第二話 死にかけ(?)の魔王女
更新遅れました。試験準備期間中なので、ご容赦を。
仲間の方針と、所持金について、多少修正しました。
家を出てから一週間がたった。
と、いう訳で、俺は冒険者になることにした。
この世界の冒険者は、良くある魔物退治の専門家だ。一般的な現代のイメージと同じだな。俺が住んでいたアナカーダにも冒険者ギルドはあるのだが、公爵の息子がその領地で冒険者をやるのは無理だろうから、というか凄い悪目立ちしそうだから、この町からは離れようと思う。ていうか、ぶっちゃけこの国自体から出ようかなと思っている。
アナカーダは西の国、ララブの極東にある。そのままアナカーダから東に行けば、中央の国、ラザンタに着くのだ。俺はそこに行こうと思う。
さて、冒険者になって、俺はどんなスタイルで生きよう?とりあえず、今考えている方針をまとめよう。
1、極力目立たない普通の冒険者になる。
これは、俺の変なステータスがあるから完全には出来ないかもしれないが、それでもある程度は普通がいい。目立って、面倒ごとに巻き込まれたくはない。……本当だよ?
2、噂になり始めたら移動する。
これも、目立たないためには必要だろう。
3、危機があれば一応本気出す。
いくら目立ちたくないとはいっても、人々を見捨てることはしたくないからな。
こんなところかな。次は戦闘スタイルか。ま、俺は何でも出来るし、考える必要は無いか。まあ、でも、一応、剣ぐらいは持っておこう。王級なら素材無しでも作れるしな。武器作成〝極〟発動!!
よし、出来た。作った剣はこんな感じだ。
王剣シェムハザ 純白で普通の大きさの長剣。MPを流すと、斬撃を飛ばすことができる。
王剣サンダルフォン 白銀の普通の短剣で、MPを流すと、切れ味が高くなる。
どーだ、凄いだろ。天使の名を冠する王級の剣だぜ。ちなみにうちの家宝の武器と同等。普段はシェムハザを使って、予備にサンダルフォンを持っておこうかな。シェムハザは腰にさしておいて、サンダルフォンはアイテムボックスに入れておこう。
アイテムボックス。定番だが便利だな。下級能力なので、持っている人も多い。ちなみに、容量は使用者のMP依存。MP1ごとに1kg入る。ま、9999kgもあれば、不自由はしないさ。
さて、そろそろ中央の国の左端の国境が見えてきた。関所には兵士が何人か居て、国境を越える者の審査を行っている。
思ったよりも早く関所に着いた。幸い他に入る人はいなかったので、並ばずに済んだ。
「入国希望の方ですか?」
赤色の鎧を着た兵士が俺に話しかけてきた。
「はい、そうです」
「えーと、冒険者の方でしょうか?」
俺が帯刀しているのを見て、そう考えたんだろう。
「いえ、違いますよ。ただの旅の者です。まあ、中央の国で冒険者になるつもりですがね」
「そうですか、頑張ってください。身分証明書は持っていますか?」
「はい」
と言って、親から渡された身分証明書を渡す。
「――――ッ!?すみません。貴族様でしたか。ご無礼申し訳ありませんでした」
「いえ、別に構わないですよ」
「ありがとうございます。職業を調べさせてもらいますが、よろしいでしょうか?」
「勿論です」
「では。……ステータスの方も問題ないですね。お通りください。ようこそ中央の国へ」
どうやら兵士は魔眼持ちで、俺の職業が盗賊になっていないか確認したらしい。まあ、犯罪者を国に入れるわけにはいかないだろうから当然だろうな。
職業というのはこの部分だ。
フェイト・ウェアーリークス 人族 男 15歳 貴族←この部分
称号:異世界からの転生者
LV.1
HP:9999
MP:9999
攻撃力:999
防御力:999
敏捷力:999
魔錬力:999
抵抗力:999
魔術適正
火:99999
水:99999
風:99999
電:99999
土:99999
光:99999
闇:99999
盗みや暴力行為を働いているとあそこが盗賊になる。ちなみにやったことの方向性で海賊、山賊、そしてその三つを全て兼ね備えた凶賊がある。職業がこの四つの内のどれかになっていると当然町に入れない。こうなってしまうと、職業は変えられなくなり、ステータス偽装で取り繕うしかなくなる。……別ニ、犯罪ヲシテ取リ繕ウツモリハ無イヨ。ホントダヨ。
俺は身分証明書を返してもらい、国境に設置してある門をくぐった。
◇◇◇
中央の国最西端の都市、エバドン。規模はそこまで大きくはないが、まあまあ賑わっており、大抵の施設はそろっている。
ここに着いてまずは宿屋を探した。入ってすぐに一つあったので、見てみることにした。
「泊まりですか?」
俺が入ってすぐにカウンターにいる中年の女性が俺にそう聞いてきた。
「はい」
「期間は?」
「とりあえず、一か月で」
「部屋はどうしますか?御一人でしたらシングルとスイートルームがありますが」
部屋か。金も有り余ってるし、詳細を聞いてみよう。
「スイートルームはどんな設備になっていますか?」
「部屋は二つあって、片方は居間でもう片方は寝室。ベッドは二つです。洗面所にトイレ、風呂もありますよ」
風呂があるのか!やはり、元日本人の俺としては嬉しいな。この世界ではまだ風呂はそこまで普及していないから、最悪諦めようかと思ったが。
「OK。スイートルームで」
「一か月なら……食事込みで三百万ルルです」
「分かりました。金貨三枚ですね。」
と言って、俺は金貨を三枚渡した。そういえば、まだこの世界の通貨に関して説明してなかったな。この世界の通貨は硬貨で、価値は
銭貨……1ルル 大銭貨……10ルル
銅貨……100ルル 大銅貨……1000ルル
銀貨……10000ルル 大銀貨……100000ルル
金貨……1000000ルル 大金貨……10000000ルル
白金貨……100000000ルル
というように、だんだん十倍になっていく。1ルル1円だと思ってくれればいい。俺は今白金貨を二枚と大金貨を六枚と金貨を七枚持っている。それと、小銭を少々。大分、というか滅茶苦茶裕福だ。公爵家バンザイ!当分金には困らないだろう。というか、無茶しなければ一生遊んで暮らせる。まあ、無茶するつもりだけどな!
金を渡した後、二階の部屋に案内された。
「部屋はこちらになります。入る時はこの鍵をお使いください」
もらった鍵はアイテムボックスに入れておく。
「それでは、ごゆっくりお休みください」
さて、この後どうしよう。現在は昼の二時ごろ。昼食はさっき手持ちの携帯食で済ませた。今日したいこととしては、冒険者の登録と仲間の確保か。
冒険者登録をする前に仲間を探しておこう。俺の力がばれない様に立ち回らないといけない以上、俺以上に注目を集めてくれる強い奴じゃなければいけない。というか、無双してもらうつもりだ。まあ、それに関しては心当たりがある。
◇◇◇
三十分後、俺はエバドンの奴隷商の店の前にいた。そう、心当たりとは奴隷のことだ。この世界では普通に奴隷がいる。といっても、ただの奴隷では駄目だ。俺の風除けとして頑張ってもらう以上、戦闘能力は高くないといけない。と、いう訳で。叡智神発動!!この奴隷商で最も強い奴隷は?
《アリスという名前の魔族です》
ふーん、魔族か。奴隷になっているのは珍しいな。全くいないという訳ではないが。そもそも基本的にそれぞれの種族は自分の大陸から出ないしな。
ステータスは?
《ステータスを表示します》
アリス 魔族 女 15歳 奴隷
称号:氷精の微笑み
LV.135
HP:9847
MP:37609
攻撃力:1864
防御力:1635
敏捷力:2142
魔錬力:5623
抵抗力:4098
魔術適正
火:0
水:4550391
風:0
電:0
土:0
光:0
闇:0
魔法適正
炎:0
氷:10472
嵐:0
雷:0
鉱:0
聖:0
邪:0
能力
ランク上級
『上級水魔』 下級、中級、上級の水魔術が威力200%、消費MP50%になる。
ランク中級
『魔眼』 対象のステータス閲覧。
レベル135か。魔族は生まれた時からレベルを上げられるとはいえ、異常に高いな。そして、圧倒的なまでの水魔術特攻。氷魔法も使えるようだし、戦闘能力は申し分ないだろう。
この人について、もっと詳しく教えてくれ。
《現在十五歳で空色の髪に青色の瞳、身長は147cmで体重は31kgです。家名は奴隷になった時に無くなっています。元の名前はアリス・エピロードで、魔王の一角レザンテ・エピロードの娘です。尚、奴隷になった経緯は、父である魔王が――――》
ストップ。そこまででいい。いや、まったく、叡智神にかかれば個人のプライバシーなんてあったもんじゃねえな。ていうか、魔王の娘!?十五歳なのに異常に高いステータスはそのせいか。俺は別だけどな。
ま、経歴なんて別にどうでもいいけどね。うん、役に立ちそうだしその娘でいいかな。
俺は奴隷商店の中に入った。
「いらっしゃいませ。どういったご用件でしょうか?」
若い奴隷商人の男が声をかけてくる。
「アリス、という魔族の奴隷を買いたいのだが」
「アリス……ですか。その情報をどちらで?……いえ、あまり聞かない方が良いですかね。ええ、アリス、という奴隷ならいることはいるんですが。知っているでしょうが彼女は傷物でして」
「傷物?」
「はい。奴隷にした時から大怪我をしていまして。大怪我、というより致命傷なのですが」
「まあ、とにかく見せてくれないか?」
俺の回復魔法で治せるとは思うしな。
「では、連れてきますのであちらの面会室でお待ちください」
そう言って右側にある部屋を、奴隷商人は指差した。
入ってみると、そこには椅子と椅子があった。椅子しかなかった。まあ、面会室だから物は必要ないだろうが。
三分くらい経つと奴隷商人が一人の少女を連れて……抱えてきた。
「この娘がアリスですよ」
その少女は見るも無残な姿だった。服は一応まともな物を着ているが、右腕は無く、左手も指が何本かかけており、足も両膝から先が無い。右目は潰れていて、耳はかろうじて残っている。
思ったよりヤバかった。確かに今にも死にそうだわ。
「これ、何があったんですか?」
「おや、アリスのことを知っていましたから、分かっていると思っていましたが。その分だともしかしてこの娘の素性も?」
「いや、それは知っている。魔王の娘だろ?」
「成程、知っているんですか。それでも買おうとしているのには理由があるので?」
「戦闘能力が欲しかったんだが、この分だと……」
「そうですねえ。厳しいでしょう。戦闘奴隷でしたら他を検討してみては?」
そうなんだけどなあ。多分アリスが助かる道は俺に買われるくらいしかないだろうし。魔王の娘なら魔王に恩を売れるかもしれないしな。いっか、買っちゃえ。
「いや、いい。買うよ。いくらだ?」
「……100ルルでいいです」
「分かった」
そう言って俺は銅貨を渡した。
「奴隷に関しての説明は?」
「知っている、問題ない」
「それでは奴隷契約をしますね」
奴隷商人はそう言って能力、奴隷契約を使った。
その瞬間アリスの体と俺の体が淡く光った。
「契約完了です。それでは、またのお越しをお待ちしております」
◇◇◇
奴隷商店から出て、すぐに俺はアリスのステータスを確認した。
アリス 人魔 女 15歳 奴隷
称号:氷精の微笑み
LV.135
HP:321/9847
MP:37609
攻撃力:1864
防御力:1635
敏捷力:2142
魔錬力:5623
抵抗力:4098
魔術適正
火:0
水:4550391
風:0
電:0
土:0
光:0
闇:0
魔法適正
炎:0
氷:10472
嵐:0
雷:0
鉱:0
聖:0
邪:0
能力
ランク上級
『上級水魔』 下級、中級、上級の水魔術が威力200%、消費MP50%になる。
ランク中級
『魔眼』 対象のステータス閲覧。
残りHP321!?思ったよりもヤバいな。叡智神、このままだとどのくらい先にHP0になる?
《五分二十六秒後と推測されます》
本当に死にかけだあぁぁぁ!!どどどどうしよう!て、転移だ!叡智神、行先は俺の泊まっている部屋で瞬間移動をしてくれ!
《了解しました。『瞬間移動』使用――――実行します》
次の瞬間、俺はスイートルームの部屋の中にいた。
着いてからまず俺はアリスをベッドに寝かせた。その後彼女のステータスをもう一度見てみた。すると……
アリス 人魔 女 15歳 奴隷
称号:氷精の微笑み
LV.135
HP:0/9847
MP:37609
攻撃力:1864
防御力:1635
敏捷力:2142
魔錬力:5623
抵抗力:4098
魔術適正
火:0
水:4550391
風:0
電:0
土:0
光:0
闇:0
魔法適正
炎:0
氷:10472
嵐:0
雷:0
鉱:0
聖:0
邪:0
能力
ランク上級
『上級水魔』 下級、中級、上級の水魔術が威力200%、消費MP50%になる。
ランク中級
『魔眼』 対象のステータス閲覧。
残りHP0になっていた。これって――――
《十七時三分三十四秒――――ご臨終です》
えええええええええええええええ!!
「死んだあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
おい、どういうことだ叡智神!まだ時間があるはずじゃなかったのかよ。
《瞬間移動のエネルギーに瀕死の彼女の体が耐えられなかった、と推測します》
転移が仇になったのか。
はあ、これどうすればいいの?回復魔法じゃもう駄目だろうし。
《『限界制約』を解除し、神級神属性魔導『死者蘇生』を使用することを推奨します》
死者蘇生出来るんかい!!マジで俺人外だな。これが神の力か。よし、じゃあ限界制約解除!!
「死者蘇生!!」
命を蘇らせる、禁断にして夢の魔法。アリスの周りに虹色に彩られた神秘的な魔法陣が展開した。次の瞬間彼女に生気が戻る。だが、見た目はあまり変わっていない。ステータスどうなっているんだろう。
アリス 人魔 女 15歳 王女
称号:氷精の微笑み
LV.135
HP:1/9847
MP:37609
攻撃力:1864
防御力:1635
敏捷力:2142
魔錬力:5623
抵抗力:4098
魔術適正
火:0
水:4550391
風:0
電:0
土:0
光:0
闇:0
魔法適正
炎:0
氷:10472
嵐:0
雷:0
鉱:0
聖:0
邪:0
能力
ランク上級
『上級水魔』 下級、中級、上級の水魔術が威力200%、消費MP50%になる。
ランク中級
『魔眼』 対象のステータス閲覧。
……1しか回復してねーじゃねえか!!ファイナルファ●タジーかよ!そうそう、あのゲームの初代の蘇生には嫌な思い出がある。当時ルールをよく知らなかった俺は、あろうことか教会に行く前に宿屋に行ってしまったのだ。そのため、HP1で復活したヒーラーを回復するためにわざわざもう一回宿屋に行かなくてはならなくなってしまった。なんで中学生だった俺がそんな事を知っているかって?細かいことは気にするな。長生き出来ないぞ。
って、現実逃避してる場合じゃなかったな。幸いリザレクション発動直後はHPが減らないらしく、1のまま減る様子は無い。それじゃあ、回復魔法をかけますか。
「天聖昇華」
帝級聖属性魔法だ。さっきの死者蘇生を除けば、最上位の回復魔法である。今度は白色の魔法陣が展開して、彼女の傷を癒していった。
体の欠損が無くなった彼女はとても美しかった。少女の面影を残しつつ大人へと近づいている絶妙な顔立ちに、輝いているかのような髪。その華奢な体は今にも折れてしまいそうで、それがまた庇護欲を感じさせる。THE超絶美少女である。
彼女の体は完全に生命活動を開始して、心臓の鼓動を鳴らし始めた。少ししてから寝息を立てているのに気づき、俺は安心してベッドから離れた。
……大丈夫だよな?またここで何か状態異常にかかってたりしないよな?
アリス 人魔 女 15歳 王女
称号:氷精の微笑み
LV.135
HP:9847
MP:37609
攻撃力:1864
防御力:1635
敏捷力:2142
魔錬力:5623
抵抗力:4098
魔術適正
火:0
水:4550391
風:0
電:0
土:0
光:0
闇:0
魔法適正
炎:0
氷:10472
嵐:0
雷:0
鉱:0
聖:0
邪:0
能力
ランク上級
『上級水魔』 下級、中級、上級の水魔術が威力200%、消費MP50%になる。
ランク中級
『魔眼』 対象のステータス閲覧。
OK。完璧だな。
あれ、さっきは気づかなかったけどいつの間にか職業が奴隷ではなくなっている。生き返らせた時に奴隷術が解除されたのか。
しかし、奴隷ではなくなったのか。それならそれでちょっと細工しちゃおうかな。
◇◇◇
さて、現在は午後の六時。ここから何をするべきだろう?
そう思って、俺はまだアリスの分の宿泊料金を払ってないことに気が付いた。ヤバいヤバい、早めにやっとかないとな。
階段を下りて、カウンターを見ると受付のおばさんが立っていた。
「お戻りになっていらしたのですか」
「ああ、はい。ええと、さっきもう一人部屋に泊めることになったので、その分の追加料金を……」
「一人分の追加ですね。それでは三百万ルルを」
俺はもう一度金貨を三枚支払った。
宿から出て、街を少し歩いていると冒険者ギルドを見つけた。明日アリスと一緒に来て登録しよう。そうだ、冒険者になるならアリス用の回復アイテムとか武器が必要だな。武器は素材を買って、アイテムは普通に買っとこう。
目的地のアイテムショップに着いた。押戸を開けると、
「いらっしゃいませ」
という声が聞こえてきた。そこまで広くなく、ポーション等の必需品だけを売っているようだ。
うーん、アリスのレベルを考えると、そこそこ効力の高いものにするべきか。
この世界のポーションは優れもので、HPかMP、回復する方を使ったときに選べるのだ。回復ポーションは四種類置いてある。
一つ目がHP、もしくはMPを100回復する初級ポーション。これは話しにならない。二つ目が下位500回復するポーション。これも全然だめだな。三つめがかなり飛んで3000回復する中位ポーション。これならば十分使える。最後がなんと10000回復する上位ポーションだ。途中から回復量のインフレーションが半端ない。これを作った奴はバランスというものを考えていたのだろうか。
「すみません。中位ポーションを二十個、上位ポーションを五個ください」
「はい。合計で七万ルルですね」
「ではこれで」
「銀貨七枚で、おつりは無しと。ありがとうございました」
アイテムは買えたから、次は武器の素材だな。
やはり、帝級の杖だと素材はオリハルコンかな。オリハルコンなんか売ってるのかな?ちょっと聞いてみよう。助けて~エイちも~ん!
《……この先百メートルにある鍛冶屋で売っています》
あれ、なんかちょっと怒ってる?……の部分に《ふざけてんじゃねえぞ。こっちだって仕事だからしょうがなくやってんだよ。あんま調子乗んな》という意味が込められてるような気がしたけど気のせいだよな。
しかし、売ってるのか。オリハルコン。凄いなその鍛冶屋。
お、着いた。ここのことだよな。
「すみません。ここでオリハルコンを売っていると聞いたんですけど」
「おう、確かに売ってるぜ。どのくらい必要だ?」
「100gくらいで」
「それなら一千万ルルだな」
高ッ!1g1万ルル計算かよ。さすが伝説の鉱石。
「大金貨一枚ですね」
「釣りは無しだな。まいどあり!」
よし。買えたな。じゃあ、宿に帰って夕食を食べるか。
◇◇◇
部屋に着いた。ベッドでは美少女がすやすやと寝息を立てている。あの分なら問題なさそうだな。
さてと、じゃあ夕飯食べるか。
ベルを鳴らすとすぐに従業員の人が来た。
「何か御用でしょうか?」
「夕食を。一人分お願いします」
「分かりました」
どんな料理かな?長い貴族生活で俺の舌は肥えてるし、そうそう美味しい料理には出会えないだろうな。
そうだ、この隙間時間に進研●ミの通信教材……じゃなくて、杖を作っとこう。氷特攻だし、やっぱりそれ系がいいかな。
武器作成〝極〟発動!!
よし、かなり良いの出来たんじゃない?
氷帝杖オーケアノス 全ての水魔術、氷魔法を威力200%、消費MP50%で発動できる。
武器に帝級能力の氷魔帝がついた感じだな。見た目は水色と藍色の二色のグラデーションが格好いい、ゲームでよくあるロッド。先端には白い宝石がついている。え?どこにオリハルコンが使われているかって?知るかそんなこと。とりあえずこれはアイテムボックスにしまっておこう。
武器作りに熱中してると、コンコン、とドアを叩く音が聞こえた。
「失礼します。夕食をお持ちしました」
「あ、はい。ありがとうございます」
メニューはカレーだった。無茶苦茶美味しかった。もうとにかく美味しかった。凄く美味しかった。
※フェイトのボキャブラリーは『美味しい』しかありません。
なんか失礼な注釈が出た気がする。
でも、カレーは美味しかったので、五分で完食しました。ありがとうございます。
その後俺は風呂に入ったのだが、男の風呂シーンなんて描写しても楽しいものではないだろう。割愛させてもらう。
◇◇◇
その後特にすることもなく、明日何をするかを考えてからベッドに向かった。
隣のベッドには天使のような寝顔の美少女がいた。いや、もう天使そのものと言っても過言ではないだろう。可愛いなあ、可愛いなあ。襲っちゃおうかなあ。明日求婚してみようかなあ。……あ、マズイ。このままだと俺が変態という評価を受けそうな気がする。
でもさあ、これはしょうがないって。隣に天使が居たら目を奪われるだろう?分かってくれよ、童貞諸君。
さて、と。これ以上ボロを出さないためにも早く寝よう。
次回更新は……一か月以内には……。
誤字脱字、誤った表現等ございましたら教えてください。よろしくお願いします。