第28話 潰れて、当然だ
モンハン4面白いですね。操虫棍で虫に突撃させたり飛び掛ったりが楽しくって初期装備のままで二番目の街まで行ってしまいました。
あぁ、そろそろ夏季休業が終わるため少し更新間隔が空くかもしれません。その辺はご容赦を。
それと評価が少し下がりました。二人に増えたんですけどねぇ。やっぱりこの取ってつけたような新キャラだらけなのが悪かったんでしょうか?
~ギルド【ガン・ホー・ガンズ】本部最高階層~
ベックは螺旋階段を駆け登る。後ろから聞こえてくる銃撃音、爆発音。それが多少ローゼの身を案じさせる材料となるが、振り返らず、足を止めず、ただ階段を駆け上る。その間にライフルのカードリッジを取り替え、バンダナをきつく巻きなおす。
そして登りきると同時にすぐそこにあったギルドマスターの部屋への扉を蹴破った。
その中には豪奢な椅子に座った壮年の男、総帥、デニムだらけの若い男、ナイプ、軽そうなドレスを纏った少女、ミリィが揃っていた。
ベックは3人の姿を確認すると口を開いた。
「……よぉ。ムハンマドの復讐法みてぇに眼には眼を、歯には歯をで裏切らせてもらうぜ」
総帥はその言葉を聞くと顔をしかめ、ベックに問う。
「ベック……だったか? なぜ我がギルドを裏切ろうとする。裏切ってお前に何かメリットがあるのか? あの銀色の男にそそのかされたか?」
「くどいぜ。あんたらが約束を破った。なら、俺もあんたらとの約束を守る義務はない……!」
「……ふむ」
吐き捨てるように告げられたベックの答えに、総帥は顎に手を当て考え込む。
「もしかして、下の木っ端が勝手な行動をして約束を破ったのかもしれんな。すまない。私が直々に謝ろう。この俺ホリックの名に免じて許してはくれんか?」
ベックはその言葉に数秒考え込む。そして。
「イヤだね」
そう言ってライフルを即座に構え乱射する。
「総帥、ここは私達に」
「銀が来ないなら負けはありません!」
ナイプは机を蹴り上げて総帥、ホリックを銃弾から防ぐ。そしてそれと同時にミリィは手榴弾のピンを外し、ベックへと投げつける。
「ちぃっ」
ベックはそれを躱し、横へと跳びながら銃を構える。そして。
「スキル発動! シューティングバスターっ!」
スキルを発動してスキルの効果で勢いを完全に殺して着地し、銃口から星屑のように歪な弾丸を連射する。
「その程度の技でっ」
「私たちは倒せませんっ!」
しかしナイプとミリィはそれを容易く躱し、カウンター気味にナイプはスナイパーライフル、ミリィはショットガンを構えて撃つ。その弾丸はベックを捉え、ベックの体を簡単に吹き飛ばした。
ベックは床に叩きつけれて転がり、ライフルを階段の下へと落とし、自身は柵に引っかかってようやく止まる。
「グ……アァ……」
「……何故、あなただけで勝てると思ったのでしょうか。今も続く揺れ。これはあの銀の男が爆弾魔と戦っているからでしょう? 見る目がない、こんなやつに私たちを任せるとは……見くびられたものだ」
ナイプは倒れたベックの下まで近寄り、後頭部を靴底で強く踏みつける。
「……ハン、なぁにが見くびるだ。俺はまだ、負けちゃいねェぞ……!」
「この状態自体が負けだろう」
ベックの負け惜しみに耳も貸さずナイプは銃口をクリティカルポイントである心臓……は狙いづらいため、足をどけて頭を狙おうとする。足が退けられたその時、ベックは転がりながら腰のホルスターからピストルを抜いてナイプの喉と眉間を撃ち抜いた。
「貴……様……!」
「勝ち誇るなよ……油断大敵だぜ?」
ナイプの体が光の粒子へと変わっていく。ベックはナイプの体を蹴り飛ばし、体のバネで跳ね起きる。
跳ね起きると同時に強い揺れが起こり、部屋全員の体をぐらつかせた。
「これは決着がついたか……? どっちが勝っただろうな」
「あいつに決まってる。勝つのは俺たちだ」
机越しのホリックの言葉にベックは迷わず答える。ホリックの表情は伺えない。そしてミリィがショットガンのトリガーを引くと同時にベックはライフルへと飛びつく。そしてそれをそのままミリィへと投げ飛ばす。
「えぇ!?」
意味不明な行動に戸惑った一瞬の隙を付き、ベックはミリィの左胸を撃つ。ちゃんと心臓に当たったようでミリィはすぐさま光の粒子へと変わった。
「あとは、あんただけだ」
「……何故だ」
ホリックを撃つために回り込んだベックは、その恨み、狂気にまみれた眼差しに射抜かれ、磔にされたようにその場から動けなくなる。
「な、にが……」
「なぜ貴様らは!俺の作ったギルドだぞ!? 作り上げた会社も乗っ取られ! せめてゲームの中ではと思ってここまで育て上げてきたんだぞ!? ここは俺のギルドだ、お前らなんぞにィィィッ!」
その怨嗟の言葉に、ベックは息を、言葉を詰まらせながらもはっきりと、しっかりとした意思を持って答える。
「潰れて、当然だ。あんたの、会社もこの、ギルドも。あんた、下の人間を、一体、何だと思ってる? 駒? データ? いや、ちゃんとした、人間なんだ。このクリエイト・ワールドというゲームを買って、楽しもうとしている人間なんだ。それをあんた、木っ端だのなんだの、随分じゃないか? あんたは、ギルドに目を向けすぎて、他人のことなんざ考えちゃいねぇ。だから! 潰れて当然だっ!」
「貴様ァァァっ!」
ホリックがベックに掴みかかる。ベックは必死に抵抗するが、脳のリミッターが壊れているんじゃないかというような力で首を絞める手を剥がすことができない。
「死ねっ、死ねぇぇぇッ!」
「ぐっ、うぅぅっ」
ベックのHPバーが着実に削られていく。ベックの意識が遠のいていく中、カンカンカンカン! と螺旋階段を駆け上がる音が聞こえてきた。
「ボマーだ、ボマーだ! 俺の部下だっ! 貴様のっ、負けだァアァあぁっ!」
「うんにゃぁ、それは違うなぁ。俺はあんたの部下になったつもりはないよぉ?」
「え?」
ホリックが呆けた声を出して扉を見ると、そこには銀髪のカウボーイ、ローゼがリボルバーを構えていた。
「な、何故」
「Hello&Good bye!」
ホリックが戸惑っている間にローゼは引き金を引き、ホリックの頭を弾き飛ばす。首に炎が燃え移り、ホリックの体を燃やす。装填されていた弾丸はナパーム弾だった。
ローゼは駆け、燃えながら光の粒子となりかけているホリックの体を蹴り飛ばし、ベックに右手を差し伸べる。
「俺は左手重症だけどそっちはぁ?」
「……頭と首と胴体。四肢は奇跡的に無事だ」
「そっかぁ。なら立てるねぇ?」
「あぁ」
ベックはローゼの手を掴んで立ち上がる。
「やったな。やれるとは思わなかった」
「フフフン、俺を褒めてくれてもいいんだよぉ? でもまぁ、このギルドハウスを壊せばギルドも壊滅するんだっけぇ?」
「ああ。この今現在のガン・ホー・ガンズというギルドはな……ッ!?」
ベックがそこまで言った時、とてつもない揺れが二人を襲い、ギャリギリャグリェ! と形容し難い轟音が鳴り響き地面が傾く。この建物が倒壊しようとしているのだ。
「おい、あんた! 誰か協力者でもいたのか!?」
「いやそんなことは…ッ!?」
その時ローゼは思い出した。追撃防止のために投げた物と、この建物の材質を。
「か……」
「か?」
「火事だーっ!? らりるれ火事だーっ!」
「火事!? ……あの火炎瓶かっ!?」
パニックに陥る二人。その間も建物はどんどん傾いていく。
傾斜が有る程度を超え、二人は床を滑り落ちる。
「うわうわうわ!? どうすんだこれ!?」
「これは、そのまんま落ちたら確実に落ちる(HPがなくなる的な意味で)! なら、窓から飛び出して別の建物の屋上へ飛び移る!」
「出来るのか!?」
「やるんだよ!」
幸い、傾斜は窓側へと滑り落ちるように傾いている。ならば、スキージャンプの要領で飛べば可能性は高い。二人はそう自己暗示をして窓を睨みつける。
等加速直線運動をしている二人は窓のすぐ近くまでかなりのスピードでたどり着く。
「今っ!」
「とべぇぇぇっ!」
そして二人は自由な空へと飛び立ったのであった。




