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その47の1「カイムとソフィアの使徒」



 まったく見当外れの意見に、ルイーズは呆れ顔を返した。



「……はぁ。仮にあなたの言葉が


 真実なのだとしましょう。


 私はあなたが震え上がるような強大な存在で、


 その私が一時的に負傷しているものだとしましょう。


 そこを襲えば勝てると考えるのは、


 少し短絡的ではないですか?


 蟻が手負いのドラゴンに勝てると思いますか?


 穴の有る計画だとは思わないのですか?」



「わかってるさ……!


 完璧な計画なんかじゃ無いってことは……!


 だけど……きみはレオハルトさんだ……!」



「はい?」



「きみを討ち滅ぼすことができれば、


 俺たちはレオハルトさんを倒した者、


 レオハルトさんスレイヤーとうたわれるものになるだろう。


 いやむしろ、


 俺たちこそがレオハルトさんなのだとさえ言える。


 俺たちの名は、


 この星の歴史に永久に刻まれる。


 その千載一遇の機会を……逃すことはできなかった……!


 未来のために死ね! レオハルトさん!」



 トマとその仲間たちが、ルイーズへと殺気を向けた。



 そのとき。



「悪いが、それは無理だぜ」



 声と共に、魔弾が空き地へと飛来した。



「っ!?」



「がっ!」



「ぐあっ!」



 不意を突かれ、トマの仲間が雷に撃たれていった。



 大した連中でも無かったらしい。



 たった一度の攻撃を受けただけで、雷に撃たれた者たちは、なすすべなく倒れ伏していった。



 何人かが倒れると、射撃が止んだ。



 トマと数人の仲間はまだ健在だった。



 トマは空き地の入り口を見た。



 そこに銀髪の美少年が立っていた。



「おまえは……カイム=ストレンジ……!」



「デートのジャマして悪いな。トマ=テーヌ」



 そう言ったカイムの手には、魔弾銃が見えた。



 ジュリエットやターシャ、カゲトラの姿は無い。



 ここにやって来たのはカイム一人のようだ。



「人避けの結界が張られていたはずだ」



「ああいう魔術は、レベル差が大きい相手には通用しない。


 そうだろ?」



「……どうして俺たちのジャマをする?


 ハースト共和国のエージェント」



「エージェント……?」



 ルイーズは探るような視線をカイムに向けた。



(俺の正体はバレバレかよ。


 それにしたって、ルイーズの前で余計なことを言いやがって)



 カイムは視線に怒りを宿し、トマにこう言った。



「何を言っているのかわかんねえな」



「まさか、俺たちが誰なのかわかってないのか?」



「は? 誰なんだよ?」



 カイムにとってのトマ=テーヌは、ただのクラスメイトでしかなかった。



 今日の言動で、同業者らしいということはわかった。



 だが、それ以上のことはまったく知ったことではない。



 そう思っているカイムは、まっすぐな疑問をトマへと向けた。



 すると意外な言葉が返ってきた。



「俺たちは、バドリオさんの部下だ」



「バドリオ? エミリオ=バドリオか?


 スタンボールドに居た」



「おまえはスタンボールドでバドリオさんを逃がした。


 あの人がアガスティアさまの名を口にした瞬間に。


 それに、教団の猫に懐かれてもいる。


 おまえもソフィアの使徒なんだろう?


 ここでレオハルトさんを討ち滅ぼせば、


 悲願へと一気に近付くことになる……!


 俺たちと一緒にレオハルトさんと戦ってくれ……!」



 トマ=テーヌは、ソフィアの使徒と呼ばれる組織の一員のようだ。



 ジョンがカイムを疑ったように、トマもカイムを二重スパイだと思っていたらしい。



 カイムを仲間に引き入れようと、熱く言葉を送ってきた。



「おまえら……邪教団ってやつらか。


 アガスティアは……ソフィアが崇める邪神の名前か……?」



 予想とは違うカイムの言葉に、トマが顔色を変えた。



「っ……! 違うのか……!?


 ダブルエージェントじゃないのか……!?


 本物の……ハーストのエージェント……。


 だったらどうしてバドリオさんを……!?」



「アレは俺のミスだ。痛恨のミスだ。


 おかげでこんな所に居る。


 何にせよ、おまえらの仲間にしてくれてんじゃねえよ」



 誤解は解けた。



 カイム=フィルビーは、トマ=テーヌの仲間などではなかった。



 それでも起死回生のため、トマはカイムを説き伏せようとした。



「っ……! ここでレオハルトさんを仕留めることができれば


 ハーストにとっても利益になるはずだ……!」



「クリューズの皇女であるルイーズがエスターラで死ねば


 両国の関係は悪化する。


 それで戦争でも起きたら、


 ハーストから見ても不利益しかねえよ。


 こんな所でルイーズを殺されてたまるか」



「クソっ……!


 戦力を分けてはレオハルトさんには勝てない……!


 どうすれば……!?」



「心配すんなよ。


 おまえら如き、俺一人で十分だ。かかってきな」



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