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えんでびっ!  作者: 灰月
5/15

その5 龍之丞ダイアリー

 俺は夢を見ていた−−。



「龍之丞く〜ん。ここまでおいで〜」

「待ってよ白河さーん♪」

「ウフフフフ〜」

「アハハハハ〜」


 海岸沿いで追い掛けっこをする俺と、白河さん。俺は幸せだ。白河さんを一人占めできるなんて、誰が想像できただろうか。俺は、いつ死んでもいい。そう思いながら白河さんを追い掛けていた。

 そして−−。


「捕まえたぞ〜♪」

「捕まっちゃった〜♪」

「アハハハハ〜」

「ウフフフフ〜」


ドゴァ!!!


「のふぁっ!」


 白河さんのボディーブローが俺の内臓をえぐった。


「し、白河さん…。どうして…」

「ウフフフフ〜。龍之丞く〜ん」


バキィ!!!


「ングァ!!!」


 白河さんの放ったローキックが右足の骨に響く。


「し、白河さん…」

「ウフフフフ〜」


ドガァバキィドドドドドーン!!!


「ギャアー!!!」



−−現実世界−−



「こいつなかなか起きねーです」


ドゴォ!!!


「レンちゃ〜ん、そんなに殴ったり蹴ったりしたら、龍ちゃんが死んじゃうよ〜」

「何言ってるです。さっさと起きないこいつが悪いです」


バキィ


 龍之丞の部屋には、寝ている龍之丞に暴力を働く悪魔と、それを止めようとする天使がいた。


「龍ちゃん泡吹いてるよ〜」

「泡を吹くのは健康な証拠です」

「へぇ〜。そうなんだ〜」

「納得してんじゃねぇぇぇ!!!」


ガバァ!


「やっと起きたですか。寝坊にも程があるです。起こした私に感謝するです」

「ああ、ありがとうな。お前のおかげで、清々しい朝が…ってふざけんじゃねーぞ!!! お前のせいで最悪の寝起きだ!!!」


 体中がギシギシいってるんですけど!

 せっかく白河さんとラブラブな夢を見てたのに、このくそ悪魔が!


「その白河さんってだあれ〜?」

「へぁ?」

「今言ってたです。白河さんとラブラブな夢を見ていたって」


 しまった。心の声をいつの間にか、口にしてしまったみたいだ。


「まぁそんな事はいいからさ。早く−−」

「−−白河さんって、この日記に書いてあった人〜?」

「嫌ぁぁぁー!!!」


 金庫に厳重保管してあったのに、どうやって開けたんだよ!?


「サヤ、もしかして−−」

「そうだよレンちゃん。天使七つ道具の一つ。ピキピキピッキング君を使ったんだよ〜」

「やっぱりそれですか」

「どうして天使が犯罪道具持ってんの!?」

「人を幸せにする為には、ピッキングもやむないって事だよ〜」

「どういう理論だよ!!!」

「とにかく、それを見るです」


「止めろ!」


 俺はサヤが持つ日記を奪い、部屋を飛び出した。

 逃走なんていとも簡単と思っていた。しかし−−。


ドッテーン!!!


「いってー!」


 二階の廊下に有ったバナナの皮を踏んで、コケてしまった。


「こんな事もあろうかと、バナナの皮を仕掛けておいたです」

「くっ…。お前は諸葛亮孔明か!?」

「さぁ観念してね。龍ちゃ〜ん」

「日記をこっちに渡すです〜」

「「キェッヒッヒッヒ〜」」

「や、や…止めろぉぉぉ!!! うわぁぁぁ!!!」



…。


……。


………。



「これが噂の、龍之丞ダイアリーだね」

「マニアの間ではプレミア価格が付く程のレア物−−」


 え? 俺の日記ってそんな凄いの?


「−−になるのは無理です」


 期待しちゃったじゃねーかコノヤロー!!!


「冷静に考えろです。そんな訳が無いです」


 こいつに正論を言われるのも腹が立つな〜。しかし…。二人の隙をついて、日記を奪わないとやばい事になる。

 あの日記だけは見られちゃいけないんだ! 既にサヤには見られていのだが…。


「その日記、返してくれませんか?」

「テメーが土下座するなら考えてやってもいいです」


 土下座…?


 土下座をするだけなら一向に構わないのだが、この悪魔に土下座をするとなると話は別だ。

 俺にだってミジンコ並のプライドは有る。この悪魔に土下座をするなど、俺が持つ、その、ミジンコ並のプライドが許さない。


「サヤ。日記を返して下さい」


 よって俺はサヤに土下座をする事にした。これなら俺は納得…。微妙に納得できないのだが、悪魔野郎よりはマシだ。


「返すのはいいけど、このピキピキピッキング君が有る限り、いつでも見れるんだよ〜」


 それは盲点だったぁぁぁ!!!



「無駄土下座です」

「無駄骨ならぬ無駄土下座ってか。おあとがよろしいようで」


テンテケテケテケ、テンテンッホワッ



結局日記は返してもらえたとさ。

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