#27 獣人の国を目指して
明けましたおめでとうございました。
まぁ、もうバレンタインも終わってるからね。あ、ところでチョコは何個貰った?作者はねぇ……
現在確定している情報
魔王のチカラ
猿の力→鎧を身に纏い、筋力の底上げをする。
兎の力→声による付与魔法で、ほぼ絶対的な強制力を持つ。
都市名
タウロス……肉料理が絶品。
カルキノス……刃物が名産であり、腕利きの鍛治職人が多い。
レオン……都市最大の闘技場があり、イマニティア王国の主戦力が集う。
パルテノス……いわゆる風俗街で疲れた心と体を癒す。
ジュゴス……首都。裁判所が存在する、唯一の街。
ヒュドロコオス……酒が美味い。
都市の中心は『冥府の穴』と呼ばれ、中心に近いほど強力な魔物がいるらしい。
以下、僕の予測した事
魔王の力は七つ。七つの大罪から引用され、イメージは使い魔とされる各動物達が名前に使われる。エセ貴族やザンキの事を考えて、実は魔王はいい奴なんじゃ無いかってのが希望的観測。
万年筆と女神の書について
どうやら万年筆は太古の昔に存在した魔法道具らしいってのと、女神の書は複数存在するらしいって事。小子の女神の書は『世界を書き表す本』で、アテナと呼ばれている。僕が確認した限りでは、死の泉の精霊がプロメテウスと呼ばれる女神の書を持っている。こっちは『知識を身につけさせる本』だそうだ。
その他の備考
僕の作った集落は順調なようだ。もう僕無しでも運用されているし、今はたまに様子を見に行く程度でも問題無いだろう。先日、ギルドの派遣場を設置しないかと言われたのだが、色々と面倒そうだからマキさんやユーカリさんに相談してみよう。
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「ふぅ……」
雑貨屋で入手した日記に、僕は思いつく限りの事柄を記入する。今はとりあえずこれくらいだけど、また思い立ったら書き残すとしよう。
「……あの、彦星さん?」
「いやぁ、やっぱり住み慣れたこの部屋が一番落ち着くなぁ。リメもそう思うだろ?」
「うん!ぱー、笑う、嬉しい!」
「………」
「まー、悲し、泣く?」
「いいえ、泣きません。私は強いんです」
「えへへー」
住み慣れたギルドの宿部屋に、彦星と小子の他にもう一人。彦星をパパと呼び、小子をママと呼ぶ小さな獣人の少女。つい先程、彦星が奴隷商から大金で買い…いや、引き取った子だ。ここまで懐かれたら、娘みたいでなんだか可愛い。
「仲が悪いなら、裸の付き合い。ウン、これ常識」
「そんな常識あるわけ無いでしょう。ところで彦星さんは本当に、少女性愛者に目覚めたわけじゃないんですね?」
「当たり前だろ……うん、当たり前だろ」
そう言いながら僕は少女にしか見えない小子から目をそらした。小子はジットリとした視線をしばらく僕に向けていたが、やがて大きなため息と共に納得してくれたようで。
「……まぁ、良いです。懸念が一つ晴れたと言うことで」
ふぅ、良かった……小子が子どもに見えると言う事実に気づいてなくて。
「…でも、それとこれとは話が別です!」
だんっ!とテーブルにこぶしを叩きつける。怒った顔をしながら手をさするのを見るに痛かったんだなと思いながら。
「とりあえず汚れてましたからお風呂に入れましたけど、何なんですかこの子は?」
「えー……どう言うべきかな…」
「正直に、隠し事なく、盛らず、吐いてください」
刑事かよ、という言葉はぐっと飲み込んだ。そして、リメを引き取った経緯を話す。奴隷競りの事も隠さずに。
「……つまり、なんですか。放って置けなくて、家を買うお金を使って買ったって言うんですか」
「うん」
「……ところで、どれくらい使ったんですか?」
「五千」
「五千Yですか?」
「惜しいな、ゼロが四個足りない」
「ゴセンマン!?バカなんですか!?バカなんですね!?バカなんでしょ!?」
小子は頭を抱えてその場にへたり込んでしまった。もともと使う予定だったんだから、別に一緒だと思うんだけどなぁ。
「……それで?その後はどうしたんですか」
「あぁ、まずは奴隷契約を『破棄』したんだ。けど、同時に感情抑制も解いてしまったから悲鳴が凄くて……嫌な記憶を『削除』したんだよ。そしたら今度は言葉が通じなくなってさ、仕方ないから言語機能だけ『復元』させた。その後は小子を見つけて、知ってる通りだよ」
「………そうですか」
小子を見つけ、ひとしきり怒られた後、とにかく人目につくとマズイので宿舎へ。ボロ布の服を小子が脱がせ『汚れてますから』と風呂場に。……まぁ、風呂というよりは洗濯に近かったらしいが。
「それで、彦星さんはこの後どうするんですか?」
「元の国へ帰そうと思う」
「場所はわかってるんですよね?」
「………」
「なぜ明後日の方向を見ているのか、答えてもらっても?」
あぁもう小子まじこわい。ケモミミでも揉んで癒されよう。
「んむー…ぱー、揉む、気持ちい……」
「分かってないんですね……」
「さっさとマキさんに聞いて来ます。ハイ」
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というわけで、マキさんを散策中。女神の書で調べようと思ったが『自分の尻拭いは自分でしてください』と怒られたので、自分でどうにかすることにした。…まぁ、どうしても分からなかったら小子を頼るんだけどね。
「そんなわけで、マキさんはどこにいるかわかります?」
「ユカちゃん、こう見えても偉いし暇じゃ無いんだけどなぁ……」
窓口ではなく、立派な応接室に僕は通される。あの悪夢の武闘試合から約半年、ユーカリさんは部長に出世していた。前任の方は本部に異動となり、都市ジュゴスで働いているそうだ。
「それで?ユカちゃんに何の用かな?」
「マキさん、今どこにいるんですか?建物の中どころか、街にもいないし、しかもトラやリュウガさんもいないって……」
そう、そうなのだ。武闘試合からこっち、あの五人を見かけない。他の都市はもちろん、道中でもすれ違わないし、特にマキさんに至っては鍛練している話も聞かない。
「さぁ?ユカちゃんは知らないよ?マキちゃんはたまに、突然いなくなるからね」
「そうですか……」
「なになに?聞きたいことでもあるの?そんな時はユカちゃんに任せなさい!」
頼りになるアピールなのか、その細腕で力こぶを作る。頼りになるどころか、すぐに折れそうだけど。
「……まぁ、知ってたらですけど…『獣人の国』ってどこにあるんですかね?」
途端、ユーカリさんの顔から『おふざけ』が消えた。疑心の目もこちらに向けて。
「どこで知ったの?」
「いや、知ったというか……その…」
リメの事を話すべきかで口ごもった。口ごもってしまった。とてもまずい。
「お願い、ヒコボシ君。正直に話して。でないと……」
「…でないと?」
「ヒコボシ君を捕まえなきゃならなくなる」
怖くなった。果たして本当に話して良いのか。もしかして、リメと関わっちゃダメだったのだろうか。
「……言えない?」
「…すみません、言っていいのか……」
「…そう」
疑心の目を解き、ユーカリさんはニッコリと微笑んだ。そして。
「ごめんね」
「っ…!」
応接室の扉と壁が盛大に吹っ飛んだ。そりゃそうだ、実力はAランクと変わらないのだから。そこまで実力が高いのなら、意図的に『魔法崩壊』を起こすのも朝飯前だ。
「……痛え……危なかった…」
ユーカリさんが謝った直後、部屋の魔素が震えたのを感じなければ、もっとひどい事になっていただろう。とっさに『防』を書いたから、ある程度は防げたけど。
「大人しく捕まった方がいいよ?」
「…へ、嫌ですよ!あの冷たい豚箱はもうこりごりだ!」
重力を『全開放』させ、僕はその場を高速で撤退する。口ではなんとでも言えるが、実際はユーカリさんに勝てる想像が出来なかった。あの人は、本当に、強い。
「とにかく、小子とリメを迎えに……その後は…」
時間の止まった世界で、僕はまっすぐ自分の部屋に駆け込んだ。
「おい!大変だ、しょ…う、こ?」
「………ひぅ」
扉を開けた先にいたのは新しい服を着たリメと下着姿の小子だった。何も今お約束をする必要は無いしその理由がリメの服を見ればわかるしその服が先ほどまで小子の着ていたローブを子ども服に改造した物だったしリメはリメで「ぱー、かわいい?かわいい?」と聞いてくるしもちろん答えは「とっても可愛いよ」一択なんだけどあぁそれにしても小子の「ひぅ」は久々に聞いたけどやっぱり可愛いと思ったけど今この思考を続ける間も時間は平等に流れてそうすれば次の一手はもう逃れようの無い運命なんだと受け入れるしか無いわけだ。
「………き」
「き?」
「きゃあああああああああああああああ!!!!!!」
「そうなんですけどね!受け入れる時間はねぇんだよ!」
くるりと綺麗なバク転……は出来ずにブリッジで平手打ちを回避する。まぁ、その勢いに耐えられず背中は床に叩きつけられたけどね。
「ぐふぅ……と、とりあえず、服を着ろぉ…」
「はっ!…はいぃ……あっち向いててください」
「ぱー、背中、痛い?」
小子の着替える、布の擦れる音を全神経を集中させて聴きながら、僕は今後どうするかを考え始めた。
「……お待たせしました」
「よし、じゃあ早速悪いんだが女神の書で獣人の国を……」
集中させていた耳に、甲冑の擦れる音と乱雑な足音が聞こえてくる。かなりの人数だ。
「やばいっ!」
「えっ、ちょっと彦星さ、ひゃっ!?」
「んむー!」
扉の鍵なんて、おかまい無しに蹴り破られた。上の蝶使いが外れてもう使い物にならなくなっている。
「ちっ!やはり魔王を打ち倒した者の感覚は鋭かったようだ…!」
「隊長!まだベッドに温もりが残っています!」
「よし!ヤツはまだ近くにいるハズだ、手分けして探し出せ!」
「「「ハッ!」」」
再び荒い足音を響かせ、茶色い甲冑を着た憲兵騎士達は足早にその場を去った。
……ギギギッと木の軋む音が部屋に響き、そのまま下の蝶使いも壊れて木造の扉は前倒しになる。
「んむー、むー!」
「あ、悪かったリメ。苦しかっただろ?」
「ぷはっ!ぱー、まー、リメ、怒る!ぷんぷん!」
何これぐう天使、ぐうかわ、まるで娘のようだ。
「……………」
「おーい小子……ダメだ、気絶してやがる」
憲兵騎士達の足音が聞こえた僕は、とっさにリメと小子を抱き寄せた。リメを僕と小子で挟むように隠し、例のごとく扉の死角へ。彼等が鍵を壊して乱雑に開けてくれた事もあってか、扉は開いた状態で硬直してしまったのだ。
「……というか、雑すぎるだろ。お約束のように調べず帰るとか…アホだろ、全く…」
以前にもこんな事があったぞ?教官は何をしているんだ?教育の手を抜いたのか?それとも教官もアホなのか?
「……まぁ、今回もそのアホ加減に助けられたって事なんだが」
とにかく、今すぐここを離れなければならない。獣人の国がどこにあるのかわからない以上、下手に動くのは避けるべきだが……このまま都市に潜んでいたら、憲兵騎士達に捕まってしまう。
「リスクはあるが、外に出るべきだな……となると、外側か」
普通の選択肢としては内か外の二択だ。しかし内側には冥府の穴があり、僕が強い魔物と、それもアタッカーではない二人を守りながら戦える自信はもちろん、見込みもないのだ。
「ぱー、出かける?」
「あぁ、リメもみんな一緒にな」
気絶した小子をベッドに寝かせ、部屋にある持ち物を全てバッグに詰め込む。持ちきれない装備品やバッグに入らない小物なんかは僕の『空間』に収納した。
この『空間』というのは最近作った僕の魔法で、ゲームチックに言うなら『アイテムボックス』とか呼ばれる、異空間収納魔法だ。超便利。
「さて、と」
「ぱー、なにする?」
「おまじないかな」
頭上にケモミミが生えてると真っ先に捕まる。なので、リメの姿を変えることにした。
「…まぁ、文字は『変幻』でいいだろ」
「お、おお?おおお!ぱー、すごい!」
耳を隠し、髪色も赤茶色に変え、目元や瞳の色も変えた。もうこの少女をリメだと思うヤツはいない。
「ついでだ、小子と僕も変幻しておくか」
目覚めない小子に付与を施し、僕も自分に文字を書いた。
「……ほとんど変わらねぇな」
「まー、変化、地味。ぱー、変化、派手」
魔法感受性の低い小子はほとんど変わる事が無く、せいぜい髪色が赤に変わった程度で終わり、体型はもちろん身長も胸囲も変わらない。
対して魔法感受性の高い僕はガラリと変わった。髪は長髪で茶髪に変わり、身長が五センチは縮んだ。声色も更に低くなり、無駄な贅肉や内臓脂肪は全て筋肉に変換される。瞳の色もサファイアに変わるし、顔つきも少し丸く、実年齢より若く見えるだろう。
「うわ、なんだこれ気持ち悪っ!」
鏡で自分をみて思った率直な感想だった。いや、もう、ほんと、誰だお前って感じで。
「………リメ、パパかっこいい?」
「んー……前、姿、好き。今、姿、微妙」
「だよなぁ……」
しかし変幻し終わったものはどうしようもない。仕方がないのでこのまま都市を出ることにした。
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「……よし、そろそろいいだろ」
万年筆で『空間』を呼び出し、その入り口を開けた。
「ついた?ついた?」
「まだだけど、ママは起きてる?」
「……まだ頭が痛い…ガンガンするぅ…」
都市レオンより外側、おそらく地図の外側だと思うけれど……ともかく未開の地と呼ばれる場所で、小子を呼んだ。
「………」
「なぁ小子、ちょっと頼みが…」
「…待ってください、誰ですか」
「僕だ、彦星だよ」
「嘘です。彦星の髪は茶髪ではありませんし、もっと背は高いです。声も貴方より高くてちょっと筋肉が乏しいんですよ?それに目は黒ですし顔の輪郭は細いです」
「怖えよ!自分でも変化を見つけるのに苦労したのに何を平気な顔でズバズバ言い当てちゃってんの!?見過ぎだろ!」
「………彦星さん?」
「このツッコミ方で見破ろうとするのやめてもらえません!?」
「そのテンポの良さは彦星さんですね。というか!ここどこですか!目が覚めたら暗い部屋みたいな所ですし、外に出たら知らない場所なんて、どうなっているんですか!」
「……まぁ、ちょっとそれについては説明しなきゃならないんだけど…」
コトのあらましを説明するも、小子の思考は追いついてこないようで。
「……ちょっと待ってください、獣人の国の場所を聞きに行ったんですよね?」
「うん」
「それがどうして、指名手配なんですか?」
「さあ?」
まぁ、こうなるよね?何しろ僕も理解出来てないし?とりあえず追われるから逃げてるだけだし?妥当だろ。
「……とにかく、やる事を一つ一つ片付けましょう。焦っても何もなりません」
「あれ?小子が大人に……」
「私はずっと大人です!」
その見た目で言われても説得力無いよってのは地雷だから寸での所で飲み込んだ。
「で?私は何をすればいいんですか?」
「獣人の国の場所を調べて欲しい」
「…………わかりました。行きますよ」
「え?方角とか言ってくれれば…」
にっこり微笑んだ小子は、殺意のこもった視線を向ける。
「方向音痴に方角を伝えて、どうしろって言わはるんです?」
「アッハイ」
素直に小子に付いて行くことにした。ママまじ怖い。
「ところで、なんだけど」
「なんですか?」
「国の名前はなんて言うんだ?」
「えっとですね……」
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ーー獣人国〈ビースティア王国〉
「ご報告します、国王様!」
一人の獣人が神像の前へと跪き、その野太い声に魔力を乗せて報告を述べる。
『申してみよ』
すると神像からよく通った響く声が聞こえ、獣人に応えた。
「はっ!先日より行方が分からなくなっておられましたオリヒメ王女様を発見したとの事です!」
『ーーー!』
声にならない音だけが聞こえ、獣人は安堵の息を吐いた。星々との同調がズレたのは、激しい感情の揺れに作用されたからなのだ。
『ーーーうか、良くやった。して、オリヒメは今どこにいるのだ』
「……それが」
獣人は口ごもった。言って良いのか悪いのか、言葉を慎重に選ばなければ、自分の命が無い。
「…王女様は現在、人間と行動を共にしておられます」
『…なんだと?』
「そればかりか一部の記憶を失い、星々との煌めきも感じられません。……眠っている、と言うのが正しい表現だとは思いますが」
あぁ、まずい。国王様の怒りが神像に宿りつつある。このままでは私の星を砕かれてしまう。なんとかしなければ。
「ですが、国王様。これは救いでもあるのです」
『……ほう?』
「っ……行動を共にしている人間によって、妨害術式は破壊されました。また、その中には奴隷眷属の術式も含まれており、それらも全て破壊されております。それ故、我らも王女様を発見出来たのでございます!」
振動していた神像は落ち着き、とりあえずの危機は去った。しかしまだ教会の星域は国王様の支配下にあり、この首がどの瞬間で飛ぶのかも分からない。
『それで、その人間はどこにいるのだ。我、自ら迎えに赴こうではないか。丁重に土産も添えて、なぁ?』
「はっ、王女様は〈シャフモン山〉の向こう側〈叡智の泉〉東南に位置する街道を移動中です。既に、人間領域は抜けたかと」
『よし、では今すぐ部隊を編成させーー』
「……」
あっ。
『なりません!絶対になりません!』
教会の星域が塗り替えられ、暴力的な煌めきから慈愛に満ちた星域に変わった。やはり女王様に無断で出撃させるつもりだったのか。
『いいですか?部隊を編成するのは戦うためなのでしょう?その人はオリヒメの恩人なのです。迎えを送るのと言うのならばともかく、襲いに行くなど私が許しません!』
『いや、しかしだな……』
慈愛の星域から再び暴力的……いや、力強い惹きつけられる煌めきに戻って、またしばらくすると慈愛の星域に変わる。次第に白熱した言い合いになるのだが、結果はいつも……。
『……む、ぬぅ…』
『部隊は私が選びます。迎えに出すだけなのですから、道中の危険性を配慮しつつかつ失礼でない人数と立場の方を送ります。それから、御礼の品も用意しなくては……。頼みしたよ?』
『いやいや、それは流石にやり過ぎでは……』
『い、い、で、す、わ、ね?』
どうやら決まったらしい。有無を言わせず女王様は完全に煌めきを消した。もう国王様がどんなに異論を唱えても、聞こえない。……ただし、都合の良いことだけ。
『……あ、あー…其の方、名と煌めきは?』
「…ぁ、はっ!わ、私はソクアシと申します。ラビット族、緑の煌めきの下に生まれております」
直接謁見しているわけではないので、簡単に自分の種族と星々の煌めきを口にする。多種多様な種族が存在する獣人達は、その生まれる種族によって大体の身体能力が決定するのだ。
『ふむ、ラビット族の緑の煌めきか……よし。ではソクアシよ、急ぎ御礼の品を用意しろ』
「はっ!!」
それきり、国王様の煌めきは消えてしまった。あれで忙しい身の上だ、私が国王様の為に働かねば。
「………御礼の品、か…」
何が良いのだろう……ニンジン?リンゴ?いやいや、健康を考えてダイコンかセロリかな……うーん…悩む。
0個だよ!文句あるか!いいもん!二次元でいっぱい貰ったから!(血涙)
……ご愛読ありがとうございます…ぅぅ




