王妃の誕生日
王妃の誕生日当日となった
私はウィリアムにエスコートされ最後に会場にはいる
なぜなら、王妃は私達が招待されていることなんてもちろん知るはずがない
私は、以前ウィリアムからプレゼントしてもらったドレスの中から
ミルクティー色をしたドレスを選びそのドレスに手を加えて青い小花を沢山つけてもらった
「アリス、デヴィッドの色だ」
「おじ様、今日はお父様とお母様と御一緒です」
おじ様は、黙って頷いていた
「アリス、いよいよだ さあ、いこうか」
「はい、ウィリアム殿下」
キャラウェイ公爵家の馬車に乗り王宮へと向かう
ウィリアムは、かなり緊張しているようだ
そっと、ウィリアムに癒しの魔法をかけた
これで、少し気持ちが楽になってくれたらいいのだけど……
エリィが「アリス、魔法かなり上達したわね 」と耳元で囁いた
「ありがとう、でも軽くかけたからまだ少し緊張しているみたい」
「少しの緊張感は、必要よ アリスも気を引き締めてね」
「ええ、わかったわエリィ」
ウィリアムの精霊 フィルは、ウィリアムがノアでいた間私に話しかけたくても話しかけられなかったのがやっと姿が現されるようになり馬車の中でずっと私に話をしてきた
最後にはウィリアムにしかられていたが、逆にそんなフィルのおかげでウィリアムの緊張が一層解けて肩の力がぬけたようだ
王宮の門をくぐっていく
「いよいよだ」ウィリアムの声に頷いた
王宮の一番広い広間の玉座には、既に生気を失った表情の屍同然の国王が座らされていた
集まった貴族の中で一番王妃の玉座に近い場所にバルスーン公爵家とハニーライド男爵そしてマリアがいた
王妃と王子ふたりの席は、空いていた
貴族達がざわめく中王妃とふたりの王子が姿を現す
これまで、国王の後ろで息を潜めて控えていた王妃が一番前にでて意気揚揚と宣言する
「本日は、私の誕生を祝うため集まってきてくれありがとう 本日は、この国にとって重大な宣言を皆の前でする このように病に侵された王に変わって本日より私がこの国を治める」
集まった貴族は戸惑いざわめいた ざわめきの中王妃が術を発動しようとした時
「否!あなたにはこの国を渡せない」フェリクスが大声を出した途端、魔塔主が魔塔に所属する魔法使いを連れて現れた その中にはセラも含まれておりセラは、フェリクスとテリウスを護るように剣を構えていた
「ホホホ、フェリクスよ とうとう呆けてしまったか 魔塔主まで連れてきてなんの騒ぎじゃ」
「ダリウス、そして悪魔ジョディよ、今日こそお前らの悪行償うとよい 前ジルベール国王夫妻、デヴィッド・キャラウェイ公爵子息夫妻、そして私達の母シルビアを殺め、禁断の魔術に手を出しこの国を混乱に落とし込んだ罪は重いぞ」
「小童が何を証拠に!」ジョディがそう言うと宰相が部下と共に証拠の数々を書いた書面を貴族達にばらまいた
書面を見て、またフェリクスの言葉に貴族たちは驚きを隠せなかった
ジョディは怒りに任せフェリクスを攻撃したがセラが跳ね返し、その瞬間魔塔主の合図でジョディを拘束しようとした
拘束な魔力の鎖がジョディの体中に巻き付く
「ははん、高々この程度か」どんどんジョディの体の周りに黒い闇がひろがる
その途端、扉が開きウィリアムとアリスが入ってきた
アリスが入ってきた途端、玉座で屍のように座り込んでいたダリウスが立ち上がった
「おお、私の精霊の愛し子よ、ようやく私の元にきたのか」
「ジルベール、ユーリ! いや、ちがう その子供なのか」
「私は、ウィリアム、この国の皇太子だ 国を返して貰いに来た ダリウス、ジョディお主らの悪行の数々…… 死刑に処す」
そう言って、まずウィリアムは私に抱きつこうとしたダリウスを斬った
「ほぉ、ウィリアム生きておったか、屍同然のものから斬り捨てるとはお主も小者よのう」
王妃の言葉を遮るようにマリアが叫んだ
「なぜ、アリスがそんな髪色なのよ、精霊の愛し子は、私よ 私が皇太子妃になるんだから
王妃様! なんとかしてよ!」
「お主は、本当にキャンキャンとうるさいのぉ、偽物はお前に決まっておろうが 闇に堕ちた精霊の愛し子などおるわけないだろう」
ジョディは、マリアをせせら笑いながらそこにいたバルスーン公爵とハニーライド男爵と共に自分の足元にある闇へと取り込んだ 3人の叫び声が響き一瞬にして姿が消えた
取り込んだ瞬間ジョディの体が大きくなり巻きついていた魔術の鎖が消えてしまった
まわりの貴族は、恐怖のあまり我先にと広間から逃げていった
「ウィリアム、フェリクスよ、我が悪というなら見て見ぬふりをして過ごしているあやつらはどうじゃ
我がしておる事をわかっておりながら
知らない顔をしているのも悪であろう」
「そうね、悪意を持っている人間は沢山いるわ 人間は誰しも心の中に悪があります
そして、人間は誰しも強くない
人を羨んだり、妬んだりする事もあるかもしれない
でも、それでも皆んな 時には悩んだりそんな自分を反省してやり直したいと思っているのよ
でも、あなたは…… あなた達は超えてはいけない一線を超えてしまった
あまりにも沢山の人を不幸にしてしまい
あなたは、人間の弱い部分の隙間に入り込み悪意を、そして瘴気をこの国に広げてしまった…… もう終わりにしましょう」
「ああ、本当に憎たらしい 母親も憎くて憎くて仕方なかったが、娘までも」
そう言ってアリスに襲いかかってきた
アリスの前にセラが飛び出してきた 魔法を纏った剣を腕から血を流しながらジョディにおろしていった
「大丈夫か! アリス」
前に立ちはだかりながら私に視線を少しおとしながらセラが声をかけてくれる
「セラ様、腕から血が…… 」
「大丈夫だ」
瞬間ジョディが叫びながら体の形がなくなってしまった
「くっ、魔法騎士よ、そなたはヴィユンティの者か、どいつもこいつも憎らしい顔の者ばかり
」そう言いながら王妃の姿は、もう欠片もない化け物が暴れ回る
「ふっ、やはりもうすでに魔物になるまで堕ちていたか…… 」
フェリックスが呟いた
ウィリアム、フェリクス 王宮騎士団そして魔塔の魔法使い、精霊達も交え化け物に向かっていく
ウィリアムの剣が 魔物の攻撃で弾き飛ばされた
一瞬化け物に隙ができた瞬間 セラがウィリアムに自分の剣を渡した
「ウィリアム様、今です あの光っているところを目掛けてください」
ウィリアムは、光に目掛けて剣を投げた 剣は命中し化け物がのたうちまわる
「セラ、すまぬ」
セラは黙って頷き
「ウィリアム殿下をお守りしろ!」
と騎士団へ指示をだした
セラは即座にアリスの元に戻り
「アリス、次は君だ、浄化の光を!」
と声をかけた
「は、はい」そう言いながらアリスは両手を広げて光の矢を撃つ、あまりの衝撃に立ち崩れそうになるが後ろでセラが腕から血を流しながらも抱きしめて支えてくれていた
ぐああああというジョディの断末魔が最後に響き闇が消え光の粉が空から降ってきた
その途端、アリスはセラの腕の中で意識を失ってしまった
「アリス」と私の名前を叫ぶセラの声が遠くに聞こえていた




