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えんでびっ!  作者: 灰月
6/15

その6 神様と電話

「アハハハハ〜。それは中田パブリックじゃなくて、田中ビューティフルだよ〜。そうやって麺の硬さで判断しちゃ駄目だってば〜」


 朝。俺は今まで使っていたベッドの上ではなく、布団の上で目を覚ます。それはもちろんサヤが俺のベッドで寝ているからだ。

 そのサヤが、電話を使って誰かに電話をしている。しかもサヤが使っているのは俺の電話ではなく、サヤの所有物らしき携帯電話。

 おそらく、例の天使七つ道具の内の一つなのではないだろうか。


「うん。じゃあね〜」


ピッ


「誰と話していたんだ?」

「誰とも話してないよ。今のは留守電だよ〜」


「お前馬鹿じゃねーの!? なに留守電と会話弾ませてんの!?」

「チッチッチ、甘いよ龍ちゃん。留守電だからといって相手と会話が弾まないとは限らないのさ」


 言ってる意味がよく分かんねーよ!!!」

 皆さんは留守電メッセージを入れる時に相槌を打ちますか?


 答えは否!!!


「ところで、その電話は何だ?」

「これ? これは天使七つ道具のリンリンテレフォン君。天界の携帯電話だよ。相手の電話番号を入力すれば、その人と会話ができるんだ〜」


 ん、まぁそれは予想がついていた事なんだが…。

 しかし今の発言。何かが引っ掛かる。この胸のモヤモヤは何だ?

 天界の携帯電話…?




………。




「それで神様に電話すりゃいいんじゃねーの?」

「………」






「テヘッ♪」

「テヘッじゃねーよ!!! 普通気付くだろ!!!」

「いや〜。龍ちゃんは頭いいね〜。じゃあ早速電話してみるよ」

「ちげーよ!!! お前が馬鹿なんだよ!!!」


 こいつの脳みそは大丈夫なのか!?



プルルルンプルルルン


 普通相手を呼ぶ時って、プルルルプルルル。だよな? この携帯はプルルルンプルルルンになってるぞ。


「あ、もしもし。エロジジイ?」


 エロジジイ?


「タンスに置いてあったエッチなビデオ? それなら百本全部無料配布したよ〜」


 エロジジイだっ!!!


「うん。分かった。それじゃあ龍ちゃんに代わるね〜。はい、龍ちゃん。エロジジイが代わってくれって」


 俺はサヤからなんたらかんたら君を受け取った。


「もしもし。相良龍之丞です」

『ヤッホー。ワシがとーっても偉い神様だよーん。君が噂の龍之……』


ピッ



「誰? 今の」

「エロジジイだよ」

「エロジジイって、あれが神様?」

「うん。閻魔様と並んで、この世で一番偉い人だよ」


 この世で一番偉い人? あれれれれ?


「まあとにかく、もう一回かけてみるわ」


プルルルンプルルルン


ガチャッ


「もしもし。相良龍之丞といいますが…」

『もしもし。相良龍之丞君だね? 私が神だ』


 よかった。この神様は威厳があって、イメージ通りだよ。さっきのは間違い電話だったのかな?


「それで俺への用件というのは?」

『うむ。実は君に頼み事があるのだが、頼まれてくれるかな?』


「はい。俺ができる範囲の事なら何でもやります」

『うむ。頼もしいな。それでその頼み事なのだが…』


 俺は緊張して胸がドキドキする。なにせこの世で一番偉い神様に、頼み事を頼まれるのだから。

 そして−−。




『日本にあるエッチな本を……』


ピッ




「マジで?」


「マジだよ」


…。


……。


………。


「あ〜。レンちゃんそれ返してよ〜」

「返してほしかったらこっちに来いです〜」

「待て〜」


ドタバタドタバタ


「はぁ…。そうですか…」

『そうじゃ。龍之丞君も知っての通り、あの二人にはワシも閻魔も手を焼いてな。人間界を知る修行にもなるし、君に面倒を見てほしいのじゃ』


「まぁ要するに、天国でも地獄でも手に追えなかった二人を、俺に押し付ける、と。言ってしまえばそういう事ですね?」

『そんなにカリカリしないでよ龍之丞く〜ん』


「あの二人が急にいなくなったのに、連絡の一つもよこさなかったのは、それが理由だったんですね?」

『だからぁ〜。そんなにカリカリしないで。お・ね・が・い♪』


 いい加減にしろよこのエロジジイ!!!


『もちろん。ワシも閻魔もできる限りサポートはするつもりじゃ。お礼だって勿論する』

「お礼…。ですか?」


 神様がくれるお礼といったら…。



『ワシのエロ本コレクション……』


ピッ


「話は終わった〜?」

「ああ。終わったと同時に何かを失った」

「それであのエロジジイは何て言ってたです?」

「お前らを預かってくれ。だとよ」

「本当に〜!? やった〜!」


 サヤが物凄い勢いで俺に抱き着き、頬を頬に擦り付けてきた。


「もう絶対に離れないでね。龍ちゃん!」

「俺らは恋人か!!!」


 タカアン○トシのツッコミをしながら、恋人気分のサヤを離した。


「レンちゃんは嬉しくないの?」

「ふ、ふん! こんなムカつく人間と暮らすなんてこれっぽっちも嬉しくねーです!」

「じゃあレンちゃんは帰っちゃうの?」

「サ、サヤがここにいるって言うなら……。私もここにいるです」


 何て言うか、分かりやすい悪魔だなぁ。


「しかし俺が許可をした覚えは無いぞ! フハハハハ!」

「え〜!? 許可してよ龍ちゃ〜ん!」

「どうしよっかな〜」

「私をここに住ませろです、このくそ人間!」



 ふふふ。引っ掛かったな。


「サヤ。今、レンが言った台詞を録音したか?」

「ばっちりっ! このリンリンテレフォン君でねっ!」

「しまったですー!!! それを渡せですー!!!」

「「やなこったー」」

「渡せですー!」


 −−そうして二人は正式にこのアパート、天地荘の住人となった。

 天国と地獄でも手に負えなかったこの二人との生活。これから俺の人生はどうなっていくのだろうか…。


 −−続く。

はいっ!

休日中にとりあえず一段落つきました。


これからはカブけよカブけと平行して更新をしたいと思います。よろしくお願いします。



因みに次々回の大河ドラマは直江兼続が主人公らしいですね。直江兼次というキャラを作った灰月としては、とても嬉しい事です。

ただし放送開始は再来年の一月…。大分待つ必要がありますね…。

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