精霊王
扉の向こうに私とウィルは放り出されるかのように入った
白い光り輝く大きな樹木
そのむこうには草原が広がっていた
扉の中なのに空が拡がり大きな満月がしろく浮かんでいた
樹木に腰かけ空を見上げていたその人は、長いプラチナブロンドの髪
白い衣を纏っている
おもむろにこちらをみると切れ長で涼しげなエメラルドグリーンの瞳顔立ちも体躯も整っている男性
その人は、樹木から静かに飛び降り私たちの方に歩んでくる
「やあ、精霊の愛し子
やっと、私のところにきてくれたね
また、来てくれなければどうしようかと思っていたよ」
「また? 」
「そう、もう一度チャンスをあげたのさ
そうしないと後々みんなが困ったことになっていたからね」
「え?」ふわっとした話し方をするこの人の話の内容もふわっとしていてよくわからない 掴みどころのない人?
「まあ、またその話は、今度ゆっくりふたりきりの時にね」
「あの、あなたはどなたでしょうか」
徐ろにウィルが口を開いた
「ああ、そうだね、私は、君たちの事を知っているけど君たちは、知らないものね」
「俺、いや私の事も知っているんですか」
「ああ、勿論 君のこともまた今度ゆっくりね
でもまさか、君も一緒にこの子と来ると思わなかったしね ……
でもどうしてだろう?
まあ、あとでわかるか」
と、ひとりでウンウン頷いている
「さて、私は精霊王 この世界の自然
万物に宿る精霊たちの王と言えばわかりやすいかな」
「精霊王様 私は自分の力について知りたいんです」
「ああ、アリス いきなりストレートだね
もう少しほら私としては
えー!精霊王!みたいなリアクションが欲しかったんだけどねー
まあ、いいか
アリス、君のチカラは特別だからね
君は精霊の愛し子
精霊から愛される力 光の力を持っている
ただ、その力使い方を誤ったり心を闇に奪われると大変な事となる
精霊に愛されるどころか精霊も寄り付かなくなる
どういう事になるかは、君が一番よくわかるよね」
「はい、では正しい使い方とは、魅了というチカラ抑えることはできるのですか」
少し心が、ズキンと傷んだ
「魅了という言葉に当てはまるかどうかは、わからないが君の言う力
精霊達に愛されると彼等に分け与えるものとなりそして精霊によって君の光の力がより大きくなる
まあ、要するに精霊に愛されればいいのさ そうだな、まずひとつでも多くの精霊と契約し仲間になるのがいいね
そして彼等は、君の強い味方になってくれるだろう
そして、君自身が強くなれば力をコントロールすることができるようになるだろう」
「契約?」
「君に惹き付けられ仲間になりたがっている子がいたら名前をつけてあげるといい
ほら、もう君たちの傍にいる」
ふと方をみると透き通った青い光が私の傍をクルクル回っている
「ふむ、風の精霊の中でも上位エアリエルだな
おや?君の方も……
ははーん、君がここに来れたのはコイツが呼んだのか」
ウィルのまわりに黄色が少し混じった赤い光が忙しなく飛び回っていた
「この子は?」とウィルが聞くと
「火の上位精霊フェニックスだ
さあ、ふたりとも名前をつけて上げなさい」
「そうね、じゃあエリィはどうかしら」
私がそういうと光はクルクル舞い上がり
青い鳥の姿に変わった
「ふふ、姿を変えることができるのね」
「俺はフィルとつける」
ウィルの光は力強く舞い上がり炎を纏った紅い鳥に姿を変えた
「ウィルとフィルって名前も仲良しね
凄く大きくてカッコイイね フィル」
そういうとウィルの腕にとまっているフィルが私に頬ずりをした
あら、熱くない……
と小声でいうとここに来てはじめてウィルが笑った
「さあ、これで契約は、終わりだが
アリスは、これからも色んな精霊に出会い契約していくだろう」
と精霊王と話をしていると私のつけていたピアスがパリンと割れた
すると髪色がプラチナブロンドに瞳がエメラルドグリーンに変わった
ウィルが一番驚いた顔になり
「アリス 君の本当の色?
君は、精霊王様の子供だったの?」
「え! 本当の色だけど精霊王様の子供ではないわ!
もう!ウィル 精霊王様に謝って」
「うーん、まあ、間違いというわけでもない 精霊の愛し子だからな
ただ、ウィル 君は、特別な君主の力でこのフェニックスに愛されたようだな」
そう言われるとウィルの瞳が力強く輝いた
「アリス 君のチカラが解放された為、今までのピアスでは耐えきれなくなったのであろう ユーリが遺したピアスをつけてごらん」
ポケットに入れていたピアスをつけると徐々に髪色と瞳の色が変わった
「いつものアリスだ」
「そのピアス 右側は髪と瞳の色を変えるもの左側がアリス君の魔力を暴走を抑えるものだ」
「暴走を抑える……… 」
「今は、まだ君自身の器がコントロールできないだろう 時期が来るまでは、外さないように 」
「時期というのは?」
「ピアスが教えてくれるさ」
「では、ふたりともまた会おう
それまで道を違える事なく頑張るんだぞ
決して心を闇に捕らわれることのないようにな」
精霊王様は、そういうと遠くなり、
私達は、意識を手放した
気がつくと辺りは少し暗くなりかけていた
「ウィル起きて!大変かえらなきゃ!」
慌ててウィルを起こして 私は、本邸へウィルは、家へと帰らなければならない
本当は、ウィルともっと今日の事話したかったけど明日また会えるからとおもいながら本邸へと急いで帰っていった。




