表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
えんでびっ!  作者: 灰月
3/15

その3 龍之丞の災難

「俺のプリンが無ーい!!!」


 食べようと思って、取っておいたプリンがぁぁぁ!!!


「ごめん龍ちゃん。食べちった♪」

「サヤァァァ!!! お前かぁぁぁ!!!」

「じゃあ返してあげる〜」


 返す? サヤはどうやってプリンを返…指を口の中に入れやがったぁぁぁ!!!


「ウプッ…。オエッ…」

「止めろぉぉぉ!!!」


 俺は間一髪の所でサヤを止めた。


「食べちった。ならいいから! 俺、プリン諦めるから!」

「龍ちゃん優し〜」


 ちくしょー。そんな満面の笑みを浮かべられたら、怒るに怒れね〜じゃんかよ。


「だから静華さんの家で寝ろって言ったんだ! レンを見習え!」

「だって〜」

「だってもヘチマもありません!」

「うぅ…。だって龍ちゃんと一緒に居たかったんだもん…」


 ズキューン!!!


 今、俺の体を貫いた物は何だ?


 恋?



 …ってオイ! 俺には白河さんっていう心に決めた人が居るっての!



「龍ちゃんは一人ノリツッコミができるんだ〜」

「へへっ。まあな」


 サヤはニコニコ顔で言う。こうやって顔をよく見てみると可愛いんだけどな。服装が全てを台なしにしてるのは否めない。


「いや〜。それにしても、しずっちが信じてくれてよかったよ〜」

「まぁ、行動しやすくなったのは確かだよな」


 先日の夕食時、静華さんに天使と悪魔の事を全て話したのだが、静華さんはいとも簡単に信じてしまったのだ。それは、あの人の性格なら頷ける事なのだが…。

 そして静華さんに信じてもらえたレンは、テメーの部屋は臭いです。私は静華の家で寝るです。と…。


 あんにゃろー!!!


「なぁサヤ。俺の部屋って臭いか?」

「臭いって言うか、龍ちゃんの臭いがするよ〜。私はこの臭い好きだよ〜」


 天使はやっぱり天使なんだなぁ〜♪


バッガーン!


「おはようです」


 と、例の可愛くない悪魔が俺の部屋に入ってきた。扉を開けただけとは思えない音と共に。


「…って、扉を壊したのかよ!!!」

「開け方が分からなかったから、蹴飛ばしてやったです。テメーは扉まで忌ま忌ましいです」

「引けよ!!! どうして、押して駄目なら蹴り飛ばすんだよ!!! 引けよ!!!」

「やかましいです。黙れです」

「コノヤロー!!! 扉の敵討ちだぁぁぁ!!!」


ボカスカボカスカ


 これは扉のぶん!これはクリリンのぶん!これはヤムチャの…。あれ、サヤが喧嘩を止めないぞ…。



「ポテチ美味しかった〜」

「俺のポテチィィィ!!!」

「龍ちゃんのだったの!?」

「あったりめーだろうが!!! ここは俺の家だぞ!!! 他人のポテチを置いとく訳がねーだろ!!!」

「そっか。じゃあ返すね〜。ウプッ…オェッ」

「ギャー!!!」


 もう何なのこいつはー! 俺はもう疲れちゃったよー!


「たかだかポチごときでギャーギャーうるさいです」

「ポチじゃなくてポテチですぅ〜。ポチじゃ犬になっちゃいますぅ〜。お前は馬鹿悪魔ですかぁ〜」

「コンニャローですー!!!」


ボカスカボカスカ


 この馬鹿悪魔!馬鹿悪魔!


「ごはんですよ〜♪」


 と、俺達が喧嘩をしている最中、一階から静華さんの美しい声が聞こえてきた。


「やっほ〜い」

「今行くですー」


 二人は獲物を追い掛け始めた肉食獣のように、部屋を出ていく。

 扉を開けたり閉めたりする音は勿論聞こえない。悪魔が扉を壊したから。



 悪魔って本当に悪魔なんですね…。


「はぁ…。修理か…」


 貴重な夏休みの一日を、扉の修理に費やさなければならなくなった。



 頼むから出て行ってくれないかなぁ…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ