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宇宙でひとりぼっちになりまして  作者: 御堂廉


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第六話 お米を見つけました!

ゴブリン滅すべし

翌日、あのゴブリンたちが居た集落らしき場所に来た。

離れて観察していたけど、集落に残っているのはほとんど居ないようだった。

蹴ったら壊れそうな木と葉っぱでできたシェルターと、キャンプファイアーの燃えカスみたいな感じのが真ん中にある。


「ある程度の文化レベルはあると」


何でここに来ているかっていうと、あのゴブリン達は情報共有が可能ってことが分かったから、今後の憂いを断ち切るために「根切」をするためだ。要するに根絶やしにする。

知能がある生物は危険っていうのは自分たちのことを考えれば分かること。

敵対しているならばなおさらだ。


恐らく、和解は無い。

ならば最後の一匹になるまで抵抗を続けるものだ。


「エイダ、突っ込むから反応に向かって攻撃を」

『了解しました。ターレットライフル起動、いつでもいいです』

「ふう……じゃぁ、いくわよ」


アクセルを踏み込んで、手前にあった木を組み合わせただけの塀とも言えない囲いを突破する。

突然の侵入に、残っていたゴブリンが慌てふためいてシェルターから出てきた。

……小さい個体もいる。けど、敵だ。


視認したと同時に発砲音が響き、的確に急所を撃ち抜かれていく。

逃げようとして腕や足がもがれるところも見てしまった。

腹に当たり、吹き飛んだところから臓物が出てくるのも見てしまった。

吐き気がこみ上げてくる。

けど、我慢する。


ぐるりと集落を周り、ターレットライフルが静かになった。


『掃討完了しました。同種の反応は有りません』

「……うん。全部回収するね」


死体も、シェルターも何もかも、スキャンをしながら全てを回収していった。

後味悪いなぁ……。

でも可哀想とは思わないようにする。

これは私が生き延びるためには必要なことだった。仕方のないことだったと思い込むことにする。


よし!


後には集落があった、少し広めの空き地だけが残った。


□□□□□□


とりあえず……突然襲撃されるってことは無くなったと思う。

けど、今回みたいに入口近くまで来られるとちょっと困る……というわけで。


「とりあえずの防壁を作りましたよっと」

『今回のゴブリン程度であれば突破は難しいでしょう。とりあえずの処置としてはこれで良いかと思われます』

「私もそう思う。あとは防衛用のターレットが欲しいわね」

『コンストラクターのタスクに入れておきます。拠点防衛用のセントリーガンをタスクに入れました。終了まで1時間』

「ほんと早くなったわね……」


いや本当に早い。

弾は今のATVについてるのと同じものが使えるし、稼働してないときはとりあえず弾丸作らせるかなんかさせている。

結構在庫は溜まってきてるけど、まああるだけ欲しいしね。


「んー……小型でいいから飛行機欲しいわね……偵察に使えるやつ。空ならあまり邪魔はないと思うし……」

『希少鉱物などが全く足りません。しばらくは無理かと』

「まぁ仕方ないわね。とりあえずエイダ、スキャンした範囲の鉱物なんかは見つかった?」

『銅鉱石の鉱脈があるようです。銅鉱石には少量ながらプラチナなどの金属も含まれますので優先的に集めるとよいかと』

「弾薬になるし配線にも使えるし」


色々使い勝手が良い金属だからねー。

後素材としてあった分が底をついてるから、他の金属を使って代用しているところがあったりもするし……そういうところは作り直して交換しよう。


『ただ、地中深くに反応があるので、生身でいくには危険かと。掘削、回収するための装置を作ってからのほうが安全です』

「……タロス……」

『まだ無理ですので、小型コンストラクターでも作れる掘削レーザーアタッチメントを取り付けられる作業機械を作ることを提案します』


んー……。

地中に潜るために、乗っていく掘削レーザー付きの乗り物だね。

どういうのを作れば良いんだろう。


『小型の建設機械をベースにした物の設計図がありますが』

「とりあえずそれでいいわ……」

『了解しました。フレームのみのオープンフレームになっているので、カバーを付け、コクピットもシールドガラスを付けておきます』

「ありがと」

『また、食用可能や、有用な植物等のデータを纏めておきました』

「流石仕事が早い!」


ざっと見た感じ、食用可能なものは40種類ほど。

結構あった……。

といっても加工することで調味料に出来るものが多い。

いやでも、胡椒の代わりになりそうなのとか、辛子の代わりになりそうなのとか、色々とあって嬉しい限りだ。

なによりも……シロップが作れるものが幾つか。

そして!森を出て少しのところに穀物の原種があった。もっと言えば稲。

これはなんとしてでも取りに行かねば……!

とりあえずこれがあればパンが食べれる。

ライスにしてそのまま食べてもいい。

万能なエネルギー源となるわけ。


「……でもなーんか黒くない?」

『アントシアニン系の色素が豊富に含まれているようです。またビタミンやミネラル系の栄養素も多く含まれているため、摂取することでそれらを補えます。ただし、加工品は赤黒くなります』

「だよね。まあ……食べれるだけいいかぁ。食べれるんだよね?」

『食用可能です』


ならいいや。

多少黒くなるのは目をつぶろう。

いや別に色素取り除いておけば良いんじゃないの?

できればたくさん欲しいけど、どれくらい生えてるのか……。

これは早めに調査に行きたいわね。


有用なものにはいろんなのがありますが、この世界ならではっぽいのも幾つか。

強力な毒草だったりするものなど色々あるけど……要するにこれで薬が合成できるということ。

大体酸素、炭素、窒素、水素あたりを合成することで作れるようだけど、最初からある程度出来ているものがあれば生産は早くなるというわけ。

ぶっちゃけこのへんは専門じゃないから全然わかんないんだけど!

作れるならよし。


病院とか無いし、薬が生命線になるわね。


明日はこの稲の調査と、また別なコースを辿って、周辺の調査を行おう。

敵は……同じ処理で。


「あっ。自分もスキャンしておいたほうが良いかな……」

『体調だけでなくウイルスなどに感染した場合発見できます。定期的なスキャンを推奨します』


ならやっとこう。


『データを受信しました。バイタル正常値、若干の体重減少が見られます。また、魔力を検知しました』

「……ん!?魔力?」

『はい。未知のエネルギーが僅かですが検知されました。体内に蓄積されているようですが、今の所健康に異常はありません。細胞への干渉などは見られません。なお、血液に乗って全身を巡っていると思われます』


これは……もしかすると、もしかする?

魔法、使えちゃう?


……やり方わからないわね。


とりあえず外でファイアーボール!とか叫んでみたけど、何も起きなかったよ。

恥ずかしかっただけだった。


「ええぃ、この星のものを食べると蓄積するのかしらね。まさか敵を倒すと?一応記録取らせておきましょ。エイダ、私の魔力の蓄積を、敵を倒す前と倒した後とで比較して」

『了解しました。今後、敵を倒した場合に自分をスキャンしてください。現在のデータは保存しました』


よし。

もしかしたらこのまま増えたら少しはなにか使えるようになってくれたら……いいなぁ。


□□□□□□


翌日、ATVを出して例の稲のある場所へと向かった。

あのゴブリンの集落の反対側らへんにそれがあって……結構な群生具合だったのが地味に嬉しい。

しかもちょうど収穫時じゃないのコレ。


「これ、粒大きいわね……」

『地球のものに比べて粒は大きめのようです』

「とりあえず半分くらい残して後全部回収しちゃいましょう!後々作れるように保存用と食べるようで分けておいて」

『了解しました』


さてじゃあ……また探索しましょう。

この辺はある程度ひらけているから走りやすい。


『12時の方向に生体反応。魔力の保有値はゴブリン以上です』

「高性能レーダーに変えたから……5km範囲内?」

『はい。ただ距離1000mを切りましたので報告を』

「なるほど。周囲には他の生物は?」

『地図上に重ねて表示します。魔力持ちは赤で表示、その他の生物は黄で表示します』


結構いるし。

赤も黄色も5km圏内にたっくさんいる。

ただ単に遭遇しそうなやつだけ教えてくれてたのかぁ……なるほどね。


とりあえず見るだけ見てみよう。

双眼鏡で見れるところまで近づいて見てみると……やっぱりファンタジーな感じのやつが居た。

3体固まっているね。


「見た感じ近くにも反応が幾つかあるけど、襲いに行ったりとかは無いみたいね。草食系?」

『口の形状からその可能性が高いです。巨大な牛といったところでしょうか』

「ただ、魔力反応大きいんでしょ?少し離れたところにあからさまにティラノみたいな感じの肉食がいるのにこっちには近づいてこないみたい。危険なやつかも」


魔法がある以上、見た目草食とかでもめっちゃ強い可能性はある。

スキャンを始める。


『生体なので少し時間がかかります』

「別にいいわよ。ゆっくりやりましょ。って……襲われた!」


3匹の牛……まあ大きさは象位あるんだけど。

それに対して8匹ほどのラプトルのような……でも腕には鎌のように鋭く長い爪を持った魔物が襲いかかった。

数の上で有利と見たようだ。

だけど……ひときわ体の大きい牛が空気を震わせるほどの咆哮を上げ、同時にエイダが慌てたような警告を発する。


『警告、高魔力反応、上昇中!』

「でも……ラプトルが早い!」


牛が振り向いて攻撃準備に入っている時にはすでにラプトルは飛び上がり、距離を一気に詰めている。

後少しで戦闘のラプトルの爪が届こうかとしたその時。


地面から巨大なスパイクが突き上げられた。

遅れて爆発のような音。

凄まじい範囲の大地が鋭い岩の棘となって、飛びかかってきたラプトルは全て空中で串刺しとなり……何匹かは真っ二つになってちぎれ飛んでいった。


『データを受信しました。巨大な牛でほぼ間違いは有りません。筋肉質なため肉は固め。皮は厚くこちらの現在の武装ではまともにダメージを与えられない可能性が高いです』

「仕留められたら美味しいけど、これは無理ね……。……あっ」


ダメ押しとばかりに空中に岩の棘を無数に出現させ、ビクビクと動いていたラプトルに向かって斉射している。

……多分、ミンチだろうなぁあれ。


『あの攻撃は危険です。チャージに時間がかかるようですが、一度発動すると逃げ場が無いかもしれません』

「うん。本当に。土属性ってとこね」


あれには手出ししないようにしよう。

間違っても。水牛に似てるから体当たりかますかと思ったら、遠距離も近中距離も対応できる万能型じゃないあれ。

エイダによればこのATVなら一番硬い部分は抜けるかわからないけど、他の部分は抜かれる可能性が高いってことだし。

怖すぎる……。


この世界、本気で怖くなってきたんですけど。


牛がラプトルに興味をなくしたみたいなんで、肉片をスキャンして回収した。

……爪、金属製だったよ。

銀を主とした未知の合金。

……ミスリルかな?爪の背の部分持って、ラプトルの死体にかるーく当てただけでスッ、と20センチくらい入ってった。

信じられる?当てただけで切れるってレベルじゃないの。

当てただけで沈む。

これ、生身で受けたら何をされたかわからないうちに真っ二つってことでしょ……こっわ。

でもそんな凄いのが16本も手に入ったっていうのは本当にラッキー!


「ストレージに突っ込んでおきましょ。下手に置いたら落とすか下手したらこっちに刺さってきていつの間にか私が死ぬわよこんなの」

『この爪を分解は出来ませんが、強度的には加工が可能です。コンストラクターに入れて、剣を作ってみては?』

「え、そんなことできるの?」

『コンストラクターは元から登録されている加工をするモードに加え、エンジニア用に制限を解除したモードがあります。それを使って爪を加工することが可能です』

「なにそれ知らなかったんだけど」

『専門職しか使いませんので。それでもこの機能をすべて引き出しているわけではないそうです』


流石超科学文明のブツ。

コンストラクターも、スキャナーも、全部異星人からの技術なのだ。

ブラックボックスというわけではないけど、私達には殆ど理解できない。

それを無理やりこっちのコンピューター言語を使って操作できるようにしているだけの話なんだから……。


その後、付近をぐるりと巡って粗方スキャンをして戻った。

いやー、ドライブ楽しい!

いろいろな発見があって面白かった!


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― 新着の感想 ―
この星のモンスター達強すぎる…ルナティック難易度ですね!
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