東雲主任の口癖④
転勤して一週間が経過した。
東雲さんは少しずつ仕事の説明をする。
ほんとに少しずつだ。
「このペースでだいじょうぶですか?」
「スケジュール通りだからだいじょうぶ」
一日のスケジュールはだいたい同じ。
午前中に前日の振り返りと新しい内容説明。
午後からは午前中の内容で作業する。
東雲さんの説明の仕方に癖がある事に気付いたのは
三日目の事だった。
まず作業方法だけを説明する。そして
「何でこれが必要かと言うとーー」
仕事の構造と重要性を話し始める。
説明に必ずケーススタディが付く事には驚いた。
実際にあったトラブルと想定トラブルが半々くらい。
「成功事例を聞いてもあまり意味がないよ。
マニュアルは成功する様に作られているからね」
簡単な作業でも必ずケーススタディとセット。
東雲さんにブレは無かった。
「高木くん、トラブルの原因って何だと思う?」
(トラブル原因ってケースバイケースでは?)
どう答えて良いか分からず沈黙。
「ざっくり言うとね。
ルールが無い、
ルールが悪い、
ルールを守らない、
このどれかになるケースが多いんだよ」
(そんなにざっくりで良いの)
「もう少し詳しく言うとね
ルールが無いと言うのは、
突発性事象はルールが無い事が多い。
ルールが悪いと言うのは、
元は適切なルールが、環境変化に対応していない。
ルールを守らないではなく、
条件が厳しくて守れない事もある。
トラブルへの対策には、この観点で原因分析すると けっこう近道だよ」
今日の業務説明の時も、東雲さんの
「何でこれが必要かと言うとーー」に加えて
ホワイトボードの図解説明もセットだった。
(東雲さんの図解説明わかりやすい。
ただ字が途中から走り書きになるのがツラい)
みなさん、こんばんは。
やっと業務開始になりました。
東雲主任ですが、どんなに簡単な仕事でも
「何でこれが必要かと言うとーー」
必ずこれがセットなんですよね。
僕は新入社員じゃないんですけどね。
そろそろ本社での仕事も少しずつ慣れてきました。
みなさん、応援よろしくお願いします。
次回
「東雲主任はやさしくない」
2026年公開です。お楽しみに!




