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くの一(女忍者)②~幼き忍者真美子

首都ウィーンのハプスブルク家に早馬が着く。チェイテ城の現状が窮したと馭者が急いていたのだ。


「皇帝さまに申し上げます」


ハプスブルク家の辺境の領地がチェイテであった。


対立するオスマン=トルコ帝国近いカルパチア山脈は皇帝は一瞬緊張する。


チェイテ城の女王エリザベートが怪しい。


カルパチアからの馭者は切々と山岳民族の窮乏を訴え皇帝に救いの手を求めたのである。


「山岳の娘がいなくなる?対立するオスマンのしわざなのか」


オスマンが村娘を奪略していたとならば戦争を覚悟であった。


「オスマンたる辺境は無事でございます」


チェイテ城の国王が逝去してからのカルパチアの酪農家や山林の村人は生活が苦しくてたまらない。


「最大の理由がでございます。チェイテ城に若い働き手を奪われてしまうからでございます」


城に娘が奉公に出たら最後二度と戻らない。


「なにっ帰らない?」


若い娘はいずこに消えたのか。


村娘は二度と姿を現さないのは公然たる真実であった。


チェイテの奉公にお城侍女したら再び村には戻らないのである。


「というのは」


チェイテ城で村娘はどうかなってしまったのか。


「ただでさえ村の人口は少ないのでございます」


年寄りばかりで酪農や山林の仕事は回っていかない。

「そうかっ窮状はわかったぞよ」


皇帝はチェイテ城を調べてみよと下士官に命じた。


「女王エリザベートの惨状たるしわざやあるかもしれぬ」


国王亡き後に女王。


「皇太子らは幼きなのか。なに?国王は早死にしているのか」


妻たるエリザベートが女王に君臨するも不思議はなかった。


「ハッ!皇帝閣下どの」


命令を受けた下士官。


警護警察にカルパチア行きを伝えた。


「チェイテでございますか」


首都ウィーンからみたらハプスブルク領地の地の果てにある片田舎。しかも上高地であった。


都会ウィーンに安穏と暮らす警護警察からエリートを派遣するには忍びない。


カルパチアの馭者の申し出を帝王は受け入れたが警護は乗り気ではない。


「しからば宮廷警護を再編成し案を練るか」


警護隊長は首を揃えてチェイテ救助策を捻り出す。


「まともに警護が大挙してチェイテに行ったとしても」


エリザベートは身構えてしまうであろう。惨状たる内実をうまく隠して尻尾を出さないであろう。


「いかがでございますか隊長どの」


ウィーン道場の日本人を使ってみては…


師範と娘・真美子


宮廷に警護警察に


皇帝の前に呼ばれる。


「遠方よりはるばる我がハプスブルク家に特使であるが」


"内密の役目を果たしていただけぬか"


師範はチェイテの惨状を知ると気丈なる返事をした。

「かような隠密(おんみつ)は忍者の心得でございます」

もしかして


「我は武士である。だからこそ内密なる"忍びの術"は心得でございます」


お城の内情を秘密に詳しく調べられるのではないか。

「適任でございます」


師範は2つ返事でチェイテ行きを快諾した。


警護は喜んだ。やったこともない内密など先方にバレたりしたら取り返しがつかない。


「しからば頼みます」


師範と真美子は顔を見合せて


はてはて…


師範はしばし下準備期間をもらい"内密の案"を練る。

「私と真美子では目立ち過ぎる。日本人がチェイテに入ったとしても不可思議ではないことを」


首都ウィーンのオーストリア(ゲルマン民族)すらもカルパチア山岳民族とは異民族である。


「父上さま。真美子に考えがございます」


バチン!


真美子は手を打つ


ウィーンの道場で領地内の異民族らとインターナショナルな関係。


語学堪能なる娘となった真美子ならではの妙案があった。


「ウィーンからの特使となって我々はいかれてはいかがでしょうか」


ハプスブルク家皇帝の命令で様々な領地の異民族がカルパチアに特使として訪問をする。


「カルパチアへの特使とならば。日本からの父上と真美子も大丈夫でございます」


なるほど!


師範は道場で剣術の優れたモノを選び心強き用心棒とした。


真美子のアイデアに感心したのは皇帝である。


「特使になってチェイテ侵入となっ?考えたものであるな」


皇帝は早速にチェイテに早馬を走らせ真美子らの特使来訪を知らせる。


『我がハプスブルク家の友好的民族。ハポーニャ(日本)の特使を遣わす』


なぜチェイテ城に行くのか

「ハポーニャはハプスブルク領地を隈無く表敬訪問をしたい」


早馬からは特使受け入れの返事を待つ。


「しからば真美子。おまえには特別な任務が課せられよう」


師範の父親はチェイテの惨状を知り幼女ゆえになさねばならぬことを察知する。

「剣術はウィーンの男衆に任せておく」


真美子は…


内密たる使命感より


「忍法"くの一"を授けたい」


くの一!


「父上さまは真美子に忍者となれっとおっしゃいますか」


剣術に長けるよりも


忍びの術に精通しなければならぬ女忍者"くの一"


「わかりました」


御意(ぎょい)にございます。


チェイテの惨状をつぶさに知ると真美子のからだに流れる武士の血が騒ぐのである。


「チェイテにいる若い娘の生存すら危ぶまれている惨状でございます」


三河武士の娘として忍術の尽力を果たしてみたい。


チェイテに向かう日まで数ヶ月。


真美子は徹底的に"くの一"忍びのイロハを仕込まれる。


「真美子よいか。内密の任務はなめてはいけない。失敗は許されぬ」


心を決め隠密"くの一"になるのだ。


父親はひとり娘を幼女ながら鍛え上げてやりたい。


幼女は幼女なり


武士の心を持たせている。

チェイテに内密は師範の父親も一緒である。


生命の危機などは父親が回避してやりたい。


鍛え上げたいとなれば


「あれもこれも身につけてもらいたい。しかし幼女である。いやっ女の子というべきか」


いかな天才少女が真美子であり剣士として将来楽しみであれど限界があった。


「忍者はひとりではいけない。忍びの術に様変わりがある」


ひ弱な幼女に無理難題は課せられぬ。


「ウィーン道場から2~3人を忍術を習得させたい。真美子に合わせた忍術を仕込んでやりたい」


青い目をした剣士を忍びに仕立てる。しからばっと師範は腕を組みする。


「チェイテの惨状は真美子のような若い娘が最適。若い男も内密に」


幼年の剣士の弟子をひとり思いつく。


「しかしあの子供は」


真美子とは年端が近く公私に渡り親しくもある。


「適任ではあるが」


真美子と剣術を学びカタコトの日本語も理解している。


「皇帝どのは首を縦に振りはしないであろう」


チラッ


心配そうな我が娘真美子を見つめてしまった。


「父上さま。真美子がお役に立ちとうございます」


サアッ~


忍びの術で


"くの一"真美子は道場から姿を消したのである。 

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