マイ・テラー 7-2
「章太は優しいやつだよ。
チキン過ぎて、不器用で優しいやつ。」
「…それ、褒めてる?
いや、貶してるよな?」
「…でも、恋は優しくないぞ?」
「…。」
「亜早美。男友達、少ない訳じゃないしなぁ~。」
片言な棒読みの台詞を言ってみる。
君はさ、もう十分悩んだよ。
根拠はないけどさ…
「大丈夫。」
恋に正論は存在しない。
100%とという答えもない。
だから、これが2人にとっての幸せの道かなんてわからない。
…だけど、きっと。
「大丈夫。」
「…俺、今日いってみる。」
ほら、やっと一歩踏み出す準備は出来た。
今の君はさ、たぶんスゴくかっこいい顔してるよ。
「…ふふっ。慰める準備はしといてあげるよ。」
私が笑うと、それにつられて笑顔が返ってきた。
・・・やっぱり…。
言いかけた言葉を飲み込んで、章太の背中を入り口へと押した。
「ちゃんと慰めろよ?
…あと、お前も無理すんな?」
じゃぁな。と私に背を向けて走っていく君。
想い人の所へ。
「…てか、なんでわかっちゃうかなぁ~。」
私は、しばらく空を見上げていた。
私もそろそろ頑張らないとなぁ…。
私の恋の語り手は、
不器用でちょっぴり臆病で、
それでも真っ直ぐに人のことを思える。
そんな仲間達の温かいストーリーと、
そして、それを描き出す彼ら自身。
素敵な物語が、私の心の本棚にはあります。
。