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マイ・テラー   作者: 名口 慎
11/19

マイ・テラー 5-3


女として見ない。


それは、端からすれば酷なことかもしれないけど、

理由を知っている私は、少し誇らしい。


大切な人に持つ感情の愛は、信頼と愛しさの二種類だ。


彼にとって私は前者なんだ。

大切に想っててくれる。

男と女だからって必ず後者でなければならないなんてことはない。そんな彼の優しさ。


だから互いに、この距離が合っていた事を知った。



「…傷つかない恋って、ないよね?」



「あぁ。そうだな。」


でも、今日はあえて言ってみた。


この人だけじゃなく、自分自身にも言い聞かせるようにして。


あの日、


“好き”


という言葉の意味がわからなくなった私達に、かけてあげられる言葉が今はある気がする。


かっこつけたことを言っているようで、逃げている自分達に。



「大切な友達2人だからさ、傷ついてほしくないって思っちゃうけど…。


それでも恋をしようとしている2人、

とっても強くてかっこいいと思う。」


話し出した私を静かに見つめる悠弥。


横目で見た彼は、あの頃の面影と重なって見えた。


「いつか、私も、あいつみたいな真っ直ぐな恋出来るかな?」



その言葉の意味をちゃんとわかってくれたのか、

彼はふっと優しく笑みを浮かべた。



「大丈夫。


…沙苗さんは素敵な方ですよ?」


冗談も隠れた本音も、もう今の私達にはわかる。


だから、その隠された一言を、私はそっと心の中に締まった。


恋人でもない2人。


仲間として認めてくれている証。



「ふふっ。私に惚れんなよ?」



形は違えども、これも恋の形。

信頼の証拠。


私達は、また笑いあった。





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