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マイ・テラー 7-1
いつもの溜まり場。
それはこの学校の錆びれた屋上。
まるで…というより、
ありきたりな青春小説のワンシーンを描き出す舞台の代名詞。
そこに、私は引き寄せられて、扉を開けた。
眩しいくらいの外の景色の中にいたのは、一人の人物。
そんな彼に、私は迷うことなく声をかけた。
「よっ。章太。」
それを聞いて彼は振り返る。
「よお。奈緒じゃん。どーしたの?」
いつもの笑顔。
そういえば、君はよく笑うようになったね。
雰囲気でしか人を見ない私が言うんだから、本当に。
私は彼の質問に答えずに、質問を返す。
「最近どーなの?」
主語なんてなくてもわかるでしょ?
章太が背中をつけて寄りかかるフェンスの隣に、
私も空を見上げるようにして錆びれた鉄枠を掴んだ。
「それ、聞いちゃう?」
たく、奈緒はそーゆーとこ、容赦ないんだから…。と、章太は苦笑いを浮かべた。
「……俺、自信ねぇわ。」
そんなこというの、君らしくないよ。
そう思ったけど、口にはしない。
私はただ、今目の前で恋っていうものと、必死に闘っているこの人物の背中を押すのが役目。
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