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えんでびっ!  作者: 灰月
9/15

その9 ナナ姉の『手伝って』

「チョークスリーパー!!!」

「ぐわぁですー!!!」


ドッターン!!!


「それならハンティングホークですー!!!」

「ひゃぁー!!!」


バッターン!!!


「それなら…。必殺っ! 首ひしぎ逆十字固めー!!!」

「ロープですー!!! ロープですー!!!」


 マジうるさいんですけど。アパートが壊れるんですけど。


「なぁお前ら、プロレスなら外かプロレス場でやれよ!!!」


 俺が言うと、サヤが技を解いた。それにより、レンが首ひしぎ? よく分からない技なのだが、首ひしぎ逆十字固めから解放される。


「私達はどうして怒られたの?」

「分からないです」

「怒られた原因が分からないのか!?」


「もしかして、今朝、龍ちゃんの顔に落書きしたから? それとも昨日、龍ちゃんが大好物なハンバーグを、レンちゃんが食べちゃったから? それとも、勝手に通販で買い物しちゃったから? だったら散々謝ったじゃーん! ゴッメーン♪」


 正解じゃなかったけれど、今の聞きました? そうです。こいつらは本当に最悪なんです…。

 油性のペンで落書きするわ、静華さんのデリシャスハンバーグを奪うわ、通販で万能包丁を勝手に買うわ。しかもその包丁、結局静華さんにあげちゃうし。

 まあ、それらに関しては怒り狂ったから、今回俺が怒った理由とはまた別。


「じゃあどうして怒ってるの?」

「お前らがドタバタうるさいからだよ。そもそもなんでプロレスごっこなんか始めたんだ?」

「プロレスごっこです? 私達はただしり取りをしていただけです。言い掛かりも大概にしろです。クソッタレ」


 しり取り?


 チョークスリーパー

 ハンティングホーク

 首ひしぎ逆十字固め。


 なるほど。確かにしり取りだ。こいつらも面白い事を言うなぁ。ハハハハハハ!!!



「ざけんなぁぁぁ!!!!!!」

「ひゃぁー!」

「ですー!」


「だいたいお前らはな、常日頃から…」


ガミガミ


「…おかしいだろ? 勝手に人のパンツ捨てたり、フリマに服を売ったり。 一昨日だってそう…」


ガミガミ


「…という事だ。分かったか!?」


「Zzz〜」

「むにゃむにゃです…」


 あ、二人共寝てる。プロレスをやってたから疲れたのかな。アハハ。

 なんかもうやだよ。やんぬるかな。


コンコン


「龍ちゃん、ちょっと手伝って」


 と、扉のノック音と共に、ナナ姉の声が聞こえてきた。

 ナナ姉が言った、手伝って。その言葉で俺の頭に悪夢が蘇る。

 ナナ姉の手伝って。は、本当にろくな事じゃない。新しい薬が調合できたから試しに飲め。とか、悪魔を召喚するから生贄になれ、とか。俺は今まで何度も命を脅かされてきた。

 先週はソンゴクウを召喚して倒すとか言い、ナメッコ星で激闘を繰り広げた。

 その前は怪しげなノートを作って、私が新世界の神になる。と言っていた。しかも、試しに。とか言って、そのノートに俺の名前と、死因に『教授の手鏡』と書いた。

 『教授の手鏡』で何をしたら死ぬのかは、未だに分からない。そんなナナ姉の、手伝って。今回は何だろうか。


 俺は扉を開けて、部屋を出た。そこには長い黒髪の、妖艶な女性が立っていた。


「ナナ姉、手伝うって何を手伝えばいいの?」

「とにかく私の部屋に来て」

「手伝う内容を言ってくれないと困るよ。もう二度とサイヤ人には会いたくないし…」

「そう〜。龍ちゃんはそんなにこのマグナムT5000の威力を−−」

「手伝います手伝います!!! だからその銃を仕舞って!!!」


 ナナ姉は銃を、笑顔でズボンのポケットに仕舞う。銃で脅された俺は、ナナ姉に降伏し素直にナナ姉の後に付いて行く事にした。その間もナナ姉はぶつぶつと何かを唱えている。俺は耳を澄まし、その呪文を聞き取った。


 ナメコノミソシルトリュフアエ…。ダイズトナルトのホイルヤキ…。メダマノオヤジプロデュース…。グフフフフ…。


 意味わかんないし。


 そしてついにナナ姉の部屋の前まで来た。


「何で部屋から黒い煙が出てるの?」

「ウフフフフ…。とにかく入りましょ…」


 嫌だ…。もう嫌だ…。帰りたいよママー!!!


ガチャッ


 ナナ姉が扉を開けた。



『我が生贄はどいつだ…』


 はい、俺の生贄確定でーす!

 今まで俺に優しくしてくれたみんなありがとう! 俺は一足先に閻魔大王のお世話になってくるね!

 それじゃあみんなばいば…い……俺…俺……。


 まだ死にたくないよ!!!

 俺を助けて下さい!!!

 俺を助けて下さぁぁぁい!!!



「あら、メールだわ」


 俺は死にましぇぇぇん!!!


 つーか着メロかよ!!! 何の為に天地荘の一階で愛を叫んだんだよ俺は!!!


「それじゃ入るわよ。覚悟はできた?」

「いいえ、全く」

「よく言ったわ。それじゃあ入るわよ」

「俺の話しを聞いて下さい」

「突入三秒前っ」

「聞いてよ」

「じゅうっ!」

「聞けって」

「ごっ!」

「聞け」

「ルートにっ!」

「聞」

「突入よっ」



 ……。



「ナナ姉、このヒゲ親父は誰?」

「この人は魔利男さん、配管工よ」

「ホッホウ!」


 あ、喋った。


「はじめましてって言ってるわ」

「あ、こちらこそ。はじめまして、俺は相良龍之丞です。好きなキャラは、くっぱ大魔王です」

「エービゴー!」


 あ、また喋った。


「おいおい。いくら世界の大スターが目の前に居るからって、そんなに固くならないで、リラックスしてくれよ。って言ってるわ」


 普段彼が口にしている、エービゴーってそんな意味があったのか。


「で、ナナ姉。手伝ってって、何を手伝えばいいの?」

「あぁ。そういえばそういう話だったわね」


 ハハハ! ナナ姉も冗談が上手いな!

 まぁとにかく一番重要な、手伝って。の内容。その内容次第では俺の命が脅かされるかもしれない…。

 俺は唾を飲み込んだ。


「アワワワワ〜」


 −−魔利男が喋った。


「PEACH姫を助けてくださぁぁぁい!!! って言ってるわ」

「自分で何とかしろよ」


魔利男は異次元を越えて、元の世界へと帰って行った。

任天堂さん、申し訳ありませんm(__)m

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