表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/23

十六話 僕が出会った二人目の生徒

「おっはよー!!」


 後ろから、元気な少女の声が飛んできた。


 振り向くと、そこには赤色の髪のツインテールの、小学生くらいの女の子。


「あ、朱里あかりちゃん。おはよー」


「全く。あたしを差し置いて、朝から流風ルカ君といちゃこらしやが――」

 

 小学生は急に口をパクパクし始めた。


「お、お、お。おお音羽が……」


「ん?」


「音羽が知らない男と一緒に居るーーっっ!?」


「なっ」


 言い方が悪いよ! なんだこのませた子供は。

ってか、大体、なんでこんな所に、小学生が居るんだ。


 ……もしや。


「ね、ねぇねぇ、雪谷さ」


「あ、ごめんね。朱里ちゃんは朝からテンションが高いから」


「そーゆー問題じゃない!! 子供がうるさいのはしょうがないんだけど」


ピキッ、と何かが凍りついたような気配。


「あ? なんて言ったんだ? 兄ちゃんよぉ」


あくまで、少女の声。だけども、ドスの聞いた声が、響いた。

 

 ビービーと叫んでた少女が一転。柄の悪いヤンキーみたいな台詞を僕に吐きかける。

ってか、イメージが百八十度変わったんだけど。


「おい、兄ちゃんよぉ。子供って聞こえたんだが?」


「なんか、すっげー、タバコを咥えてて短ランなイメージが」


「あ、奇遇だね。あたしもだ」


「それは良かった良かった」


「うん、本当に良か――ねぇよ! 誰が子供だ!」


 目の前に居る、百五十センチにも満たないような少女のこと以外、誰かこの場にいるという

のだろうか。


「ねぇ、雪谷さん。ここって高校なんじゃないの?」


「うん、そうだよ」


「なら、なんでこんなとこに小」


 ズドン、と鈍い音が聞こえたのは、僕が浮遊感を感じたあとだった。


 雪はいつの間にか止んでいたようで、空は青が広がっていた。

空が、周りの風景に変わる。ただ、上下さかさまだったけど。


なんか、昨日から暴力ばかりな気がする。おばさんに殴られたところも痛い。今朝、雪谷さんに殴られたところも痛い。そして、今回。


会った人全てに殴られている。

ここは、凶暴な人たちが集まる場所。

危ない方々が集まる場所。きっと、そんなところだ。


……ん?


 ふと、感じた。とても、とても嫌な予感。

このままでは、まずい。全身から汗が止まらない感じ。

これは、もしかして、頭から地面に――。


「い、痛そー」


 目の前が真っ暗だ。


「雪があったから、多分大丈夫」


 なにが大丈夫だ、小学生め。おかげで頭が埋もれたよ。


「あ、この光景、わたし昨日見たばっかり」


 それは恐らく、昨日僕が、意識を失っている時ですか。


「え。音羽も酷い目に……?」


 どうしてそういうことになるんだ!? 酷い目にあっているのは、明らかに僕なのに。


「あはは、実はそうなんだよねー」


 おい!


「や、やっぱり」


 やっぱりじゃない。


「この人、初対面のわたしに向かって、どMなんて言ってきて」


 まだ、根にもってるのか。


「ごめん、それはこの人、間違ってない」


「酷い!」


 やはり、通常運転でドMなのか。


「あ、それよりさー、音羽」


「何?」


「昨日、面白いことがあったんだけど」


 ……話を変えたぞ。


「え、なになに?」


「えっと、ルカ君が」


 誰だよ、それ。

ってか、それより。

「はびゃく、たすげぇてよ《早く助けてよ》!」


 このままだと、放置されそうな気がした。

口の中に雪が入り、溶けて水になる。

息が苦しい。


「の家に入り込んでさー」


「え、ほんとに!?」


「うん、まじまじ。あの顔は傑作だったなー」


「わたしもみたかったよ」


 ……。


「ぶしずるな《無視するな》ーーっっ!!」


 次第に意識が薄れていきました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ