マイ・テラー 3-2
「大丈夫。
焦らなくても…大丈夫だよ。
亜早美らしくいればいいから。」
そんな亜早美に、
そして、この事を知りもしない私の頭の中に思い浮かんだ一人の人物に…
ゆっくりとそう語りかけた。
根拠はない。
でも、自然と口に出来た。
そして、私は思った。
『そんな真っ直ぐな心を持ったあなたを、あなた達を、私の手で描きたい。』と。
泣いているあなたにそう思ってしまうのは不謹慎かな?
でもね、本当に素敵に思えた。
恋に傷ついても、人をまた好きになろうとするところ。
また信じようとするところ。
人が嫌いだと言ってしまう私…。
傷つくことを恐れて未だに動き出せない弱虫な私にとって、
あなた達は、本当にかっこいい。
誰かを信じたり、好きになるって、
とってもシンプルなことなのに、すごく難しい。
それを知っていて、それでも誰かを大切に想い信じようとできるあなたは強い人。
そして、とっても温かい人。
この好奇心を小説家の性と言ってしまえばそれまでかもしれないけど、
そんなあなたを描いてみたい。
でもね、
私の思い通りのストーリーをあなたに進んでほしいんじゃないよ?
このストーリーは、あなた達が進めていくの。
ありきたりな恋愛小説じゃなくて、
たった一冊だけの素敵な物語。
バットエンドになんて、絶対させないよ。
この私が。
そんなのはいくらでも書き直してあげる。
そのために、あなたが流した涙の分を、笑顔に変えてみせる。
そんなストーリーを私は描くの。
「大丈夫。
人を信じれないなら、無理に信じなくてもいいよ。
『嵐のあとは必ず晴れる。』
あなたの名文句でしょ?」
主人公は、あなた。
だから、
わたしも今回は1人の登場人物。
。