第2話 合点がいったわ
書いてたら3回くらいパソコンのエラーで書いてた内容が消えました。
間が空いた言い訳です。
『どれだけ時間かかっているの馬鹿じゃないのどうせ絡まれてた人助けてたんでしょ助けたらさっさとこっちに来なさいよもしかしてまた迷ったの? 本当に脳科学とAM以外じゃ愚図な屑ね。反省しなさいな、あんたがさっさとこっち来なきゃ狩場全滅するでしょうがさっさと場所取りしないとダメなのよわかってるの? MMOわからないんだからちゃんとこっちの指示を仰げと言っているのがわからないのかしらこの愚図は死になさい』
「……助けてて色々あったんだよこのバカァ……」
「大丈夫か!?」
コールを受けてたらいきなり涙目になったローゼにケイトは心配の声を上げるが、ローゼは口に出さずに手で制した。
「パーティメンバー増えるのはい」
『別にいいわどうせあんたは銃なんだから前衛二人がいいバランス、つまり前衛職ならなおよしね。というか珍しいわねあんたが見返りというかお礼みたいな感じで余計手間が増えるようなことするなんて』
「手間とか言わないでよぉ。可哀想なコなんだからぁ」
「可哀想って言った!?」
ローゼの言葉にケイトが激昂するが、サラーっと流しながらローゼは足を進め始めた。
「ちょ、ちょっと!?」
「それに、君は剣士だろ?懐に攻め込まれて捌ける技量はないはずだ。なら、徒手空拳の子は使えると思うけれど」
『……いきなり真面目にならないで。気持ち悪いわ』
「うるさいなぁ」
そうとだけやり取りを交わすとコールを切った。
「じゃあ、許可も取ったしぃ、行こっかぁ」
「待て、あんた僕の事可哀想って言ったことについての説明受けてない」
「不良に絡まれぇ、兄にはハブられぇ、これが可哀想以外の何だってェのォ?」
「……反論できない!」
ローゼはニコニコと意地の悪い顔で微笑み、ケイトはゲンナリとした顔で溜息をつく。その時、ケイトがあることに気がついた。
「あれ? そういえばその右目の傷、何?」
「……今、気づくぅ? それぇ」
ケイトの問いにローゼは呆れたような声を上げる。
「……俺、去年までイギリスの大学居たんだよねぇ。んでぇ、在学中に銀行行った時三回程強盗事件に遭遇してさぁ。そのうち1回の時付いた名誉の負傷」
「へぇ~……ん?名誉?」
「ん。犯人ぶちのめす寸前に撃たれてさ。しばらくの相田眼球の中から水分抜けるは血が止まらないわでぇ」
「……じゃぁ、現実じゃ右目効かないのか」
「まぁねぇ。ま、友達守って付いた傷だし、後悔なんて、ありゃあしないさぁ」
「……勇気あるね、本当に」
「それほどでもぉ」
そんな話をしながら歩いていると裏路地を抜けた。その時、騒音の様の人々の声が二人な耳を覆い尽くした。
「誰かっ!パーティー組めるプレイヤー募集してまぁす!希望職種は前衛でぇ!」
「誰か!効果の高いポーション頼む!相場より高く買うぞ!」
「レザーなら始まりよりもお手製!革装備、バッファローからヴァイパーまで、安くしとくよぉッ!」
「ほ、ほぅ。凄い賑やかだねぇ」
「ま、初心者が多いしサービス開始から少し時間が経ってる。少し狩って戻って、の人らから稼ごうと、誘おうとしてるのさ」
「MMOってもう一つの世界なんだねぇ。VRなら、尚更……」
「え? 初心者!? なんで銃の扱い手馴れてるのさ!?」
「イギリスでちょっと。ってかぁ、拳銃すら持ってなくて強盗なんかどうにかできるかってぇ」
「……せめてアサルトライフルでもなきゃ無理だと思うなぁ。集団」
ドヤァという擬音が似合いそうなローゼの自慢げな顔を尻目に、ケイトは辺りを見回す。
「ん? 何探してんのぉ?」
「あんたの待ち人。涙目にさせるくらいだしかなり強烈な見た目してそうだなぁって」
「あいつ口悪いくらいで外見に脅威性全くないよぉ?」
ローゼがそういった時だった。剣の煌きがローゼを襲う。武器が剣だということがわかったのはローゼがはじまりの拳銃で受け止めたことによる。
襲撃者の姿は、通り魔にしてはとても小さかった。
「な、何奴!?」
「どこの侍だ君は」
「遅いのよあんたは! せめて走ってきなさいよ!」
「えぇー」
それぞれ獲物を構えるケイト、襲撃者と、棒立ちのまま警戒することすらしないローゼ。まあ、襲撃者の正体がわかっているからなのだが。
「はい、ケイト君、こっちのちんまいのが待ち合わせ相手のセリオだよぉ」
「えぇっ!? この下手人が!?」
「誰が下手人よ。あんたが可哀想な子ね?」
「めっちゃ反論してぇ……!」
そんな他愛もない会話をしていると、セリオがパン、と手を叩き、会話の転換を促す。
「さて、路銀もないから用意出来もしないわ。つまり、身の着侭で狩りにでなきゃいけないって事。借金して生産に耽るという手もあるけど……二人共、生産スキルは?」
「火薬配合のための調剤スキルならぁ」
「薬草生成するために調剤スキル」
「被ってんじゃないの! 私含めて!」
セリオが全力でつっこみ、他二人はきょとんとする。
「……別に良くなぁい? どうせ派生スキルとかあるんだから別々のスキルが取れるわけだしぃ」
「ああ。僕ももう少しで強化できるし、需要はあるでしょ」
「「……ん?」」
ケイトの言葉にセリオ、ローゼは疑問符を浮かべる。
「……スタートしてすぐ、絡まれたんだよねぇ?」
「あっれ、言ってなかったっけ? 僕、βテスターだよ?」
「……ローゼ、集合」
「Yes,mo'om」
ケイトの言葉を受け、セリオはひそひそ話でローゼと話し始める。
「(カツアゲされてたんじゃなかったの!?)」
「(あれ、それ言ってたっけ、まあ、されてたよぉ。まあ、相手もβテスターっぽかったけどぉ)」
「(あぁー、合点がいったわ。あんたクリティカルで殺ったのね。それで、一撃死と)」
「(多分ねぇ。ま、システム周りはよくわからないことが多いから、これから慣れていけばいい)」
話し合いも終わり、ケイトのほうへと向き直る二人。そして。
「まぁ、こっちは初心者だからわからないことがあったら教えて貰うし、困ったことがあったら協力する。持ちつ持たれつで行こう、いいねぇ?」
「あぁ。元からそのつもり。よろしくお願いするよ。ま、年の差で言えばそっちのほうが目上だけどね」
「ゲームだから身分の差とかないってぇ。ま、仲良くやっていこうよぉ。ねぇ?」
二人は握手を交わす。それを見たセリオは、これからの方針を話していく。
「ま、βテスターも居ることだし少しレベルの高い狩場へ行くことにするわ。どうせもう草原は人がいっぱいでろくな獲物はいないだろうし」
「それで、何処へ行くのぉ?」
「東にある森よ。草原の次のステージって所ね」
「あぁ、あそこ。でも、3人で大丈夫なのか? たしか3人の時出てくるユニークボスがいたはずだけど」
「えぇ。でもちゃんと目撃情報があるだけ躱しやすいわ。狼を見た瞬間に逃げること。トレインを気にする必要はないわ。あんな中途半端なとこ行くようなのは私たちくらいだもの」
「でもぉ。ちゃんと倒しときたい獲物とか、いないのぉ?」
「居ることは居るわ。大型モンスター【ウドベアー】。たまに落とすレアドロップがかなりの価値を持っているらしいのよ」
「……肝とかなのかなぁ? ま、3人で行けば怖くない、ってねぇ」
「ん、行こうか」
「待ちなさいな」
そして歩き出した二人をセリオが止める。
「えぇ、どうしたのォ?」
「せっかく盛り上がってきたとこだってのに」
「……パーティー登録しなきゃ、ドロップがもったいないでしょうが。戦利品の分配でもめるの、私嫌よ?」
「「あっ」」
そして3人はパーティー登録を済ませ、東の森へと歩き出した。