真美子(マミコ)①~ウィーン警護警察
中世ハンガリー=オーストリア帝国
首都ウィーンは華やかなキリスト教文化のハプスブルク家の中心である。
『世界史』の中世時代に版土拡大の大帝国ハプスブルク。貴族文化の華開く街。
押しも押されぬ絢爛豪華な皇室が存在した。
「皇帝さまに申し上げます。たった今しがたでございます」
宮中に馭者が参りました。
「早馬にて三日三晩の駆り立てにて参りました」
夜を走り峠をアルプスを越えて宮廷に到着している。
帝国ハプスブルク家は領地を次々拡大し今のオーストリアを中心に東欧諸国に発展をみる。
ハプスブルクの領地は東欧を中心に広くある。
北から南から馬を仕掛けてウィーンに馭者はやってくる。
ハプスブルクの帝王は領地化した民族を虐待せず尊敬し"緩やかな統治・穏やかな為政"を施している。
ゆえに平和な領地であり争いはとんとないのであった。
「申し上げます。馬車から降りた馭者はチェイテ領地の近隣諸国からである。
「見識高き皇帝さまに申し上げます」
馭者は片膝を赤い絨毯につき最高の儀礼をみせた。
「その方の…」
皇帝はブルブル震えてしまう。
"もしも…"
早馬を駆り立てた
勇ましき馭者が
"オスマントルコ"
を語られたらば!
我が領土侵略である。
帝国たるオスマンに宣戦布告を覚悟せねばならぬ。
「はっ!お言葉に甘えまして」
馭者は一歩前に出た。
宮廷はとてつもない緊張感に包まれたのである。
チェイテ城の領地カルパチアは鳥も通わぬ険しき山岳である。
広大な山脈の奥地は異民族はまず踏み入れぬ聖地であった。
聖地というのは外敵がいないこと。
運よく
カルパチアの自然が要塞となりわずかな平野にチェイテ領の民族が酪農や林野の民として暮らした。「チェイテ城?…でございますか」
ウィーンは皇帝を警護する優秀な警察隊が組織されていた。
「チェイテとは?我がハプスブルクの東部辺境の領地でございますか」
警護警察にチェイテをよく知る者はいなかった。
「皇帝さまからの命なんだが」
皇帝からじきじきに命令を受けたのは警護頭。(日本では警視総監にあたる)
チェイテ城の女王エリザベートのようすがおかしい。
「おかしいというのはどのような?」
チェイテの山村娘たちがお城に奉公に出ていく。
だが誰ひとり"奉公あけ"で村に戻ったためしがない。
「さらにはそのお城の侍従は大半が娘っ」
娘だけがお城に奉公に出される。
「チェイテ領地の馭者が言うには…」
女王エリザベートは生娘たちがいたって好みである。
「チェイテの領地国王が亡きあとには数々の奇行や蛮行が噂をされてもいるのだ」
警護警察のポリスは真面目な顔でチェイテを聞いた。
「城奉公に出した娘は総勢500を越えるらしい」
ホォ~
それだけの人数ならば神隠しでございますかなっ
女王エリザベートの寵愛を生娘たちは夜な夜な受けているのではないか。
「あまりにも女王の待遇がよいから村に帰りたくなくなるのではないか」
そんなバカなっ!
「チェイテというのは(ルーマニアとハンガリーの)辺境の地であるわけだから」
都のウィーンから誰しもいかない。
未知の野獣や化け物が棲息しているやもしれぬ。
前人未到のカルパチア山脈
しかも奥地で山頂
欧州狼・熊・大猿・キングコング
「まさかでございますよ」
大怪獣ゴジラ現れる!
女王エリザベートは夜な夜な大怪獣に変身をして生娘を食べた。
「チェイテに妖怪が?エリザベートは怪獣?」
女王エリザベートは人喰いの大怪獣をチェイテのお城でこっそり飼育しているのではないか。
「例えばでございます。アフリカにいるライオンのごとき」
肉食獣をお城の中に番犬のように飼い従える。
「正直に言ってしまえば」
華の都ウィーンから見たらチェイテやカルパチア山脈など
魑魅魍魎
百鬼夜行
何がいても
何が現れたとしても
「不思議なことはないのだぞ」
エリートのウィーン警護頭はブツブツ小言を繰り返した。
「チェイテ派遣の人選をいたそうか」
皇帝からの厳命がある。
『チェイテの内偵をしっかりしてまいれ』
女王エリザベートはなにをしているのか
チェイテの秘密地下牢でなにをしでかしているのか
「チェイテの生娘が消え失せたというのは」
お城がキーワードになるらしい。
「チェイテ領は寒村たる酪農家と林野しかいない」
数千しかいない村の人口から生娘が500人も行方不明では
のんびりした牧歌的なチェイテたりとも落ち着いていられない。
「わかった!人選をいたそう」
ウィーンの警護から派遣の警官をピックアップする。