マサユメ
初投稿なので、うまくできたかとても不安です。読んでいただけたらうれしいです。
…ここはどこだろう。
俺は今、薄暗い闇の中にいる。 床はコンクリートらしく、固く、無機質な感じがする。 …どこかの鉄工所か何かだろうか。周りは見えないが、とても広いことが肌でわかる。この場所は、何かおかしい。 異質な空気、胸を圧迫するような不快感。 そして何より鼻をつくこの異臭だ。 魚かなにかの死骸の、さらに強烈になった感じだ。 …目が慣れてきた。
ほんの数メートル先に、大きな塊らしき物が見える。
よく目を懲らす。
それは…… 手足のない、人間の肉体だった。 感じたことの無い恐怖が体を貫く。 その時、後ろから視線を感じた。振り返ることができない。首筋に息がかかった。 自分の悲鳴で目が覚めた。
「…夢か…。」
これほど安心したのは初めてだった。………
「マジかよ!スゲー夢だな!」
智樹が馬鹿笑いした。 「おいおい、マジで死ぬかと思ったんだぜ。」 俺は少しムッとして言った。 「はは。悪い。おっと、これから行かなきゃいけないところがあるんだ。またな。」
そう言うと、智樹は電話を切った。 智樹とは中学からの仲だ。少しふざけ屋だが、根がいいヤツだから、今でも大親友だ。…それにしても、本当にリアルな夢だった。ふと思い起こしてみる。………暗い部屋、不快感、そして……死臭。目の前に転がる手足のない人。 急に、智樹の言葉が頭に響く。 「……行かなきゃならないところがあるんだ。」
背中に悪寒が走った。 「まさか…まさかあの死体は……。」
気がつくと、俺は家の近くの鉄工所の前に来ていた。直感でわかった。 「…ここだ…。」 込み上げてくる恐怖を押しのけて、 恐る恐る足を踏み入れた。 ……中は薄暗くて、以外に広かった。所々に昔使われていたと思われる機械が置いてあるのが、かろうじてわかった。 …どの部屋だろう。声を殺して、音を立てないようにゆっくりと進む。…智樹を捜さなくては…一番奥の部屋に入る。
…臭い……。 暗闇に目が慣れて、大分見えるようになってきた。ふと目の前になにか置いてあった。………人の首だった。
「ひっ!」
思わず悲鳴をあげて飛びのく。よくあたりを見渡すと、その部屋は、人の手や、足や、首がきちんと並べられていた。さっきから臭かったのはこれのせいだったのだ。 「なんなんだよここは……。」
恐怖で泣きそうになってきた。 と、その時、突然後頭部に衝撃が走る。目の前が真っ暗になる。………… 俺は、うつぶせに倒れていた。体の自由がきかない。
「!」
……手足がない……俺の手足が……なんで……。同時にとてつもない痛みが、体を駆け巡った。
「うっ…うあぁぁ…。」
視界に誰かが入る。 「…智樹…なんで…。」 智樹は口の端を歪めて不気味に笑った。 「やめられないのさ。人を見ると俺の手で解体してやりたくなっちまうんだ。今のお前の様にさ……お前は今までで最高のコレクションだよ…。」 智樹の不気味な笑い声の中で、俺の意識は徐々に薄れていった。あの時夢で見た死体は、智樹ではなく、この俺だったのだ………。