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魅了の力は封印するのでお姉様!ざまあ展開はご遠慮します!  作者: 瑠璃
第一部 第二章 クランフィールドアカデミー

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それぞれの想いが交錯する夜

 フェリックス王子は、エスコートしてきたマリアではなくアイリーンの前に立ち深く礼をした手を差し出した


「アイリーン・キャラウェイ公爵令嬢 ファーストダンスを貴女とダンスする栄誉をどうか私に…… 」


 会場にいるフェリックスとテリウス以外の全員が固まってしまった

 テリウスは、知っていたのかニコニコとしてアイリーンの横で立っている

 言われた本人のアイリーンもびっくりした顔をしている

 それよりも、フェリックスのパートナーであるマリアが顔面蒼白で震えながら立っている


「フェリックス様、私ですか?」


「君以外に誰がいるんだ 僕の婚約者だろう」


 いやいや、その婚約者にあなた結構今まで酷い態度取っていませんでしたか?

  とここにいる全員がそう思った


 アイリーンが、吸い寄せられるようにフェリックスの手を取ると流れるように中央へとアイリーンをエスコートした

 フェリックスとアイリーンが中央に立つと、楽団の指揮者が我に返って指揮棒を振り音楽を導きだす


 長年婚約者であるだけあり、息のあったふたりの美しいダンスは、みていたものを魅了した


「フェリックス様よろしかったのですか?」


「なにが?


「私で……」


「当たり前だ、婚約者であろう」


「でも、エスコートされている方が……」


「色々、まだ話せないこともある……

  ただ、アイリーン 君はマリアに近づくな 例え甘い言葉を囁かれていたとしても決してだ 君は闇に堕ちてはいけない」


「それは、どういう……」

 すると、フェリックスがアイリーンの耳元により近づいて何かを囁いた


 アイリーンは、微かに頷いてフェリックスの瞳を見つめた


 音楽が終わりふたりは、お辞儀をしてそれぞれのパートナーの元へと戻って行った

 次の曲がなり始めみんなそれぞれのパートナーと踊り出した

 沢山の参加者の中でやはりを目を引いたのは、ノアとアリスであった


「ノア、ダンス苦手って言ってなかった」


「苦手さ、アリスが羽のように軽やかに舞うから上手く思えるだけだろ」


「嘘ばかり、凄く上手だわ 楽しい」

 アリスは、満面の笑みでノアを見つめていた


「アリス、この曲が終わったらここを抜け出そう 渡すものがある 隠蔽の力使えるか? 」


「ええ…… 」


 曲が終わり少し引けた所で隠蔽の力をルーに使ってもらった

 ノアは、私の手を握りしめ会場を出た所でいきなり私を抱き抱えた


「ノア! どうしたのいきなり……」


「ああ、後で話すから……

 落ちないようにしっかり捕まって」


 ノアの首にしがみつくように手をまわして抱きついた


 私もドキドキしているが、ノアの鼓動も伝わってくる

 少し離れた噴水の所へと来た

 噴水のベンチに私を座らせてノアは、ポケットからハンカチを出すと噴水の水に濡らした

 跪き「ごめん、触るよ」

 と優しく私の左側の足の靴を脱がせると私の足首にハンカチをあて、胸元のスカーフで巻いてくれた


「ノア、ありがとう…… 気づいていたの」


「ああ、さっき2年の女生徒にぶつかってこられた時だろ」


 凄くさりげなくて誰も気づかなかったかと思っていたのに……


「まあ、仕方ないよね 相手も気づいてなかったみたいだし」


「…… 」


「あの、ノア 私もあなたに話があったの」


「ああ…… 」


「ノア・スタンウィル

 ウィルアム・サラスーラ そして ウィル

 あなたの本当の名前はどれ?

 それともどれも違うのかしら」


「アリス 気づいていたのか」


「確信がもてたのは今日だった……

  もしかしてノアがウィルと思ったのはもう少し前だったけど…… 」

 

「ああ、君の思っていた通りだ

 でも俺……いや私の名前は、ウィルアム・サラスーラ 死んだはずのこの国の皇太子だ」


「でも、私と一緒にいてくれたウィルなのよね 」


「君と同じさ、あの頃は力がなかった……だから変えるしかなかったんだ……」

 

「ウィル、ずっとずっと会いたかったの

 なのにどうして…… 今なの……

 私が探していた事を あなたはわかっていたのに知らない振りをしていたの 」


「君に、危険があってはいけないから巻き込みたくなかったんだ」


「どうして、それなら今なの?

 出会った時から数ヶ月しか経っていないわ

 初めて会った時でも、私何度もウィルの話をノアにしていたわ

 でも、あなたは笑って聞いていたじゃない……

 今は、危険じゃなくなったから?

 なぜ、みんな何も話してくれないの?

  ウィルもお兄様もおじ様もお姉様もみんな……

 誰も私には何も話してくれない……」

 私は、ウィルの胸にしがみつきながら涙を流していた


「俺だって何度も話たかった

  ただ、君を守りたいだけなんだ

 君には、何も知らず笑顔でいて欲しかっただけなんだ」


「じゃあ、今ならもう全て話してくれるの?

 そうじゃないでしょ

 あなたが今なんの為にこうしているかであるとかこれから先どうしたいかは、私には話せないのでしょ?

  なのに……ノアとして私に距離を縮めてきて……

 あなたは、私から誰としてみて欲しいの?

 ノア・スタンウィル?

 ウィルアム・サラスーラ?

 それともウィル? 」


「どれも、俺なんだ 君への気持ちは、ひとつだ

 これからも、ずっと守りたいんだ」


「ウィル…… あなたの気持ちは凄く嬉しい……

 でも私は、違うの 色んな話をして、同じ悩みや問題に一緒に戦いながら……

 私も愛する人を守りたい……

 私は、守られるだけでは嫌なの 」


「いや、だから今は、全ては、まだ話せないんだ……

 わかった、アリス もう一度落ち着いてゆっくり話しをしよう

 今夜は、こんなつもりじゃなかったんだ…… そうこの指輪を返してウィルだということを打ち明けるつもりだったんだ

 君は、きっと喜んでくれると思っていたのに」


「ありがとう、ウィル……

 確かに、会いたかったから……嬉しいわ

 私もネックレス返すね

 これはお母様の大切なものだったんでしょう……

 ねえ、お願い おじい様とおばあ様にも話してあげて、そのネックレスおばあ様にかけてあげて……

 今すぐでなくてもいいから……

 だって、ウィルあなたは「本当の孫」なんですもの……

 あなたに酷いことばかり言ってごめんなさい……私…嘘ばかりよね……

 髪の色も瞳の色も偽物……

 おじい様とおばあ様の孫でもないのに……姫様でもないわ……

 キャラウェイ公爵家にくるまでは、薬屋の娘ですもの

 みんなの優しい気持ちに甘えてばかり

 本当の私はどこにいるのかしら……

 ウィル、ごめんなさい…

  私今気持ちが混乱していて……

 また落ち着いたらゆっくり話しましょう

 ここでお別れしましょう……

 本当にありがとう」

 だめだ、自分でもわかるくらい訳が分からない事言ってる……

 こんなの八つ当たりだわ


 そう言って、アリスは、涙をいっぱい溜めた瞳をうるわせながら笑顔でノアと別れた


 痛い足を引きずることなく乗り合い馬車の停留所まで歩いて行った


 ノアは、ネックレスを握りしめ立ちすくむ事しか出来なかった


 ひとりで乗り合い馬車で、ヴィユンティ侯爵家に帰ってきたことについておじい様達が凄く怒っていたけど私が勝手にひとりで帰ってきてしまったと説明をしてなんとかその場は、収まった

 それでもずっと乗り合い馬車などで帰ってくるとは!

 と怒っていたけど……


 入浴をして、自分には、癒しの力が、効かないから腫れた足首は自分で手当てした


 部屋に戻ると机の上にアストリーに預けたバスケットがあった

 バスケットを開けると赤いカーネーションの小さな花束と手紙が入っていた


「アリス、美味しかったよ ありがとう」


 赤いカーネーションの花言葉は、


「君に会いたくて仕方がない」


 カーネーションを握りしめて泣き崩れてしまった


 ねえ、お兄様……私

 どうして、ノアにあんな言い方してしまったんだろう 

 本当はもっと前に気づいていたなら私もその時聞けばよかったのに、彼から聞いたら

「やっぱりそうなのかしらと思っていたの、ウィル会いたかったわ」

 って笑顔でそう伝えようとずっと頭の中で考えていたのに、それなのに訳の分からない嫌な事しか言えなかった……

  ウィルは、私と違うのよ

 ちゃんと自分が何者かを理解して自分の道へと進んでいるのよね


 私はわからないままキャラウェイ公爵へ連れて来られて5年たってヴィユンティ侯爵家に行きまた5年たってアカデミーに……

 前世から死に戻っても逃げてばかり自分で何かを決めて進んだ事がない……


 でも自分が何者かがわからないからどうしたいのかもわからない

 流されてばかりの自分が嫌なの


 すごく不安なの不安で……


 お兄様……

 私もすごく会いたくてしかたがない

















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