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ターフに謳えば  作者: 大田牛二
2XX0年 打倒皇帝
13/20

大阪杯に向けて 血統からのアプローチ

「今日は大阪杯に出走する馬たちの血統を見ていこうと思います」


 青澤セイナが画面の中で青髪を揺らしながら配信を始めていた。


『今日もよろしくお願いします』


『ストロングトレインに勝てる馬を知りたい』


『穴馬になる馬いるかなあ?』


 コメントが流れる中、青澤セイナは話し始める。


 「今回の大阪杯において考えるべきなのは、圧倒的な1番人気かつ強い馬がいるということです。そこで3つの要素が絡むことになります」


 青澤セイナは3つの


「こういう圧倒的な実力差があるレースの場合、それに抗うことができるか、もしくは強い馬がいるからこそ、付いてこれる馬がいるのか。圧倒的であっても血統的面で特化型に負けるかです」


 彼女はそう続けながら画面に画像を見せる。


「先ずは1番人気のストロングトレインは血統的な部分では問題はありません。気性面の心配も無いでしょう。そのため特化型に負けるという可能性も少ないでしょう」


 ストロングトレインの大阪杯への適正に関して問題無しとすると、次に2番人気のラブルと3番人気・ゴーレンの画像を見せる。


「ラブルという馬は前哨戦が強いタイプの母型の血を持っている馬です。私は買わないです。次のゴーレンは血統的にはバランスの良い。悪く言えば、まとまり過ぎていると良いでしょうこの馬も前哨戦に強いタイプですねこの馬も私は買わないです」


 彼女は上位人気の2頭をばっさりと判断を下すと、サーベルクイーンの画像を見せる。


「5番人気のサーベルクイーンですが、昨年はエリザベス女王杯の際に本命としましたが、今回のレースでは評価を下げなければなりません。血統面において瞬発力に優れている一方で牝馬限定戦では強くとも混合戦では弱い部分を見せる配合となっています。シャンデリアに負けたのもその面が出たと言っていいでしょう。買うにしてもヒモ候補ですね。さて、そのシャンデリアですが……」


 シャンデリアの画像を見せる。


「シャンデリアは重馬場巧者で、大阪杯が重馬場だった場合は警戒しなければならなかったでしょう。しかしながら今回は良馬場での戦いになりそうなので、こちらも評価を下げざる負えないでしょう。また、脚質としてストロングトレインが逃げる中でついていけばつぶれるだけになるので、恐らく先行するに留めるでしょうが、そこでどこまで馬券内に残せるかという問題があります」


 シャンデリアはある意味、重馬場特化型であり、条件次第であれば前走の金鯱賞のような大物食いを行えただろうが今回の条件では厳しいだろう。


「次はマガノスクリューです。この馬の血統的な問題は無いどころか。こういう実力差のあるレースかつ厳しいラップだからこそ、食らいつけるところもあります。評価は高いですね。ただ……懸念点はありますが」


『去勢明け一発目というのが気になる』


 そんなコメントにセイナは答える。


「懸念点の一つだね。血統面で言うのであれば、直行するのに向くタイプだ。この馬の皐月賞で弥生を使ってからの出走に関して懸念点を述べていたのを覚えているよ。その後も走らせすぎたんだよね。そこから去勢で長い休みを取ったのはいい形になる可能性はある。ただその去勢明け一発目かつG1レースというのが判断に困るところね」


『結論としてはマガノスクリューを買うってこと?』


「そうですね。そう言うことになります。ストロングトレインとマガノスクリューの2頭軸の馬券を買おうと思いますね」


『スメラギスワローはどう思いますか?お嬢様を応援したいなって思っているのとなんか調教めっちゃいいんだよね』


 コメントの内容を見てセイナは難しい顔を見せる。


「この馬に関しては特に判断が難しいと思っています」


 本当の意味で彼女も迷っているのであろう。彼女は自分の考えがまとまっていないのだろうか。考えている内容を垂れ流しし始める。


「血統面に関して言えば、大阪杯特化型というほどに向いている牝系をしています。しかしながら年齢がネックで7歳。7歳で活躍できる馬もいますが、そこまで晩成血統というわけでも無い。更にスタートが以前ほどのスタートする力が無くなっている……買うのには躊躇しますね……いや、前走で愛知杯を使ったというのが……距離延長が効く血統……確か愛知杯のレースのペースはハイペース……ハイペース?マイル路線を基本で走っていた……でも、1400m戦は初……スプリント戦を経験させたかった?……ショック療法?……まさか……ハイペースを経験させて、大阪杯を狙いに行こうとしていたということ……ストロングトレインが出て来るから勝負になると陣営は判断した?」


 だとすれば……スメラギスワローは買わなければならない馬ということになる。











「今回のレースに参加させるのはお父様のご意思によるものとお考えですか?」


「失礼ながらそう思っている自分もおりますわ」


 ルービックキューブをカチャカチャ弄っている九十九数無の言葉に皇朱音は答える。


「あなたにとって、不公平に感じるのでしょうね。他よりも馬に乗せてもらえるチャンスが多く、今回、G1レースに乗せてもらえる馬を用意してもらったのと……」


「ええ、不公平ですわ」


「面白くない。そう思うのはわかりますね。ただ私にとってあなたのお父様は得難い馬主さんではありますが、馬の方針に関して身内への依怙贔屓のためだけに口を挟ませるほど甘くはありませんよ」


 九十九はルービックキューブを置く。


「今回のスメラギスワローがG1という大舞台で活躍できると判断したためにローテを決めて出走を決めた。そして鞍上もそのために必要として決めています」


 彼は皇朱音を見据えながら言う。


「私の信条は厩舎に来た馬全てに活躍してもらうことです。朱音さん。初のG1レース頑張ってくださいね……スメラギスワローの大一番ですからね……」


「ええわかっていますわ」


 大舞台にやっと立てるのだ。気合が入らないわけはなかった。








 

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