王子様の憂鬱
バタンと扉を閉めて、なだれ込むようにソファに身を預ける美しいブロンドに赤い瞳の少年 彼こそが、サラスーラ王国第一王子フェリックス・サラスーラ
「あ〜!! 疲れた〜!! 鍛錬よりも、勉強よりも爺やの説教よりも疲れたぞ」
本日は、もう既に5回目の婚約者候補とのお茶会が先程終わったばかりであった
「まだ!11歳だぞ! 私は、まだ令嬢たちと茶を嗜むより剣を振り回しているほうが楽しいのだがな! 」
そう言いながら服を脱いでいく
「フェリックス様、そう申しましても11歳です
もう未来の伴侶となる婚約者様をお決めになられ国の反映のためにもご自身のためにも今から信頼関係を深めていただかないといけ........」
「あー!もう聞き飽きた わかってる ! わかってるから せめてこの部屋でだけでも文句ぐらい言わせてくれ!」
服をあつめながら、いつものようになだめる従者のサリの言葉をさえぎりフェリックスは、叫んだ
フェリックスは、11歳 二卵性双生児の実弟である第二王子テリウスも勿論同じ11歳であるが瞳がブルーの瞳であった
元々現在の国王であるダリウス・サラスーラ国王の前の国王までは、直系で引き継がれておりその髪色は漆黒そして赤い瞳の家系であった
しかし、8年前隣国へ訪問の際、船の火災事故で国王一家全員が還らぬ人となったのだ
「国王陛下の従兄弟であった父上は確かに瞳は、赤いが髪はブロンドで漆黒ではない
あの事故がなければ国王にもなっていなかったのだから赤い瞳だからといって私が皇太子になることもないのではないのか?
テリウスではいけないのか?」
だから〜、結局国王は、赤い瞳が王家の印だから自分達が王家を引継いでいるのは当然であるという証明みたいなのをしたいのに何回言ってもこの王子はわかんねーな
とサリは心の中で呟いた。
「赤い瞳というのが王の証なのですから、それが絶えると不運がおきるとまで伝えられているのですからフェリックス様には、良い王様になって頂かないと」
「ふむ、良い王か 良い王!良い王子! 良い伴侶! 良い!良い!ばかりだな」
「そうです、ご自身の為にも良い伴侶を見つけないと!
優しく賢い素敵な伴侶
どうでしょう5回お茶会された中にはいらっしゃいましたか」
「優しそうで賢そうというなら、あの中ではアイリーン・キャラウェイ嬢かな
他の令嬢は、どうも下心丸出しで笑っている顔もどうも恐ろしかったが、アイリーン嬢が時折みせる笑顔は自然な感じがした」
「やはり!そうですね」
「ただ…… 」
「ただ……?」
「いや、なんでもない」
ただ、ときめかない、ドキドキしないんだ まあ、ドキドキするという感情もよくわからない
でも騎士達が時折恋人の話を鍛錬の休憩の時話しているドキドキしたとかそういったものは、一体どういったものなんだろうか
という思いは、言葉にせず飲み込んだフェリックスだった。
サリの用意した部屋着に袖を通しながら話をつづけた
「まあ、父上達の話も聞いてみてもアイリーン嬢に決まるであろう テリウスの婚約者も決めないといけないしな」
「そういえばらテリウス様のお茶会にもアイリーン嬢の妹君は、参加されないようですね」
「妹? アイリーン嬢は、一人娘では? 」
「いえ、お従姉妹様になりますがご両親がお亡くなりキャラウェイ公爵様が引き取られたお嬢様がいらっしゃいます」
「知らなかった」
「フェリックス様のお茶会にも参加されませんでしたのでご存知なかったのかもしれないですね」
「王家からのお茶会の招待を全て断るとは」
「ご病弱とのことなので、社交も全て参加出来ないという噂も耳にいたしましたよ」
「ふーん、そうか…… そのような事であれば一度見舞いにいったほうがいいのではないか?」
「え? フェリックス様? 何いいんだすんです? いや、絶対興味本位でしょ? ダメです! 絶対ダメですよ」
サリはそう強くいいながら フェリックスの好きなアッサムのミルクティーを用意した
「どうしてだ!」
「フェリックス様がお見舞いに行かれると気遣われてかえってゆっくりご療養できません!
いずれ時がきましたらまたお会いすることもございましょう
それよりも、アイリーン嬢と御一緒に過ごす時間をお作りください」
「ふむ、致し方ないな」
見舞いひとつも行くことができないのか…… 物心ついた頃から周囲に言われるまま流されるままなのではないのか
同じ双子であるのにテリウスと違い不自由な事が多いと感じ不満にも思いながらミルクティーをゴクリと飲んだ
お読み下さりありがとうございます
今回は、フェリックス王子目線でした いかがでしたか?
ep.10は10月7日10時10分更新予定です
よろしくお願いいたします