七話 僕がここに来てから初の食事。
ガランとした部屋。最初の状態の部屋とは、とても同じ部屋には思えない。掃除機、雑巾といわゆる年末の大掃除とやらより綺麗にしたと思う。もちろん、雪谷さんも手伝ってくれた。と、いうより殆ど彼女がやったようなものだ。僕には残念ながら家事スキルがあまりないんだ。掃除機のごみの捨て方を知ったときは驚いた。
とまぁ、とりあえず、部屋は人が住める環境にはなった。
……キノコ? そんなのスタッフ(僕)が吐き気を催しながら、浄化しましたよ。焼却炉という魔法の道具を使ってね。
あの、ねばねばした感触をもう二度と思い出したくも無い。
そんなこんなで片付いたわけだけども。外を見れば、もう太陽は沈んでいる。
「おーい、海月君~。ご飯できたよー」
1階から、僕を呼ぶ声が聞こえる。
大仕事した後はお腹がすくというものだ。もう、腹ペコである。
「うん、今行くよー!」
そう返事して、僕は自分の部屋となる場所をあとにする。
楽しみだな、雪谷さんのご飯。さっきの掃除を見ている限り、そうとうな家事スキルを持っていると見た。これは、お腹がなるぜ~。
階段に差し掛かり、降りようと足を踏み出した瞬間僕は、気づいてしまった。
――あれは、塩で炒めるとおいしいよ。
彼女がキノコを見て、言った台詞である。
あ、あれ? おかしいな。膝が笑っている。
彼女の料理は果たして、天国なのか地獄なのか。
それでも、僕は勇気を振り絞ってリビングへと足を運ばせた。
できれば、天国でありますように。
がちゃ、とリビングへの扉を開く。
「お、海月君~。早く、早くー」
まず、食卓についている少女が眼に入る。そして、いよいよその料理は――。
料理は――?
「早く、食べないとのびちゃうよ~」
「か、か……」
「え? どしたの?」
「カップラーメンをご飯って呼ぶなぁああ!!」
なにが悲しいって、手料理を食べれると自惚れていた自分がいることです。