞬怪訝な顔をしたものの、すぐにまとめて渡してくれた。


 ざっと目を通す。……うん、問題ないな。


 「じゃあ、この依頼を全てエクスキューショナーズで受ける」

 「全て、ですか?」


 受付嬢が何言ってんのこいつ?馬鹿なの?死ぬの?って顔で見てくるが無視。


 「ああ、全てだよ。さっさと受理しろ」

 「は、はい。……これで大丈夫です」


 腐ってもプロ、受付嬢の手際は良かった。


 「フェイト様、どうするのですか?」


 アリスが首を傾げて問いかけてくる。可愛い。


 「まあ、ちょっと見てろ」


 自慢げにドヤ顔をしておく。


 よし、じゃあやりますか。


 『限界制約』解除。帝級能力(アルティメットスキル)、『物質作成〝極〟』発動!!

 この能力(スキル)を使えば、この世のほとんどのものは自由に作成できる。発動にはMPが必要だが、∞の俺には関係ない。作成し放題だ。

 そして、採取依頼にある物をアイテムボックスの中に片っ端から作っていく。アイテムボックスの中で製造することによって、現実世界からは何もしていないように見えるのだ!


 そして。


 「これで、依頼達成だ」


 受付嬢の目の前にアイテムボックスを開き、カウンターの上にドサドサと乗せた。


 「確認してくれ」

 「は、はい」


 一つずつ確認し始める受付嬢。手が足りないと思ったのか、他の職員にも手伝ってもらっている。


 適当にアリスといちゃついたりレイを撫でたりして過ごしながら、十分後。


 「……全依頼の達成を確認しました。報酬です」


 金ゲット。まあ、腐る程持ってるからいらんけど。


 「ギルドカードをお貸しください」


 余計な仕事をやらせやがってという恨みがましい受付嬢の視線を受けながら、全員分のカードを渡した。


 「はい、ポイントを入れて……」


 なんか謎の機会を操作して、カードに登録されているポイントを上げているようだ。


 そして。


 「おめでとうございます。みなさん、Eランクに上がりました」


 舌打ちを小さく鳴らしてから、ランク上昇を教えてくれた。


 そうそう、これだよこれ。


 「じゃあ、次はEとDランクの採取依頼を全部頼む」

 「な!?まさか……」


 ここまでくればお気付きだろうが、俺の作戦はこうだ。

 一瞬で片付く採取依頼を繰り返して、ドラゴン討伐依頼を受けられるまでランクを上げる。


 《恐ろしく無駄なことをしていますね。そもそも、ドラゴン討伐なら依頼を受ける必要ありませんし。普通にプライベートでやればよかったじゃないですか》


 いや、まあ、それはそうなんだけどさ。ここで引き下がったら、負けたみたいでなんか嫌じゃん。

 それに、二人の前じゃカッコつけたいしな。


 ほら、見てみろよ。アリスのさすがフェイト様ですって言いたげなドヤ顔と、レイのパパすご〜いって言いたげなキラキラした瞳を。


 「さすがフェイト様です」

 「パパすご〜い」


 あ、本当に言った。


 この後も俺の完璧な作戦でランクを上げていき、1時間後にはAランクにまで到達していた。


 「よし、これならさすがにドラゴン討伐依頼も受けられるだろ。一覧をくれ」

 「今現在依頼されているドラゴン系のモンスター討伐は一件だけです」


 そう言って、依頼票を手渡してきた。




『討伐依頼ランクS:カオスドラゴンの討伐』




 どうやら、近くの山にドラゴンが出没しているらしく、早急に倒して欲しいらしい。

 ……これ、緊急依頼並みに重要じゃないのか?なんで誰も受けてないんだろうか。


 《おそらく、いら——》


 あー、理由とか別にどうでもいいから。受けられるんなら関係ないし。


 「レイ、これでいいか?」

 「うんっ!パパありがとう」


 輝くような笑顔のレイ。

 そんな可愛い笑顔が見れて、礼を言うのは俺の方だよ。


 「じゃ、これで頼む」


 瞬間移動でもして、ささっと片付けに行きますかね。


 「うわ、アレ受けんのかよ」

 「やっぱあいつの仲間なんじゃ」

 「っていうか、Sランクとか調子乗りすぎだろ」

 「そうね。いくら宮廷魔法師並みの護衛がいるとはいっても、無茶よ」

 「あーあ、かわいそうに。護衛の子、若いのになぁ」


 なんか好き勝手言われてるんだが。


 まあでも確かにその通りだよな。普通に考えたら絶対に無理だ。いや、絶対ではないだろうが、限りなく厳しいのには違いない。


 とはいえ、俺たちは全員が神。余裕にもほどがある。


 ギルドから出て、一旦部屋に帰った。


 「じゃあ行こうぜ」

 「はい」


 アリスはもう慣れたようで、瞬間移動のために俺の手を握った。


 「レイもフェイト様の手を握ってください」


 首を傾げているレイに、アリスが呼びかけた。


 「わかった、ママ」


 小さな手が、俺の手をぎゅっと握ってくる。癒されるなぁ。


 それじゃあ、スティ頼む。


 《はいはい。『瞬間移動』発動します》


 はいはいってなんだ。適当すぎるだろ。喧嘩売ってんのか。



◇◇◇◇



 「えーと、この近くにドラゴンがいるんだよな」

 「向こうの方向にいるみたいですね」


 そう言ってアリスは右を指差した。


 なんで若干遠いところに送るんだよ。


 《ドラゴンの目の前に転移したかったのですか?それでしたら、今からフェイト様だけ送りますが》


 すみませんでした。よく考えずに言いました。許してくださいお願いします。


 ていうかこれ、完全に主従逆転してるよね?

 こいつ生意気だし性格悪いし、もう消そうかな。


 《フェイト様の能力値やら能力(スキル)やらを巻き添えにしますよ?そして、私はバックアップを利用してまた戻ってきます》


 バックアップあんのかよ!?


 《はい。正確には、バックアップではなく本体が世界のシステムそのものに住み着いているので、この世界が存在する限り私は何度でも蘇ります》


 なんで人類の夢気取りなんだよ。

 こいつマジでラスボス感半端ないんだけど。システムそのものに寄生ってなんだよ。無敵じゃねえか。


 さすが邪神ヲ嘲笑ウ者イーヴィル・ザン・ジ・イーヴィルだな。


 《自爆しますよ?》


 申し訳ございませんでした。


 さて、閑話休題(それはともかく)


 「お、アレがカオスドラゴンかな?」


 少し歩くと、それらしき影が見え始めた。


 「わー、いた~!」


 はしゃぎながら駆けだすレイ。


 隣に目を向けると、アリスが微笑ましい物を見たように優しい笑顔になっている。

 こちらの視線に気づいたようで、アリスも俺の方を向いてきた。そして、二人で目を合わせて微笑み合う。


 …………。


 ねえ、ねえねえ。今の夫婦っぽくなかった?

 ぽかったよね?小さな娘を見守る若い夫婦的な!


 これもう絶対プロポーズしたらいけるだろ。


 《こうやって勘違いとは生まれていくものなのですね》


 やかましいわ。


 さてと、俺たちもレイに追いつくとしますか。


 「フェイト様……これは……」

 「……グロいな」


 近くでカオスドラゴンを見た俺たちは、ドン引きしていた。


 本来のトカゲのような顔の他に、狼や獅子などの明らかに別種族な顔がいくつも首から生えている。胴体には苦しみに悶える人の顔らしきものが張り付いており、黒いオーラを纏っておどろおどろしい雰囲気を出していた。尻尾もいくつも生えている。


 ドラゴン退治を楽しみにしていたレイも、相手がこれじゃあな。慰めるか。


 「レイ……なんというか、ごめんな、こんな奴で」

 《慰めになってませんよね?》


 悪かったな。小さい子を相手にしたことはあまりないんだよ。


 レイは俯いて、少し瞳を潤ませている。

 なんて声をかけようか。


 「すごい!かっこいい〜!」

 「えぇ!?あれがですか!?」


 レイがガバッと顔を上げたと思ったら、目を輝かせてそう言った。潤んでると思ったのは、異常に輝いてたからか。

 そんな反応にアリスは滅茶苦茶驚いてるな。っていうか、俺も衝撃なんだけど。いいの?あれでいいの?


 カオスドラゴンもこちらに気づいたようで、威嚇気味に咆哮をあげた。


 っていうか、そうだ。戦う前に相手のステータス見とかないと。




きめらん三号 カオスドラゴン ♂♀ 1歳 従魔


称号:捨てられたペット


LV.231


HP:72772726161612

MP:82735362626271

攻撃力:2837736362627

防御力:1838727526782

敏捷力:918722727271

魔錬力:5772727262724

抵抗力:7275326626277



魔術適正

火:8377272

水:72762262

風:62627377

電:29187171

土:777162667

光:10928272

闇:981722772


能力(スキル)


ランク唯一ユニーク

『混沌之覇者』

倒した相手の能力(スキル)を獲得し、この能力(スキル)に統合する。




 なんか名前とか性別とか職業とか称号とか色々とツッコミどころはあるけど、こいつ普通にヤバくねえか?

 ステータスは全体的にかなり高いし、能力(スキル)も超強力だ。

 取り込んだ能力(スキル)にもよるだろうが、普通に国家レベルの危機だぞこれ。なんで国が本腰を上げて対応しないんだ?ギリギリの戦いにはなるだろうが、倒せないことはないはずだろう。


 それを一冒険者に依頼するって……。というか、これどう考えてもSSランクじゃねえか。


 《それは恐らく、討伐に来た者を撃退することによって強くなったため、当初よりも危険度が上がったのに依頼をそのままにしているせいだと思います》


 なるほど。冒険者とかを殺すうちにレベルが上がってったのか。


 まあ、確かにだいぶ強いけど、それでも全然俺たちの敵ではないしな。


 「レイ、どうする?これ一人でやるか?」

 「うんっ!やりたい」

 「そうか。じゃあ頑張れ」


 力を込めて手を握り気合を入れているレイの頭を撫でて、激励した。


 「アリス、多分大丈夫だとは思うが万が一の場合はすぐに介入できるよう準備しておいてくれ」

 「了解です」


 アリスは少し頬を赤く染めながら返事をした。

 ……なんでちょっと赤いの?


 俺も一応剣を構えておくとするか。

 鞘からシェムハザを抜いて両手で持った。


 「じゃあいくよ!『りゅうじんか』!!」


 元気一杯に能力(スキル)名を唱えるレイ。


 レイの体が少しずつ変化していく。

 体の表面には鱗のような模様ができ、お尻からは虹色の尻尾が生えてきた。


 『龍神化』。急激に全ステータスが上昇する『神〜化』シリーズの一つだ。

 いきなりの切り札だな。ぶっちゃけ何も能力(スキル)使わなくても勝てると思うんだけど。


 「『りゅうじんとうき』!!」


 攻撃防御敏捷の能力値がアップする闘気系能力(スキル)の極致の一つ、『龍神闘気』。

 いや、いらないよね、それ。オーバーキルってレベルじゃないよ?RPGで一章のボスキャラに対ラスボスの最終装備一式で挑むようなものだよ?


 「『まどうとうき〝かみ〟』!!『しんてんとうき』!!」


 もう知ーらね。最強状態のレイにボコされるがいい。


 同じ肉体を変化させるタイプである『神龍化』と『ドラゴン・チェンジ』は同時には使えないから、これがレイの全力なのだ。


 「うぉぉぉぉ!」


 大声をあげて力んだと思ったら、次の瞬間にはカオスドラゴンの頭のうち一つを殴り飛ばしていた。


 『光速移動』を使ったのか。はたまた素の敏捷力だけであのスピードを出したのか。どちらにせよ、あの出鱈目な速度に対応できない限り、カオスドラゴンに勝ち目はない。


 テンポよく、頭が一つずつ吹っ飛んでいく。そして、全ての頭が胴体からちぎれていった。

 フルコンボだな。これで終わりか。


 《やったか!?》


 おい馬鹿やめろ。無駄にフラグを立ててんじゃねえ!


 すると、案の定と言うべきか、全ての頭が一瞬にして新たに生え変わった。かなりグロいな。

 しかし、あそこまでの再生能力を持っているとは。レイと相性最悪じゃないか?


 「やぁ!とぉ!」


 可愛らしい声で地形変えるレベルのパンチやキックを連発しているが、簡単に再生されて有効打にはなっていない。


 《帝級能力アルティメットスキルの『完全再生』を持っていますね。倒すためには、高位の封印を施すか、全てを同時に消し飛ばす高火力の魔法が必要です》


 つまり、完全に肉弾戦メインのレイには決定打になる技がないため、どうしようもないということか。レイだってある程度の魔法までなら使えると思うのだが、さすがにそこまでの威力を持ったものは無理だろう。


 さすがにこのままいったって、格下相手であるのだから負けることは無いと思うが、決着がつかないということになりかねない。


 ここは介入すべきか。


 そう思い、アリスに声をかけようとしたところで、スティが止めてきた。


 《問題ありませんよ。もうすぐ片が付くでしょう》


 どういうことだ?レイに勝ち目はあるのか?


 《勿論です。そもそも、レイも『森羅万象』を所持しているのですから、通常の攻撃では勝てないと最初から理解していました。無駄な攻撃を繰り返しているのは、相手の攻撃を封じつつ時間稼ぎをするためですよ》


 つまり作戦があるってことか。一体レイはどうやって倒すつもりだ?

近々大幅改稿をするかもしれません。

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生まれた時から『世界』最強 〜理不尽を理不尽で捩じ伏せる〜
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