四話 僕の部屋?
「さぁ、ここが海月君の部屋だよ!」
彼女に連れられやってきたのは、1階の奥の方。雪谷さんは木製の扉を指差している。僕はその扉のドアノブに手をかける。
今から、始まる。僕の新しい、生活が。新しい人生の幕開けだ!
勢いよく扉を開ける――ってあれ、思ったよりも狭い。全然狭い。二畳分の広さ。そして真ん中にそびえ立つ、白い置物。ふむ。このことから推理して、ここは――
「トイレぇぇ!?」
僕の視界には真っ白な便座がポツンと設置されていた。
「あはははははは、ごめーん。間違えちゃった。てへぺろ」
雪谷さんは可愛らしく舌をだした、つもり、らしい。でも全然、可愛くない。顔がすごくにこやかなのが僕の神経を逆なでするが、僕も居候の身。立場をわきまえ我慢我慢。なんて
「誰がトイレに住むかぁああああああああ!!!」
できるか!! マジで。
しかし、僕の魂の叫びは伝わらなかったようで、雪谷さんはニコニコしている。
「あれ? 君、居候だよね? 家に住むんだよね? なんだろうねその態度?」
この人のことを少しでも可愛いと思った僕にさようなら。性格悪いよこの人、と思っている僕、こんにちは。僕はこの人の素晴らしい一面を知ることができました。
「ふっふーん。思い知ったか。人のことをMって言う人には、このぐらいしないとですね」
それと、結構引きずるタイプのようです。