表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

89/104

その45の2



 ジュリエットの案内で、一行はねこアーマーショップに移動した。



 カイムたちが入った店舗は、そこそこの広さではあった。



 だが、前のデートで来た人間用の防具屋よりは狭かった。



 カイムは店内を見回しながら、ジュリエットにこう尋ねた。



「いくらくらいのを買えば良いんだ?」



「猫は体が大きいし、


 猫用の防具は人用と比べると


 需要が低いから、


 ちょっと割高になるらしいよ。


 品質をそろえようと思ったら


 人用の装備の倍以上は出した方が良いんじゃないかな?


 ……って友だちが言ってた。」



「そうか」



 カネがかかった話で、ジュリエットにデタラメを教える友人が居るとは思えない。



 そう考えたカイムは、彼女の話を信じることに決めた。



(俺の戦闘服が33万だけど、


 ジュリエットたちの装備と比べると安物なんだよな。


 俺の倍くらいの性能のヤツが欲しいってなると、


 4倍以上は出した方が良いか?)



「すると……150万くらいは出した方が良いんかな?」



「そうかも。


 そういえば前に、40万がギリギリだって言ってたと思うけど、


 お金はだいじょうぶなのかな?」



「ああ。銀行で下ろしてきた」



「えっ? いつの間に?


 学校が休みの時は、銀行も閉まってるよね?


 だから銀行に用が有る子は


 昼休みに急いで出かけたりするけど、


 カイムは昼休みは私たちと一緒に居たよね?」



「仲間に頼んで


 代わりに行ってきてもらったのさ」



「へぇ。大金を任せられるなんて、


 もうそんなに信頼できる友だちが出来たんだね。


 ひょっとして、ブロスナンくんかハインスくんかな?」



「ブロスナンはねーわ」



「そう? 最近は仲良さそうに見えるけど」



「前よりはな。


 それで……どれが良いと思う?


 黒はダメなんだよな?」



「えっ? べつに黒でも良いと思うけど」



「えっ? 黒は安易でダメなんだろ?」



「アレはカイムには似合わないって言ってただけで、


 カゲトラさんの黒い毛皮には合うと思うからね。


 あっ、この黒と赤のやつなんてどうかな?


 格好よくない? カイム?」



「黒が似合う男になりたい……」



「諦めなよ。カイムには白が似合うよ」



「ぐぬぬ……」



 カイムたちはねこアーマーを選ぶと、カゲトラに試着させた。



 ちなみに黒だ。



「みゃぅぅ……」



 ふだんぴっちりとした防具などを身につけないカゲトラは、窮屈そうな様子を見せた。



「我慢してくれよ。黒だし。


 おまえが大怪我したら俺も悲しいし。な?」



「そうだよ。それにその装備、


 とっても似合ってて格好良いよ」



「みゃあ」



 二人でカゲトラをなだめると、なんとかご機嫌が取れた様子だった。



 それから支払いを済ませると、カイムたちは外へ出た。



「それじゃあ遊ぶとするか」



「任せて。デートコースはバッチリ考えてあるからね」



「俺もこの辺りのことを、ちょっとは調べてきたんだが」



「そうなんだ? それじゃあ今日は、カイムにお任せしようかな?」



 そのとき。



「あれ……」



 道行く群集の一点に、カイムの視線が吸い寄せられた。



 そこにルイーズが、トマと並んで歩いているのが見えた。



「ルイーズ……?」



「カイム?」



「ほら、そこにルイーズたちが」



「ふーん?」



 ジュリエットは興味なさそうな様子を見せた。



 ルイーズはトマと一緒に、小道に入っていってしまった。



(向こうはちょっとガラが悪い区域だよな。


 学生がデートに使うような店が有るのか……?)



 カイムの足が、自然とルイーズの方に向かった。



 そのときジュリエットが、カイムの腕をぐっと掴んだ。



「……どこに行くの?」



 責めるような視線で、ジュリエットはそう尋ねてきた。



「ちょっとルイーズのことが気になってな」



「気になるって、彼女もデート中なんだよ?


 ジャマしたら悪いよね?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ